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75.これから…

アリスちゃんが寝てしまったので、起きてから騎士団に向かう事になった。


その間にサロンにてルーカスさんと美味しいお茶とお菓子をご馳走になる。


「ん~美味しいです…こんな美味しいお茶飲んだ事ありません」


「それはよかったです。これからはいつでも飲めますよ」


私の感想にイアンさんが笑顔で答える。


「リナ、このお菓子も美味しいぞ!食べてみてくれ」


ルーカスさんがフォークに刺したケーキを差し出してきた。


「ル、ルーカスさん…さすがにここでそれは…」


私はメイドさんやイアンさん達の温かい視線に顔を伏せた。


「あっ…すまない」


ルーカスさんも気がついたのか、頬を赤くしてぎこちなくケーキを頬張ると、


「ムッ!」


喉に詰まったのか胸を叩く。


「ルーカスさん!大丈夫ですか!お茶を飲んで下さい」


慌ててルーカスさんに近づいてお茶を手渡すとゴクゴクと飲み干す。


口の周りを拭いてあげて大丈夫か顔を覗き込んだ。


「大丈夫ですか?気をつけて下さいね」


「ありがとう、もう大丈夫だ」


ルーカスさんが笑ってお礼を言うと


「本当にお二人は仲がよろしいのですね」


イアンさんがニコニコと笑いながらお茶のお代わりを入れてくれた。


「あっ…いえ…」


私はルーカスさんから距離を取るように座り直す。


気まずい時間が流れると…


「イアンさん!アリス様が…」


アリスちゃんの様子を見ていてくれたメイドさんが慌てて部屋に駆けつけてきた。


「アリス様がどうされた!?」


「それが起きた途端に泣き出して…私達では…リナ様とルーカス様を呼んでおられます」


私達は頷き合いメイドさんの後を追った。


部屋に近づくとアリスちゃんの声が聞こえてきた。


「あぁ~!!」


アリスちゃんの泣き声に胸の奥がキュンと痛くなる。


「アリスちゃん!!」


部屋に駆け込むと、アリスちゃんが目を赤くして私に気がつくと駆け寄ってきた。


「リナぁ~!そばにいるっていったぁ~」


「ごめん、アリスちゃん…」


アリスちゃんを抱きしめると、アリスちゃんが顔を体に押し当てて埋めてきた。


「アリス様…寝起きはいつもこのような?」


イアンさんが心配そうに聞いてくる。


「いえ…こんなにも取り乱したのは初めてです…いつもは一人できちんと起きてきますから」


「環境が変わって不安になっているのかもしれないなぁ…アリス、おいで」


ルーカスさんがアリスちゃんの頭を撫でると抱きあげようとする。


「んっ…」


アリスちゃんも頷きルーカスさんに手を伸ばした。


ルーカスさんに抱かれて、アリスちゃんは少し落ち着いたのか泣き止んだが、まだ不安そうにルーカスさんにしがみついていた。


「どうした?いつもなら平気だっただろ?」


「うん…でも…おきたら…いつものへやじゃないんだもん…」


アリスちゃんは顔を隠しながらつぶやく。


「大きい部屋で一人って不安になるよね。大人でもそうだよ」


アリスちゃんを慰めるように背中を撫でる。


「これからはこちらの屋敷で過ごしてもらおうと思ってましたが…少し考えないといけませんね」


イアンさんが腕を組んで考え込む。


「だ、だいじょぶ!リナとルーカス…いるでしょ?」


アリスちゃんはイアンさんに顔を向けると…


「アリス様…ルーカス様はもちろんご一緒におれますが…リナ様は婚姻前となりますので結婚するまでは別々になってしまいます」


「えっ!?」


アリスちゃんの絶望的な顔になんだか可哀想になってしまう。


「いっしょ…ダメなの?」


「うっ…」


イアンさんはアリスちゃんに首を傾げられて今までで一番困った顔をしている。


「私は構いませんが…」


「ですが婚姻前に一緒に住んでいると、ある事ない事喋り出す人達がおりますから…うるさい輩を黙らせておくためにもそういう事はきっちりとしていた方がよろしいかと…」


「でももう一緒に住んでいたぞ?」


「それはまだ正式には発表されておりませんので…この後騎士団にて正式にリナ様はブライアン団長様の家に入られます。そうなると…」


「うっ…リナ…」


アリスちゃんのまた泣き出しそうな顔に私の胸は締め付けられた。

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