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85.恐怖心

「あの子達なんだが…」


副団長が悲しそうにもう子供とは呼べないくらいに成長した女の子達を見つめる。


「わかった…じゃあ連れて行きますね」


ルーカスが近づこうとすると…


ビクッ!!


ルーカスをみて全身に力を込めるのがわかった…その顔は恐怖で見つめてくる。


なんと声をかければいいかと手を伸ばす。


「君達…」


すると声をかけた瞬間女の子達がいっせいに顔をあげてルーカスを見つめた。


「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


「すみません!!」


「ぎゃぁぁ!!」


突然の謝罪に泣きわめく子…みんなパニックで震え出す。


「ルーカス!ちょっと…」


副団長はルーカスを引っ張って部屋の外に出した。


「副団長…あの子達は?」


ルーカスは女の子達の行動に驚いた。


「どうも男性が怖いらしい…売られた先できっと嫌な目にあったんだろう…可哀想に。女だからと下に見るやつは許せん」


副団長が怒りからか拳を握りしめた。


「だから女性の副団長がここを見てるんですね」


「ああ、騎士で唯一の女は私だけだからな」


副団長はどうしたものかと腕を組んだ。


「やはり私が彼女らを送った方が良さそうだな…」


「しかし副団長はこれからまだ仕事があるのでは?」


団長が働いていたのだ、副団長もまだ仕事があるのだろう。


「そうだがこの子達があんなに怯えているのに男のお前に任せられんだろ」


セドナ副団長は仕方ないと部屋に戻ろうとする。


「あっ…それならリナにあの子達を任せるのはどうでしょうか?リナならきっと親身になってくれるかと…」


「リナちゃんに?そりゃリナちゃんなら安心して任せられるが…騎士の仕事を押し付けていいものか…」


セドナ副団長がどうしようかと悩んでいる。


「本人に聞いて決めてもらうのはどうでしょうか?俺すぐに行って聞いてきますが?」


「じゃあ…頼む。しかし無理強いはしないでくれ」


「もちろんです!リナが嫌がることなんて絶対にさせませんから」


「まぁ…ルーカスならそうだな」


セドナ副団長はクスッと笑うと、頼むとルーカスの肩を叩いた。


ルーカスは喜び勇んでブライアン団長の屋敷に向かった!


屋敷に着くと、既に荷物を運び終えたリナとアリスが綺麗なドレスを身にまとって出てきた。


「リナ…アリス…その姿は…」


ルーカスが思わず見とれていると、


「こ、これは…ブライアン団長の奥様のフレア様とセーラ様のお母様のエーデル様が…」


恥ずかしそうに頬を赤くする。


「あら、リナさん私の事はお母様って呼んでって言ったじゃない!」


「お母様より私をお姉さんって呼ぶ方が先でいいですよ」


すると後ろからフレア様とエーデル様がニコニコと笑ってついてきた。


「お二人共…」


リナが戸惑っている。


「本当に可愛い娘が出来て嬉しいわ~ルーカスさん、結婚まだ先でもいいんでなくて?もう少し新しい娘と孫と一緒に居たいわ~」


フレア様がリナの右側に寄り添って優しくその頭を撫でた。


「私も妹は初めてだからもう少し楽しみたいです。セーラもアリスちゃんと居たいみたいだし」


エーデル様も連れてきたセーラ様とアリスの頭を撫でてリナの腕に絡みつく。


「もったいないお言葉です。こんなに良くしていただいて…何を返せばいいか…」


リナが頬を赤くしながら二人の気持ちに応えたいと悩んでいた。


「何言ってるの!?私は十分娘のセーラの事で感謝してるわ!私こそリナさんになにか返したいと思っていたところにお父様からこの話を聞いて二つ返事で了承したのよ」


「ええ、孫のセーラを可愛がってくれて…うちとしてはなんの問題もないわ」


エーデル様が優しい笑顔でリナを見つめる。


二人に挟まれて右往左往するリナを見つめて思わず声をかける。


「お、お二人共…リナを大切に思ってくださるのは嬉しいのですが…ちょっと騎士団で問題がありまして…少しリナをお借りしてもよろしいでしょうか?」


ルーカスの言葉にリナはホッとした顔を向けた。

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