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第六話 新たな能力

評価貰えました。しかも10ポイント。ずっと、にやけが止まりません。

 ルートアス平原。そこはアヴァンドの森の東に位置する、とても緑豊かな平原。ちなみにアヴァンドの森は、ナリアトル王国の南東にある。アヴァンドの森みたいな、変な魔物(巨〇兵やら、音速ハリネズミやら、電気ネズミやら)しかいないところではなく、スライムなどの、メジャーな魔物がいる。そういうこともあって、とても興奮しながらレベル上げをしていた。












「よしっ、リザードマン退治」

 

 11匹目の魔物を退治し、エンジンがかかってきたころだった。ネアと共に平原を移動していると、ネアがそわそわしだした。どうしたんだろうと訝しんでいたら、急に背後に気配がした。


「あぶなっ!」

 

 槍みたいな剣が空気を裂いた。何とか身をよじって回避できた。もし、避けることができなかったら、心臓をつかれて死んでいただろう。まぁ仮に反応できなくても、心臓を突く前に、ネアが剣を粉砕していただろうが。


「すぅ……はぁ」


 深呼吸をして、心を落ち着かせる。そして『紅天』を発動して、次の攻撃に備えた。ネアはすでに遠くに避難(する必要もないと思う)して、勝負の行方を見守ろうとしている。


 ビュッ。


「ここっ!」


 気配が感じたところにパンチを叩きこむも、うまくかわされた。敵の姿が一向に見えないので、『魔力眼』を発動すると、うっすらとだが妖精のような姿が見えた。これでもう相手の長所は意味がない、そう思っていたら、急に見えなくなった。


「?」


 グサッ。


「ガッ、はぁ……はぁ……」


 グサッ。


「ダハッ」


 まずい。腹に2回、攻撃をもらった。相手の能力もわからない。思えばこんなこと経験したことがなかった。魔物は、能力が分かりやすい。分かりやすくなくても、わざと、隠すほど頭がいいわけでもない。ネアは、能力が分かっていたし、ハナから本気じゃなかった。突然、ニヤァっと笑ってしまった。これを望んでたんだ。


「『魔力砲』」


 『魔力砲』を下に放って、空中に飛び上がった。『天魔地』を発動して滞空する。これで余裕ができた。


「ふぅ……」


 『魔力眼』を最高まで強化して、敵の姿が見えるようにする。敵が空中に来る前にポーションを腹にかける。上級なのですぐに回復した。痛みはまだあるものの、我慢できないほどじゃない。


「!」


 そうこうしているうちに妖精が空中に到達してきた。その瞬間に『天魔地』を解除する。


「『魔力砲』」


 スカイダイビングをしながら、ポカンとしている妖精に、魔力の塊を放った。妖精は光に飲み込まれていった。考えた作戦が、うまく決まった。これは気持ちがいい。だが、着地のことを考えていなかった。


「へぶっ」


 地面に激突した。マジで痛い。タンスに小指より痛い。ポ〇チが歯茎よりは痛くない。


「やったか」


 何とか痛みが引いて、空を見上げて確認した。あれで生きているのは普通、無理だ。でも、テンプレを吐いたのがいけないんだろう。当然、妖精は生きていた。生きていたとはいえ、ボロボロだったが。


「クソッ。『天魔地』」


 空中で佇む妖精に向かっていった。そして近距離戦に持ち込んだ。だが、相手はどういう原理なのかは知らないが、滞空にそれほど労力はかけていない。それに対して、自分は魔力を使っているのだ。しかも『天魔地』と、『紅天』の二種類を。とにかく分が悪い。なので、スマ〇ラの、ド〇キーの前空みたいなことをする。


「フンッ、セイヤァ!」

 

 そして地上にたたきつけられた妖精を、タコ殴りにする。しばらくすると、妖精が光の粒になって消えていった。


「よっしゃぁ! 勝ったどー」


 ポーションで回復してから、ずっと見ていたネアのところへ向かった。


「いい戦いだったじゃないか」


 ネアに褒められると、素直に嬉しい。とにかく嬉しい。


「ネアー、鑑定してくれや」

「おっけー」


 ネアは指で丸印を作ってから、鑑定してくれた。結構上がってると思う。



『名前』

 七瀬優太

『レベル』

 32

『力』

 651

『体力』

 776

『魔力』

 17001

『俊敏性』

 694

『スキル』

 言語理解 感覚過敏 魔力体漲+紅天 魔力操作 代償強化 爆破 同化


 


