やらかしルクセリア
その後の晩餐会は滞りなく終わった。
なんと言うか、第三王妃といい偽聖女といいキモかった。
ほーら私魅力的でしょう?あなたも私の事が好きになるわよね?
みたいな・・・。
あの変な自信はどこからくるのか。
無駄に誇張した盛乳でグイグイこられても・・・
まぁ詳しい説明は省かせて貰う。
思い出すとトラウマになりそうだ。
現に大叔母は帰宅後1週間寝込んだ。
王の奪還も無事に終えて、ダミー人形が寝かせてある。
第三王妃達は、夢の様な一夜を過ごした事だろう。
ふふふ 朝が来るのが楽しみだ。
朝の礼拝時間城内で悲鳴が上がった。
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ』
『神官長様これはいったい・・・。
神聖なるこの場所で何をしておられるのですか!』
『聖女様!貴方がこのような事をなさるとは!』
礼拝に訪れた神官達が目にしたのは・・・
媚薬と幻術によって夢の様な一夜を過ごし
裸で抱きしめ合って眠っている神官長と偽聖女の姿だった。
当の2人はまだ余韻から覚めていないようで呆けていた。
その姿を第二王子は血の気を失った顔で眺めるしかなかった。
一方礼拝時間になっても姿を現さない第三王妃を迎えに来た侍女頭も悲鳴を上げていた。
『ヒィィィッ。
誰かっ・・・誰かあぁぁぁぁぁぁぁ。』
『何事ですかっ。
ヒッ・・・
大変だ。第三王妃様がご乱心だ!!』
彼等が目にしたのは
第三王妃と魔導士長が仲睦まじく裸で寄り添う姿だった。
この2人も媚薬と幻術によって夢の様な一夜を過ごしたのだろう。
悦に浸っているようだった。
この詳しい説明も省かせてもらう。
ラウラ家一同が変なトラウマになっても困るので。
彼等はまだまだ若いのでこれからの事もあるし。
第二王子は自分の婚約者である偽聖女と実母である第三王妃の不貞と醜態に
現実を受け入れる事が出来ず正気を失ったらしい。
北の塔で軟禁する事となった。
第三王妃・偽聖女・神官長・魔導士長の4人は
帰還した第一王子の指示によって遥か彼方の無人島へ島流しとなった。
この馬鹿共に掛けた幻術の効果は数ヵ月続くだろうから・・・
まぁお幸せに?・・・切れた後は知らないけども。
その他の小悪党は復帰した現国王と第一王子で処分してくれるだろう。
ふふふ、第一王子が王宮に姿を現した時は最高だった。
高官や貴族達のは血の気を失い、気絶する者まで居たからな。
国政が落ち着くまでは兄や兄の部下たちがフォローするらしいし。
現国王はあの部屋から連れ出せばすぐに眼を覚ますことが出来た。
体力が落ちているので、しばらくは魔国にて療養する事になるだろう。
自分が不甲斐ないと嘆いていたが王弟殿下(本物)がそんな事は無いと
今後についても相談に乗っているので心配はないだろう。
ラウラ領も無事返還され魔国領となった。
ルクレシアは今までまともな教育を受けていなかったので
王城にて教育を受ける事になった。
『お姉様この度は本当にありがとうございました。』
「無事に終わってよかった、これでセリアも自由の身だな。』
『はい、お姉様達のお陰です。』
大まかな事は落ち付いて来たので
私とルクセリアは久々にティータイムを楽しんでいた。
ルシエルやガブリアスまで居るのだが・・・。
「ルシエル・ガブリアス。学園の授業はどうした?」
『『 今日は休校だ。 』』
『だったらお父様たちに顔を見せに行けばよいではないですか。』
『父上の顔など見てもつまらん。メイファを見ている方が良い。』
『僕もだな。可愛いルクセリアを見ていたいよ。』
『せっかくお姉様と2人きりの時間でしたのに。』
『随分とつれないなあルクセリア。』
などの会話が繰り広げられ、仲の良い3兄弟を微笑ましく眺めていたのだが。
グラッと地面が揺れた。
地震だ。
魔国は火山が多いので地震も多い。
今回の揺れはデカイ?!
