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97.

「じゃあリナ、彼女達は私が責任を持って預かるわ」


「シスター…ありがとうございます。よろしくお願いします」


「ええ、リナのようにビシビシ鍛えておくわ」


シスターはウインクすると、馬車で先に待つ彼女達の元に向かった。


「では、シモンさんみんなをよろしくお願いします。私もすぐに向かいますので…」


「ああ、わかった。リナちゃんもセドナ副団長によろしく言っといてくれ」


「はい!」


私はセドナ副団長に現状を報告してから修道院に向かう事になった。


シモンさんが馬を走らせると、遠ざかる馬車を見えなくなるまで眺めていた。




私はセドナ副団長を探しに騎士団の建物内に戻ると…


「あっ、リナ!」


ちょうどルーカスさんと行きあった。


「ルーカスさん?どうしました?」


「いや、セドナ副団長に様子を見てこいと言われて…どうだった?」


「はい、シスターに手伝ってもらって今みんな修道院に向かってます。アリスちゃん達も手伝いに来てくれたんですよ」


「アリスが?」


「はい、アリスちゃんのおかげで助かりました。私だけではもう少し時間がかかったと思いますから…」


不甲斐ない自分に苦笑する。


「そんな事ない、リナのおかげで俺達は助かってるぞ」


「ありがとうございます」


ルーカスさんの必死な様子に思わず笑みがこぼれた。


ルーカスさんに案内してもらいセドナ様の元に向かうと、先程の経緯を説明する。


「残っていた三人は…もしかしたら修道院を出る事になるかもしれませんが…シスターなら大丈夫だと思います」


「助かった。リナありがとう!シスターには後日改めてお礼にうかがおう。彼女達がどう生きるかは彼女達の自由だ。ただ、現状を把握出来るようにするのと、その後の居場所が確認出来れば問題ない」


「私も定期的に様子を伺いに行きたいのですが…許可を頂いてもよろしいでしょうか?」


「それは…こちらとしては助かるが…」


セドナ様がちらっとルーカスさんを見た。


「俺からは何もありません。リナの好きなようにさせたいと思ってます」


「そうか…ルーカスの事だから大事に自分のそばに置いて守るのかと思っていたが…違うようで安心した」


セドナ様が微笑むと、


「そりゃ、そう出来ればそうしたいですが、リナの自由を奪いたいわけではありません…それに頼りになるリナを見るのも好きですから」


「ハイハイ…変な事を聞いた私が悪かった。じゃあリナを修道院まで送ってきてやれ。だが!終わったらすぐに戻ってくるんだぞ」


セドナ様にしっかりと念を押されてルーカスさんは頷く。


「わかってます。仕事中にそういう事をするとリナに嫌われるってわかりましたから…」


ルーカスさんは少し寂しそうに返事を返した。



セドナ様に挨拶をして部屋を出ると…


「じゃあリナ、馬で送るからまた厩舎に向かおう」


ルーカスさんがそっと手を握ると優しく引いてくれる。


「こ、これは…いいんですか?」


握られた手を見つめると…


「ん?これは女性に対してこの位するだろ?」


「ルーカスさん…女性を案内する時…手を引いて行くんですか…」


ちょっと想像してみると胸の奥がざわついた…


「いや、した事ないが、リナには特別だ…セドナ副団長には黙っててくれ」


ルーカスさんが前を見ながらそう言うと、耳が赤くなっている。


「はい…」


私は握られた手を強く握り返した。

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