捨てられた聖女
拙い作品ではありますが宜しくお願いします。
毎日21:00更新予定です。
『お姉様ごめんなさい。
お姉様の事は私が責任もって一生お世話いたしますから!』
『いえ、貴女の事はルクセリアの兄たる私が責任を持ってお世話を!』
『いえいえ、僕がお世話させていただきます!』
いやいやいやいや ご遠慮申し上げますから!!
女性の趣味とかないですし、1人で大丈夫ですし!
誰かこの聖女様兄弟をどうにかしてぇぇぇぇぇ。
1ヵ月前
聖女様が東の森へ魔物討伐に行くからと護衛に借り出された。
高ランクの冒険者が護衛に借り出される事はたまにある。
でもこれまでは私が呼ばれる事は無かった。
私が王族に毛嫌いされる魔人族だったからだ。
なのに何故今回私が呼ばれたのか・・・。
あきらかに様子がおかしかった。
私以外の冒険者は呼ばれておらず
王宮から寄越された護衛騎士達も数が少ない。
本当に聖女の護衛かこれと言いたくなる。
理由はすぐに解った。
森に侵入してすぐに護衛騎士に襲われたからだ。
まあ護衛騎士じゃなく暗殺者だったんだけどね。
この聖女:ルクセリアが邪魔になったらしい。
異世界からやって来た自称聖女がルクセリアの婚約者である第二王子を奪った?
自分こそが聖女でルクセリアは偽物だ?
でもルクセリアはすでに聖女として国民に浸透してるから
討伐先で死んだ事にしてしまえって事か・・・。
馬鹿ですかと・・・。
神官長も魔導士長も鑑定で解るだろうに。
私が鑑定してみても間違いなく聖女はルクセリアだ。
魅了に掛かって操られる可能性は王族も神官長も魔導士長もない。
魔法抵抗力が高いからね。
疑問に思い暗殺者の1人を問いただしてみれば
『第二王子殿下が真実の愛を見つけたと・・・。』
阿呆だろ第二王子。
どうせあのギルド長もあわよく私が死ねばとでも思ったんだろうな。
だから私を護衛として付けたんだろうが。
ふん、残念。そう簡単には死んでやんないよ。
「ルクセリア様はこれからどうしたいです?」
『私は・・・どうしたらよいのでしょう?』
いや私に聞かれてもね?
それにしてもさっきから鬱陶しいね暗殺者共。
私はルクセリア様と話してるんだから静かにしてくれないかな。
こっちがのんびり座って会話してるから殺せるとでも思ったのかな?
まあ当たらないんだけどね?リフレク掛けてあるから。
「聖女様、ちょっと待っててくださいね。蠅を追い払ってきます。」
聖女様には見えない方がいいだろうから、視界遮断付きのシールドを張っておいた。
さっさと片付けてしまおう。
「さあ お姉さんと遊ぼうか?」
ニヤリと笑えば、暗殺者は青ざめた顔になる。
「大丈夫大丈夫、怖くないから。
ちょっと痛いだけだから。 優しくしてあ・げ・る♡」
えー・・・
ちょっと蔦を操って縛り上げただけなのに、白目向いて気絶とかないわー。
まだ何もしてないよ?
つまんないなぁ。
仕方が無い。ちょっとギルド長や神官長達に戦後ん頼もうかな。
ぷすっ じょりっ めりめりっ
痛覚は麻痺させたから、ほっとけば自力で帰るでしょ。
まぁ見た目がちょっとあれだけど・・・
「魔物と間違われないといいね?」ニッコリ
おっとこれルクセリア様から離れた場所に置いて来ないと・・・。
「おまたせしましたルクセリア様。」
『あの・・・大丈夫ですか?お怪我などは・・・。』
「大丈夫ですよ。ご心配なく。
さあ、まずは今夜の寝床を探しましょう。」
私1人なら木の上でも地面でもいいんだけど
さすがにルクセリア様には無理だろうなぁ。
と、しばらく森を進むと小さな泉を見つけたのでそこで夜を明かすことにした。
蔦を操って木々の間にハンモックを作る。
後は魔除けと虫よけの草を焚火に投げ込めば大丈夫だろう。
「ルクセリア様、携帯食で申し訳ありませんがどうぞ。」
あいつら本当に殺す気満々だったんだな。
食料も水も用意してなかったし。
硬くてパサパサの携帯食じゃ食べづらいだろうな。
せめてお茶くらいと思って泉の水を沸かして茶も用意したが・・・。
口にあわないだろうなあ、可愛そうに・・・。
『あの・・・冒険者様はお食べにならないんですか?』
「ああ、ご心配なく。
私魔人族なんで1週間くらいなら食べなくて大丈夫です。」
『ごめんなさい・・・。私のせいですよね。
私が自分でしっかり準備しておけば・・・』
「させてもらえなかったんでしょう?
何もかも、決められた事しか出来ず、行動範囲も限られて。
それに大事なのは今後の事です。
まずは、美味しくなくても頑張って流し込んで下さい。
そして少しでも眠って体力を温存してください。
今後の事は明日考えましょう。」
『はい・・・。』
頑張って携帯食を飲み込んだルクセリア様は大人しくハンモックに潜って行った。
眠れないだろうなと思ったのでコッソリ睡眠魔法を掛けておいた。
さてどうしたものか。
ルクセリア様のご両親を頼る事が出来ればよいのだが。
読んで下さりありがとうございます。