セリアの足元に亀裂が入りかけているのが見えた。
「セリア、危ない!!」
セリアを抱えて亀裂を避けた。
はずだったが 私の左足は亀裂から吹きあがった熱波によって無残な姿になって来た。
『お姉様!!』
セリアがすぐに治癒魔法を掛けようとする。
治癒魔法?!
待てセリア! それは・・・
治癒
ああぁぁぁぁぁぁ・・・・
ジュゥーという音と共に私の左足は消滅した。
『『『 え?・・・ 』』』
3兄弟は茫然としている・・・。
「セリア・・・。
私は魔人族の王族だ。
つまりは魔王の一族だな。
魔王の一族とは闇の一族でだな・・・。」
『セリアの聖属性魔法は効かないどころか・・・』
『傷付けてしまうと言う事ですか?』
「まあそうなる・・・。」
『あああ、どうしましょう。私・・・。
お姉様ごめんなさい。私。私・・・。』
「セリア、落ち着いて?
足の1つや2つ 無くても大丈夫だ。」
『足は2つしかありません!』
「セリアつっこむのはそこじゃなくてだな。」
取り敢えず揺れも収まったので室内に戻る事にした。
私達魔族は多少の傷であればすぐに治ってしまう。
自治能力が高いのだ。
大怪我をした場合は魔人族用のポーションで治す。
人間用のポーションは光属性や聖属性なので使えないのだ。
治癒魔法も同じ理由で使えない。
がセリア達はそれを知らなかった。
知らなくても当たり前だ。
魔人族が大怪我をする事などめったにないのだから・・・。
侍女長と執事が駆けつけて、私の無くなった左足を見て大慌てをしている。
『お・・・王女殿下のあ・・・もごもごもごっ』
(黙れじぃ! セリアが余計におちこむだろうが!)
(ですが殿下。)
(ですがじゃない!いいか、これは事故だ。不可抗力だ。)
(ですが・・・)
(永遠に口を開けないようにするか?)
(不可抗力ですね、はい。)
(んむ)
『お姉様・・・。
お姉様ごめんなさい。
お姉様の事は私が責任もって一生お世話いたしますから!』
「いやいやセリア。気にしなくていいから。
一生お世話するとか大丈夫だから!
本当に気にしなくていい。すぐ生えてくるさ。」
『草木じゃないんだから生える訳ないでしょう?!』
「うっ・・・。まあ義足を作ればいいだけだ。』
『いえ、貴女の事はルクセリアの兄たる私が責任を持ってお世話を!
貴方の婚約者でもありますしね。』
「いやいやルシエル。婚約を承諾した事はないぞ?
しかも兄だから責任を取るってのもおかしいだろ!」
『では婚約者として、貴方の手となり足となりましょう。』
「いや手は無事だから!ちゃんと2本あるから!
足も義足つくるから!」
『いえいえ、僕がお世話させていただきます!
メイファ姉様の事は僕にまかせて?
兄上は安心して長男としての務めを果たしてください。』
「ガブリアスも落ち着け。
たかが足の1本だ、魔道具で義足を作ればよいだけだ。
そんな責任を取ってもらうようなことではない。」
『僕がお世話をしたいんです。
ずっとメイファ姉様の傍に居たいんですよ。』
「5年前まで私がガブリアスの世話をしてたのに?
赤ん坊の頃はおむつだって・・・」
『うわあああああ。
姉様!僕はもう成人したんですよ?!
赤ん坊の頃のことなど忘れてくださいっ!』
なんだか変な方向に話が展開しそうになったので
3人は帰宅だせたのだが・・・。
さてどうしたもんだろう。
読んで下さりありがとうございます