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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

宇奈月探偵シリーズ

乗り物大好き宇奈月探偵の事件簿2ー恨みの狙撃手

作者: 隧道坂 燈

僕、宇奈月啓太は何故かディーゼル特急の車内にいた。

秘書の宇野益海と一緒に。

僕は「昔は汽車の中であってもたばこが吸えたのになぁ…。」と言いながら、車内販売で買ったコーヒーを飲みながら、空の紙コップに落ち着いた見た目の日本製ノック式万年筆で落書きをしていた。

秘書の宇野益海は「啓太さんは緑色好きですよね。このペンといい最近買った透明軸なノック式万年筆も色がアーバングリーンですもんね?」

僕は「まぁ、好きかもな…。」と言い窓の外に目を向けた。

特急ひだは紅葉の綺麗な飛驒川を渡る。

そして、湯気の立つ温泉街を抜けて。

高山駅についた。

「あー、いくら特急でも名古屋からここまで座りっぱなしだと疲れる…。」と僕は大きく背筋を伸ばす。

町並みは5年前とさほど変わらなかった。

だけど、今までは国鉄時代のポンコツ気動車が換装されたエンジンでブォオオオオオオと風情も無く走っていたが、今は電車にそっくりなステンレスでロングシートな風情も旅情のへったくれも無い車両が普通列車だ。

僕は秘書の宇野益海に「キハ25-1101ってどういう意味か分かる?」と意地悪な質問をした。

宇野益海は「私が分かるわけ、無いじゃないですか…。そんなうんちくは良いから、行きましょ…?」と呆れた様子だった。

僕は「はいはい…。じゃあ、答えは言わないからね。」と言い、そのまま観光ガイドブックを持った秘書の宇野益海について行った。

駅を出てしばらく歩く、益海はさるぼぼのぬいぐるみを見て、僕に言う。「緑は健康運だって?病弱で不健康な啓太さんにお似合いだわ。」

僕は「いや、病弱じゃないし…。ちょっと体が弱いだけだから…。」反論する。

そして、僕は宇野益海をからかうように「益海さんこそ、ピンクのさるぼぼのぬいぐるみが良いのじゃない?24歳で一回も誰とも付き合ったことないって…。そろそろ結婚相手やいい男の人が現れても良い頃合いじゃない・・・?」言う。

