表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/124

95.傷

「私達はもう騙されない…もう嫌だ!こんなところ出てってやる!」


女の子はリナを睨みつけると…


「わかりました…あなたの好きにしていいんですよ」


リナはにっこりと笑って了承した。


「「えっ…」」


出ていきたいと言うので好きにしていいと言うと戸惑い、どうしたらいいのかとたじろいでいた。


「でも、もし外に出て…どうにもならなくなったらこの修道院に来てください。いつでも歓迎します」


私は紙を破くと修道院の名前を書いて、シスターと自分の名前も付け加えた。


「皆さんを修道院に縛る気はありません。皆さんの心の傷が癒えるまで居れるように騎士団の方が考えてくださったのです。でもそこに行きたくないのを無理やり行かせる訳にはいきませんから…」


「ほ、本当に出てっていいの?」


「もちろんです。私からセドナ様に伝えておきますから」


「本当に本当ね!?」


「はい、でも泊まる所はありますか?それに食べるお金も…もし無いならきっと大変ですよ」


「そ、それは…どうにかなる。今までもどうにかしてきたし…」


「それって…自分を傷つけない方法ですか?」


嫌な予感に聞いてみるとサッと視線を逸らされた。


「自分を売るとか…そんな事もうしなくていいんですよ…」


「うるさい!あんたに何がわかるのよ…もうこんなにも汚れた体…誰からも必要とされるわけない…」


女の子達は顔を覆って泣き出した。


他の子達も自分の体を抱きしめ震えている。


リナはそっと彼女に近づくと体を包み込み抱きしめた。


「大変だったね…もう大丈夫、ここにはあなたを傷つける人は居ないよ…」


「自分が…バカだったってわかってる…ごはんを食べさせてあげるって言うのを鵜呑みにしてついて行った自分が悪いって…」


「そんな事ない、一番悪いのは騙して犯罪を犯した人達だよ。あなた達は何も悪くなんてない」


リナは強く強く抱きしめた。


「あんたみたいな…綺麗で何も不自由ない人には分からない…言われたくない…」


やめてくれと拒否するように体を離される。


リナは少し離れるとそっと上着を脱ぎ出した。


「な、何する気!?」


いきなり服を脱ぐ頭のイカれた女だと彼女達が距離をさらにとると…


上着を腰まで下げて背中を向けた。


「あなた達とは違う傷だけど…私だって綺麗な体なんかじゃないよ…」


背中の傷を彼女達に見せる。


もう痛くはないが、たまに傷痕がたまにつる事がある…鏡で確認したが思いの外大きな傷痕が残ってしまった。


「ど、どうしたの…それ…」


「痛そう…」


「……」


彼女達に傷をしっかりと見せると上着を羽織った。


「この傷は、貴族の方が怒ってね…急に罰だって鞭で打たれたの。さっきいたアリスちゃん…って子居たよね。彼女もあの侯爵に捕まりそうになったの…」


「え!?あの子も…」


「そう、でもアリスちゃんのおかげでバーンズ元侯爵の悪事がバレてあなた達を見つけることが出来た」


「あの子のおかげ…」


「もう、バーンズは捕まってあなた達になにかすることなんて絶対に無いからね」


「本当に…?」


「本当だよ」


私は何度も彼女達が納得するまで説明を続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