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別にみんな思っている

人生はつまらない。

この世に存在しない魔法の存在を知ったときからそんなことを思っていた気がするが、今思えば、自分がどこかの主人公のように時別な存在ではないと気づいてしまったときからずっと、そんな思いを持っている気がする。

呪文を唱えても目の前の羽は浮かび上がったりしない。

呪文の発音を訂正してくるクラスメイトも、伝説の傷も俺は持ち合わせてはいない。

もちろん前世の記憶なんてないし、自分にしか見えない使い魔もいない。


こんな考えを持って生きていることさえも、何も特別なことではないということには、ようやっと気づくことができたばかりだ。


テレビショーに出ている人間たちや、動画投稿を生業にしている人間のように、なにか行動に移しさえすれば何か変わるのかもしれない。

でも、変わらないかもしれない。

変わらなかったとき、自分は職を失い、職を通じてできた知人を失い、社会的地位を失うことになる。


そのどれもが、失っても大した痛手ではないことに気づいたのもまた、つい最近のことだ。



だからこそ、俺は今こんな得体の知れない場所にいるのだろう。

何もない、コンクリートの壁に囲まれたマンションの一室。

自分の荷物は一切なく、備え付けのパソコンと携帯端末が一台あるだけの部屋。

部屋を一通り見渡し何もないことを再認識したところで、無駄にでかいモニターには今どこかで誰かがタイピングしているかのように一文字ずつ、丁寧に文字が浮かび上がる。



『ようこそ、いせかいへ』





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