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よく見ると、その美しい少女はとても若かった。
背が高くて、大人びているけど、たぶん高校生くらいの年齢だと文は思った。(最初、文は自分と同じ二十歳くらいの年齢かと思った)
文が足を止めて、じっと少女を見ていると、ふと視線に気がついて少女が文のことを見た。
文と少女の目があった。
美しい大きな黒い瞳が、じっと文を見つめている。
この子は猫に似てる、と文は思う。
「どうして泣いているの?」
文は少女に言った。
するとはっとした表情をしてから少女は白いワンピースのポケットから真っ白な(蝶の刺繍のしてある)ハンカチを出して涙を拭うと、それからスケッチブックをめくってそこに手に持っていた鉛筆を使って、
泣いてません。
と文字を書いて文に(見せつけるようにして)見せた。
そんな少女は少し怒っているようだった。(頬を膨らませて、眉を八の字にしていた)
そんな少女を見ながら、文は笑いをこられることに必死になっていた。