「セクハラですよ。それ。私だって…。好きな人くらい…。いますよ…。」なぜか、宇野益海は顔を赤くして照れていた。

僕は宇野益海に言われるまま、緑のさるぼぼ。

宇野益海はピンクのさるぼぼを買った。

僕たちは土産店をあとにした。

宇野益海はとても楽しそうだった。

しかし、それに水を差す出来事が起きる。

後ろから、男性が宇野益海の鞄から何かを抜き取って走り出す、僕はそれを見逃さなかった。

僕は「ごめん。」と益海に断りを入れて走ってその男性を追いかけて後ろから飛びついて押し倒した。

その男性は手に持っていた宇野益海から奪った230MBのMOディスクを放り投げる。

それを宇野益海は拾う。

宇野益海は「ええ、度胸ですな…。この私に喧嘩を売るなんて…。」と言い物取りをした男性の手を踏みつけよとする。

僕は「よせ、これ以上、痛めつけるとこっちまで罪に問われる!!!」と言い、男性を解放した。

その男性はコートにひっついた落ち葉さえ払わず走って逃げていった。

僕は立ち上がって、コートに付いた土埃などを払った。

「鞄の中身は大丈夫か?」と宇野益海を心配する。

宇野益海は鞄の中身を確認して「大丈夫そうね…。ありがとう…。」と言った。

今日は休日だから、人が多いのは分かるのだけど…。

いつに増しても多い気がする。

どうやら、地元出身の大物政治家である野村金生が街頭演説をするらしい。

その大物政治家は高山の陣屋の前にいた。

人だかりが出来ていた。

僕は人だかりが苦手なので、宇野益海を連れて引き返そうとする。

その時だった。

僕はホテル3階の窓がこの時期なのに、不自然に空いているのを見つける。

僕は直感でヤバイと感じて、宇野益海に「あの3階の開いてる窓に石を投げて!!!」と言う。

宇野益海は「何故ですか…?」と疑問を感じている様子だった。

僕は「良いから早く!!!」と言い石を渡した。

宇野益海は的確なコントロールで3階の開いてる窓に石を投げ込んだ。

その直後だった銃声が響く。

門の屋根瓦が割れて、周りはパニックになる。


そして、僕たちは騒ぎに巻き込まれないようにひっそりとその場を立ち去り、ホテルへと急いでそのままチェックインして宿泊することにした。



次の朝、僕は目覚ます。

時間は午前5時だった。

宇野益海は6時半に僕の方から電話して起す約束だった。

もちろん、間違うことはないが念には念を入れて別の部屋を僕が希望した。

なぜか、宇野益海は「同じ部屋に泊まりたい。」と言ったが…。

僕はノートPCを開いて、仕事の依頼などが無いか目を通した。

相変わらず、そういう依頼は来ていなかった。

時間は6時半だ、携帯のアラームがけたたましく鳴り響いた。

僕はそれを止めて、宇野益海にモーニングコールをする。

宇野益海は「ありがとう…。」と言うが、まだ眠そうだった。

だから、僕は「7時半にフロントのあるロビーに集合。遅刻しないように」と言い、電話を切ってロビーへ向かった。

僕はしばらく、ロビーでゆっくりとホテルに備え付けられた現地の新聞を読んでいた。

どうやら、昨日の深夜に保線車両が脱線して復旧には2-3日掛かってしまうらしい。

気になることも書かれていた、意図的に線路下の砕石を退けられて工事車両の重みにレールなどが耐えられなくなった可能性もある。と僕は新聞を読みながらため息を吐いた。

7時半を1分過ぎて、宇野益海は僕の前に現れた。

「ごめんなさい…。」宇野益海の息は上がっていた。

僕は「努力は認めますか…。」と言いフロントでチェックアウトを済ました。

そこに昨日、遠巻きで見た大物政治家野村金生が来る。

フロント係は「先生、ここのホテルにご宿泊ですか?」と言う。

野村金生は「私はこのホテルに泊まっていると聞いた、宇奈月啓太という探偵を探している。」と声が大きかったので僕の耳にまで届いてきた。

僕は後ろを振り返って、「僕に何か、御用ですか…?」と野村金生に話しかける。

野村金生の後ろから小柄な議員秘書だろうか、僕たちの方に来て「野村金生の秘書をしております、真壁真結と言います。このたびは狙撃事件を未然に防いでいただき…。」と言うが、野村金生は遮るように「ここではアレだ。だから、近くの行きつけの喫茶店に行ってから詳細を話しましょう。」と言い、僕と宇野益海を喫茶店に連れて行った。


