第14話 ローデンびっくり
「……それでヴァルトの部下ってことで良いんだよな?」
「その通りだ!」
そう返事する男──ローデンは腕を組み頷く。
「それで御嬢!ヴァルト殿が心配しておりますぞ!早く帰りましょう!」
そう言われながらシオンは腕を引っ張られているが微動だに動かなかった。
「ローデン、私は帰りたくないの!どうせお父様は怒ってるし」
不貞腐れる表情でローデンを睨んだ。
「ヴァルト殿は怒っておりませんよ、逆に心配し過ぎて夜しか寝れてない状況なんですよ!」
「いやそれ普通に寝てるじゃねーかよ!」
急なボケについ突っ込んでしまった。
「とりあえず私達もヴァルトさんに用事があるから丁度良いんじゃないかしらぁ?」
テラがにっこりと微笑みながらシオンを見つめる。
「で、でも……」
「まあテラの言う通りだな。今この状況だしお前を一人にしたら危ないだろうからな」
俺が言うとシオンはムッとした表情で渋々承諾した。
そんなこんなで話しているとローデンは俺達に質問をした。
「皆様もローデン殿に用事が?」
「ええ、そうよ。エルミナ教の祭壇とかの情報を教えてほしくてね?」
テラがそういうとローデンが急にテラの口を塞ぐ。
「静かに!今広場を見ると分かりますが危ないんですよ!そういう話は!」
テラは少し驚いていたが小声で謝った。
「全くテラは……」
「テラ……まさかあの?!」
そう俺が茶化すとローデンが驚いた。
「ええ、そうよ~?だからヴァルトとお話したいのよ?」
「もっと早く仰っていただければ!」
「だって貴方シオンにしか目がなかったじゃなーい?」
そう言いながらシオンのほっぺをムニムニしていたテラであった。
「まあとりあえずここでずっと喋っていたら怪しいから一回ヴァルトのところへ行かないか?」
俺が提案すると全員承諾し、なんとか屋敷へと向かっていった。