第13話 お嬢様見つかる!
古風な街で周りは農地で囲まれているエルデンの街。
一見すると活気ある石畳の通りも――どこか空気が張り詰めていた。
ハルトたちは歩を進めながら、ヴァルトがいる場所を目指していた。
「そう言えばシオン、ここの街の住民はお前の事知ってるのか?」
「小さい頃もずっと屋敷に居たので私を知ってる人はいないと思います」
ハルトは少し気まずそうに謝りつつ、周囲の様子に目を向ける。
そしてふと、街の異様な雰囲気に気づいた。
「なあ。なんか人通り少ないんだがこれが普通なのか?」
街中を歩いている時に気づいたのだが、人通りが異常に少なかった。
リリアも気づいたのか周りを見渡した。
「僕ここの街に来たことがあるんですけど、こんな寂しい感じじゃなかったです……」
セバスやテラも頷いていた。
違和感を感じながら街の中央にある広場に出るとそこには目を疑うような光景があった。
おそらく街の住人だと思われる人たちが帝国兵に手錠を付けられ、馬車に積み込まれていた。
さらに叫び声や泣き声が入り混じり、まさに地獄のような光景だった。
「あ、あれは一体……」
あまりの光景に俺は立ち尽くしてしまった。
「帝国軍とネオ・セフィラによる異端審問です」
セバスが説明を始めた。
「帝国軍とネオ・セフィラは各地にある街や村で旧支配者を信仰する者を逮捕し、処刑を行うのです」
朝の時にシオンから聞いた話も思い出し、怒りが込み上げた。
「なあ、テラ。彼らを救うことは出来ないのか?」
「難しいですね。助けたい気持ちは分かるのですが…」
続けてテラは話した。
「今彼らを助けると今後帝国軍に追われる身になってしまいますわよ?」
冷静に、正論を放つテラに俺は何も出来ない事に無力感を感じた。
「ハルト……僕も助けたいと思う気持ちはあるけど、今は耐えよう?」
リリアが諭すように声をかける。
「……分かった。悪かったなリリア」
諭してくれたリリアの頭を撫でた。
その瞬間リリアの頭が赤くなった。
「ハ……ハルト?!ななななにをしてるの?!」
「す、すまん!」
俺はすぐに手を離したが、後ろから物凄く視線を感じる。
「ハルトちゃーん?今すごく真剣な空気だったのになにイチャイチャし始めたの~?」
テラが物凄い怒っていた。
「流石変態さんですね」
シオンも呆れるように放った。
「いやいや!待ってくれ!ゆっくりとこっち来ないでくれテラ!」
そんなこんな騒いでいると誰かの声がシオンの名前を呼んだ。
「おおおっ……御嬢ーーー!!!」
その声に全員が振り向くと、広場の一角に鎧をまとった騎士が立っていた。
「御嬢、やっとお会いできましたぞ! 一体どこに行かれていたのですか!」
「げっ、ローデン……!」
シオンの声に、ハルトたちは一斉に目を見開き、4人は唖然としていた。