野村金生は喫茶店に入ると、マスターに何かを言い、僕たちは野村金生と一緒に奥の部屋に案内された。

野村金生は出されたコーヒーを飲みながら、「まず、貴方たちにはお礼を言わなくてはならない…。本当に昨日はありがとうございました。」と言い僕たちに深々と頭を下げた。

僕は「礼なら、僕の隣に座っている秘書。宇野益海に言ってやってください。あの的確なコントロールは僕じゃ出来ませんよ。」と宇野益海の方を見た。

野村金生は「そうかそうか」と言い大笑いをする。

議員秘書の真壁真結は電話が来たみたいで、このタイミングで金生に「先生、すみません。」と言い席を立った。

野村金生は言う。「今回、私は無事であったが犯人は逃げられてしまった。一緒に犯人を捜してくれないか…。」と言う。

僕は「分かりました。お受けしますその依頼。」と言う。

僕は鞄からこんな事もあろうかと持ってきた契約書を出して「ここに記入をお願いします。」と言う。

僕は野村金生が書いている間に「心当たりはあるのですか…。」と一つ質問をした。

野村金生は「議員をやっている以上、恨みのひとつやふたつ…買ってしまうこともあるが…、殺されるほど強い恨みを買った記憶は無い…。」と答える。

わずかに手が震えて、文字が揺れた。

明らかに動揺している。

僕はポケットに挿していたジョッターと言うなのペンを取り出しながら、手で自分の耳を引っ掻いたあと、ジョッターを唇に当てて考えるフリをした。

そのタイミングで僕の秘書である宇野益海は「ちょっとお手洗いをお借りして良いですか?」と言い立ち上がった。

僕は野村金生と喫茶店の個室で二人だった。

僕は沈黙を破り「心当たりが無いとなると…、探すのは難しいですねぇ…。」と言う。

野村金生は「でも、君の噂は聞いてるよ。5年前に失踪した娘さんを無事どこに埋葬されたかを見つけ出したとね?」

僕は「あれは運が良かっただけですよ。」と言う。

野村金生は「あなたの強運。少し分けてもらいたいね。」と野村金生はガハハみたいな感じで笑った。

僕は「でも、選挙に出られるだけでも強運ですし、そして当選までされた方が運が無いって、僕はそうは思いませんね。」と言う。

野村金生は少しムッとした表情をしていた。

僕は話題を変えるように、「ここのコーヒーとても美味しいですね。」と言う。

野村金生は「私が学生時代、この喫茶店にはよく来ていた。ここのコーヒーが一番美味しいからね。それで店主とも仲良くなった…。」と言った。

真壁真結と宇野益海は同時に喫茶店の個室に戻ってきた。

真壁真結は「野村先生。次の講演の時間が迫っていますので…。」と言う。

野村金生は「じゃあ、頼むよ。コーヒーのお代は払っておくから」と言い喫茶店をあとにした。


僕もほぼ同時に喫茶店をあとにして、別の喫茶店に入り宇野益海から話を聞くことにした。

宇野益海は「間違いなく、あの人はいろんな方面から恨みを買っているし、やり手の人だったみたいだから、それはそれは…。」と言う。

僕は「直近のそういう出来事はあったか聞いた?」と宇野益海に訊く。

宇野益海は「直近だと、行政改革の効率化で仕事を失った下請け会社があって、そこの社長が野次を飛ばしたのだけど、そのあと公衆の面前で論破した挙げ句にその社長は自殺したとか…。」と言った。

僕は「分かった、そこの会社の社名は聞いた?」と言う。

宇野益海は「えぇ、聞きました。東征社です。情報は調べてあります。」と言い、宇野益海は調べた情報をノートPCを開いて見せてきた。

僕は東征社について調べた。

「普通に大企業のだな…。これが先生の一声で潰れたと…。これは恨みを買うわけだ…。しかも、東大卒とかのエリートを取っているし…。敗れたときのエリートは恐いからなぁ…。」と僕は呟いた。

益海は「実体験ですか?」と聞いてきた。

僕は「浅いながらも、僕の経験則だよ。」と言った。

僕は秘書の宇野益海に情報収集を引き続き頼んだ。

せっかくの休日だったのに、僕も秘書の益海もすっかり仕事モードだ。

とりあえず、僕たちは喫茶店をあとにして再びホテルへと戻りチェックインを済ます。

そしてそれからは、おのおの部屋で情報収集をした。

しばらくして、僕の携帯にショートメッセージが入る。

確認をすると、メッセージは益海からだった。

「重大なことが分かったので、そちらの部屋に向かいます」とのことだった。

宇野益海は僕の部屋の戸をゆっくりとに4回ノックした。

僕は戸の施錠を解いて、宇野益海を部屋に入れた。

宇野益海はPCの画面を見せてきた。

なんと、SNSに野村金生を暗殺するとほのめかす投稿が有りその上で何とのその投稿主は同じ高山市に居る。

僕は秘書の宇野益海に言う。「魚拓は取った?」

宇野益海は「えぇ、既に取ってあります。」

その上で僕は「2つの投稿のロケーション解析は?」と聞いた。

宇野益海は「投稿のロケーション欧州ですが、写真の撮影場所と写真がオリジナルである可能性が高いことが分かったので、間違いなくこの街にいます。」と続ける。

僕は「それは別の季節に撮られたモノでは無い?」と確認をする。

宇野益海は「日の差し方、生えてる植物からしても最近に撮られたモノで間違いないかと」と付け加えた。

僕は野村金生の秘書である真壁真結に電話を掛ける。

真壁真結は3コール以内に電話に出る。

さすが、一流議員の秘書だ。

「はい、真壁ですが…、宇奈月さんどうされましたか?」

僕は「ちょっと、説明したいことがあるので野村先生と一緒に今朝の喫茶店に来ていただけませんか…。」と伝えた。

僕は宇野益海が取った投稿の魚拓を見せた。

議員秘書の真壁真結は言う。「野村先生。このあとの講演を中断して今日は護衛のあるホテルでゆっくりしていて下さい。」

僕は「元の投稿が消えてしまいましたが、当該の投稿主がしている過去の発言を見る限り、彼は本気です。」と付け加えた。

野村金生は「どこのどいつかわからんが、こんな卑怯なやつに屈していたら議員なんて務まるモノか。」と僕らを怒気に満ちた表情で睨む。

僕の秘書である宇野益海は「知りませんよ。彼はきっと本気です。」と言う。

野村金生は「いいか、小娘。どんな技術でその魚拓を取ったか知らんが、本当はお前らの捏造なんじゃないのか?」と言う。

僕は無性に腹が立ったが、押さえ込んだ上で言う。「僕たちは依頼主である貴方を守り、犯人を特定するために秘書と全力を尽くしています。あなたに僕や僕の秘書である、宇野益海を信頼していただけないなら、僕はここでこの仕事を降ります。」と冷静に言った。

