76.けんか
「とりあえず…騎士団に行きましてその旨も話し合いをしないといけませんね…」
アリスちゃんも起きたことだし、とりあえず私達は騎士団に向かう事にした。
その移動の間、アリスちゃんはベッタリと私にしがみついて離れてくれそうになかった。
「まるで赤ちゃんに戻ったみたいだな…」
ルーカスさんがアリスちゃんの頬をつついてそう言うと
「うー！ルーカスきらい」
アリスちゃんがからかったルーカスさんにぷいっと顔を背けた。
「あっ！ち、違う！可愛いと思ってだな！アリス…ほら機嫌直してくれ」
ルーカスさんは嫌いと言われて慌ててアリスちゃんのご機嫌を戻そうとしている。
「ふふふ…」
その様子に思わず笑ってしまうと
「リナ、酷いなぁ笑うなんて」
ルーカスさんは本当に困った顔でオロオロとしていた。
「いえ、アリスちゃんに怒られるなんて羨ましいです。ルーカスさんには心を本当に開いてる証拠ですよ」
「そうなのか？」
「ええ、ケンカをして、仲直りをして…その繰り返しで本当の家族のようになっていくんではないでしょうか…私もいつかアリスちゃんとケンカする日が来るかな？」
私は笑いながら怒っているアリスちゃんを見つめた。
「リナと？うーん…リナはやさしいもん」
アリスちゃんは私を見つめてから、そんな日が想像できないのか難しそうな顔で考え込んでいる。
「確かにな～リナに怒られるなんて…あっ…俺は何度かあるな…」
ルーカスさんは思い当たることがあったのかくすくすと笑っている。
「え？私何か怒りましたっけ？」
ルーカスさんに怒ることなんて…
考え込んでいると…ルーカスさんが近づいて耳元で呟く。
「リナにキスし過ぎてな…」
あっ…
その事を思い出して顔を赤くしてしまった。
「え！なになに！ルーカスなにしたの～アリスもそれやる！」
アリスちゃんはルーカスさんを怒っていた事を忘れてしまったのか、教えてとルーカスさんに迫っていた。
ルーカスさんは笑ってアリスちゃんに何かを囁いた。
まさか本当の事を！？
アリスちゃんはルーカスさんの言葉に首を傾げると…
「それをすればリナおこるの？それでもっとなかよしなるの？」
「ああ、間違いない！」
ルーカスさんに確認するとアリスちゃんが私を見つめた。
「ルーカスさんアリスちゃんに何を言ったんですか！？」
「俺は本当の事しか言わないぞ、なんせ騎士だからな」
「リナ！こっちきて！」
可愛いアリスちゃんに近くに来いと手招きされて逆らえるはずもなく近づくと…
「リナ…すき！」
アリスちゃんからの突然の告白に、そのまま頬にキスをされた。
こ、これは…
あまりの可愛さに呆然とする。
私が固まっていると、アリスちゃんは足りないと思ったのか今度は反対の頬にチューっと思いっきり唇を押し当てた。
「リナ…おこった？」
アリスちゃんが窺うように顔を覗き込む。
「アリスちゃん…もう！可愛すぎ！」
私はアリスちゃんを掴まえてその可愛いすぎる行為を注意した！