 「同化? 何だそりゃ」

 

 眉をひそめながら、ネアのほうを見ると、ネアは首を振った。どうやらネアでもわからないらしい。


「とりあえず、発動するか」


 案ずるより産むが易し、じゃないが、大体のことはわかるはずだ。


「『同化』」


 魔物から手に入れたスキルを発動するには、極限まで、精神が集中している状況でなければならない。じゃなきゃ失敗して死ぬ。だから精神を集中させている状態になってから発動した。そうすればこのスキルの一部が見えてくるはずだ。


「…………」


 しいん。

 

「何にも起きねぇ!」


 なんでだ? もしかしたら一定の条件をクリアさせていなければ、発動しないのかもしれない。そうなってくるとめんどい。なぜなら、スキルの特性を、スキルの名前から見抜かなければならないからだ。


「同化か……同化、同化……」


 ネアとしばらくうんうん唸っていたら、


「もしかしたら、何かとくっつく。または、なにかと一体化する。そういうスキルじゃないか?」


 と言われた。確かにそれなら、『同化』の意味と通じる。


 とにかく、やってみた。対象は魔力と自分。周囲に魔力を漂わせてから、『同化』を発動すると、なんと視点が変わった。動くこともできた。変な感じだった。

 とりあえず、ネアを奇襲してみようと思う。

 作戦は、『死角に忍び寄って、突然現れて殴る作戦』だ。これで、ネアにも一撃入れることができるかもしれない。












 無理でした。調子乗りました。なんなのあいつ。死角からの攻撃に対応するとかチートだろ。しかも反射してきました。無理ゲーです。いやね、予想はしてたけどさ、あんまり簡単に対処されるとさ、つらいじゃん?

 

「まぁまぁ、人間はそんなもんだ。竜人には敵わない」

「うっせぇ! お前が強すぎるんだ」


 ネアがなだめてくれるが、惨敗を喫した自分の心は素直になれなかった。そのまま十分くらいグダグダやってた。











 王国side

 ナリアトル王国の王、イラクス・グラティア。容姿端麗、文武両道。ここまでくると完璧そうだが、一つ欠点がある。それは、「性格が終わっている」というもの。

 

 例を挙げる。使用人が通路掃除をしていた時に、バケツの位置が通行に、少し邪魔になっていることがあった。ちょうどイラクスが通りかかって、


「今すぐこのバケツを移動させろ。今すぐだ」


 と言った。使用人は、すぐにバケツを移動させて、すみません、と謝った。満足したイラクスは歩いて行った。だがその使用人が


「ちょっとくらい、いいじゃないか」

 

 と、呟いた。イラクスはその使用人を解雇した。

 その使用人は、職を見つけれず、今は奴隷として生きているそうだ。

 

 こんなことが多々あるのだ。当然嫌われる。だが誰も口には出せない。前例があるから。

 

「クソ!」


 イラクスの、大声に、周りの使用人たちがビクッとする。イラクスは苛立っていた。理由は、「勇者召喚」の件である。

 

 もともと、ナリアトル王国は、ユイマス王国に戦争を吹っ掛けようとしていた。

 ユイマス王国は、世界一資源が豊富と言ってもよい。海に面しており、森もある。領土内にバカでかい鉱山もある。

 

 そんな国が欲しかった。


「だから『勇者召喚』までしたというのに」


「召喚されたのは、ただの、中肉中背で焦げ茶の髪を持っている不細工男。女ならまだ使い道はあったが」


 ちなみに優太は別に不細工ではない。イケメンが跳梁跋扈するナリアトル王国の基準で見たら、だ。

 日本レベルで見ると、中の上の中の上だ。悪いほうではない。


 とにかく、裏切られた気分になった。


「まぁいい。魔法陣はもう一つある。それに……お前もいる。なぁ?」


 ニヤリ、と気持ちの悪い笑顔を浮かべるイラクスの目線の先には、紫色のとんがり帽をかぶった、どことなく気味の悪い女がいた。







 








 

最後までお読みいただきありがとうございます。


基本的に、王国側は三人称で書こうと思います。変なところがあったら、感想で教えてくださると助かります。変なところの報告じゃなくても、感想お待ちしております。

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