野村金生は「勝手にしろ」と言い、そのまま立ち去ってしまった。

僕は益海に言う。「追いかけるぞ。」

宇野益海は「追いかけるんですか…。」とポカーンした様子だった。

僕は「勝手にしろとは言われたが、相手は契約書を破り捨てては居ない。契約は有効だ。仕方ないから、追いかけるぞ。」と言い講演会の会場へ先回りした。

僕らは後ろの方の席で、じっと待っていた。

席は時間ともに埋まっていき講演開始直前には、ほぼ満席と言った具合には人気の代議士であるようだ。

司会の人が「野村金生先生のご登壇です。」と言う。

一同は拍手をする。

僕もつられて拍手をするが…。

宇野益海はして居なかった。

野村金生は凜々しくも優しい顔で、講演を始める。

隣には安全のためか、野村金生の秘書である真壁真結の姿があった。

僕はゆっくりと席を立って、僕の秘書である宇野益海もそれに続こうとする。

しかし、僕は宇野益海にはここで待っているように小声で伝えて、その場をあとにした。

僕は会場の外で「この会場は2階席もあったはずだ…。」と言い、今日は使われていない2階席へ急ぐ。

僕はミキサー室に隣接する、2階席に入る。

ライフルを構える男性が居た。

僕はこっそり近づいていく。

閃光が走る。

寸でのところで止めることは叶わなかった。

僕は狙撃犯を逃すまいと身を挺してドアを塞ぐ。

狙撃犯はポケットから拳銃を取り出し、「俺は旧ソ連時代にソ連で訓練を受けた兵隊だ」と言う。

僕は「その割には、若くないですか?ソ連崩壊は30年以上も前ですよ?」と言い、狙撃犯を蹴り飛ばして、狙撃犯は拳銃もろとも1階席へ落ちていった。

狙撃犯はその反動で1階の席へと転落した。

しかし、今回は犠牲が多すぎた。

なぜなら、声かけが遅れた所為で野村金生の秘書である真壁真結が狙撃されて死んだ上に、狙撃犯から事情を聞こうにも転落する際に自らの頭を打ち抜いて、狙撃犯は死んでしまった。

秘書の宇野益海が僕の元へ戻ってきた。

野村金生の様子がおかしかったというのだ。

秘書が撃たれた割には、動揺すらしてなかった様子だったらしい。

僕は益海に「今回はちょっと強引な手法を使っても良いから、情報収集を頼みたい。」と言う。

宇野益海は「わかりました。」と言いPCを開いた。

僕は宇野益海ほどのPCスキルは無いので、ただ後ろから宇野益海を見守ることしか出来なかった。


僕は言う。「バッテリーは大丈夫?」

宇野益海は「そろそろヤバイ…。」と言ったので僕は宇野益海と一緒にホテルへ帰った。

僕は疲れて切って眠ってしまった。





僕は朝6時。

宇野益海から電話で目が覚めた。

宇野益海は「メールを見てくれました?」と言う。

僕は「機密事項で無ければ、口頭で伝えてくれ。」と言う。

宇野益海は「そっちに行きます。」と言い一方的に電話を切った。

程なくしてドアがゆっくり4回ノックされるので、鍵を開けた。


宇野益海は僕に耳打ちする。「野村金生は私たちより先にあの日に狙撃をされるのを知っていた。」

僕は「それ本当か?」と答える。

宇野益海は僕にPCの画面を見せてきた。

それは野村金生宛に送られた脅迫メールだった。

そこには「野村金生。議員を辞めないのならあんたの秘書を撃つ。」と書いてあった。


僕は野村金生に直接連絡を取る。

そして、野村金生と会う約束を取り付けた。

野村金生は指定した喫茶店に時間通りに現れた。

野村金生は「待たれましたか?」と言う。

僕は「時間ぴったりですよ。」と告げる。

野村金生は「それならば良かった。」と言う。

僕は「秘書の件。阻止できず、大変申し訳ありませんでした。」と謝罪した。

野村金生は言う。「あそこで、身を挺して秘書が守ってくれてなければ、私はこうやって今。ここで離すことも出来なかった…。」と言う。

僕は「そういえば、野村先生。僕に明かしていない情報があるんじゃないんですか…?」

野村金生は「いやー、全部情報は出したはずだけど…。不備でもあったかね?」とやはり何かを隠していた。

「あの時、あなたの秘書である真壁真結は撃たれたことに動揺をしていた。何故、私が。という様子で。しかし、貴方は常に側に居た秘書が撃たれたにもかかわらず、動揺ひとつせずに周りに的確に指示を出して、その後も講演を続けた。それは狙いが自分では無く、秘書に向いていたと知っていたからではありませんか?」僕はそう言い野村金生を問う。

野村金生は「よくも、そんな想像ばかり並べられるな、君の想像力には感心するよ…。でも証拠は無いだろ?」と言い席を立つ。

僕はため息を吐いた。

そのタイミングで、僕は自分の秘書から電話で呼ばれた。

「すぐに戻ってきてください。」と。

僕は慌ててホテルまで戻った。

益海は再び僕にPCの画面を見せて、「あれからメールの追跡していたのですが、今度は秘書では無く、野村金生。本人を狙うと書いてあるんです。」と言う。

僕はPCの画面を凝視する。

僕は益海に言う。「今度の講演はいつだ?」

益海は「明日の11時からで今度は立食パーティーみたいな感じらしいです…。」

僕は「立食パーティーだと、狙う側にとってはすごく都合が良いはずだ…。」と言いため息を吐いた。

僕はためらいがあったが、警察へと協力を要請した。

僕は警察と一緒に、野村金生が主催する立食パーティーの会場へ行き、警備に当たる。

秘書の宇野益海はメイド服姿で別行動をした。

宇野益海は僕が近くを通った瞬間にメモを渡してきた。

そのメモには怪しいホテルマンが野村金生に渡す直前の料理に何か怪しい粉を振りかけていたと、僕は野村金生の元へ向かって言う。「その料理、食べてはいけませんです!!!毒が盛られた可能性があります!!!!」と叫ぶ。

近くにいた、警察が慌てて駆けつけて料理を下げて、試薬を使い毒の検査をする。

やはり、毒は盛られていたようだった。

僕は野村金生の隣に座る。

野村金生は不快そうだった。

しかし、それ以降毒が盛られることは無かった。

パーティーも終盤に差し掛かったとき、

怪しい男が一人。

人並みをかき分けて近づいてきた。

僕はとっさにその男の進路を塞いだ。

その男は銃を構えて言う。「どけ!!!!そこを!!!!!」

僕は言う。「どきません!!!!依頼主をお守りする。この仕事を受けた以上は約束は果たします!!!」

その男は「俺はこの野村金生と言う男に会社を潰されて、路頭に迷ったんだ。こいつを殺す権利だってあるはずだ!!!!」と言い安全装置を解除した。

僕は「会社を潰されたからと言って、人を殺して良い理由にはならない!!!」と言い返した。

その男は「お前もろとも、撃ち殺してやる!!!」と言い引き金を握る手に力を入れたときだった。

その男のポケットでスマホがなる。

その男は「こんなタイミング…。」と言い、レバーから手を抜いた。

その隙を突き、僕はその男にタックルをした。

その男は不意を突かれ倒れて、拳銃を落とした。

その男は「なんで、俺ばかり…。」と言い涙を流した。

僕は「君の事は調べさせてもらったよ下田君。何十社も受けて。やっと受かった東征社は野村金生の一声で潰れた。恨みたくなる気持ちはわかるよ…。だけど、こんな形で行動を起した段階で相手の思うつぼだ…下田君。君には立ち直って欲しい。」と言い。

僕はその男性、下田の頭を軽く撫でた。

そして、その男性、下田はおとなしく警察へと連れて行かれた。

野村金生は言う。「疑ってすまなかった。そして、守ってくれてありがとう。」と少し彼の本音が見えた気がした。

僕は「仕事ですから。」と言い、宇野益海もそれに頷いた。



僕たちは復旧した高山線で帰る。

特急に乗る前の僕たちを野村先生は見送りに来てくれた。

野村先生は帽子を外して深々と頭を下げて、帽子を振る。

僕も発車する特急列車の窓越しに頭を下げて手を振った。

動き出した列車。

僕たちはいつもの日常へと帰っていく。

僕は宇野益海に言う。「桃色のさるぼぼを買ったけど高山でいい人は見つかった?」

宇野益海は「高山に行く前から、いい人は既にいますよ。バーカ。」と言う。

僕は「え?誰?誰?」と聞く。

宇野益海は「それは…。言うと思ったの?バカね?あんたもいい加減に気づきなさい?」と言いノートPCを開いた。

僕のスマホにメッセージが来た。

僕はメッセージは読まずに車窓を眺めることにした。

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