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63.王子と婚約者

第二王子のフェニックス様の登場に、騎士達は胸に手を当てて頭を下げた。


フェニックス王子はまだ子供ながら冷淡にその光景を見つめていた。


「フェニックス王子!いいところに来てくださいました!こいつらの愚行を見てください、侯爵に対するこの態度!騎士としてあるまじき行為です!」


バーンズは王子の出現にしめたと口角を上げた。


王族の目の前で騎士達のこの失態を見せられると目論んでいた。


「そうですね…侯爵と言うに相応しい人にならそうだと思います」


フェニックス王子の言葉にバーンズは首を傾げる。


「そ、それはどういう事でしょうか?」


「私の聞くところによると、あなたは養子縁組の書類を改ざんして無理やりそこにいるアリス嬢の親権をもぎ取ったと報告を受けていますが?」


「な、そ、そんなのは嘘です!騎士達のでっち上げだ!この男はアリスから目を離して怪我をさせたのは事実です!」


バーンズはルーカスを睨みつけた。


「いえ、これは騎士からの報告ではなく私の近侍に調べてもらいました…それにアリス嬢の怪我は後日きちんとブライアン団長からも報告を受けています。それで問題ないと判断されたようですが…これを調べた私の近侍が嘘をついているとでも?」


「い、いえ…」


「こちらにいる、ルーカスさんは私も警護で大変お世話になっており彼の人となりは知ってるつもりです。子供に対して何かするなど思えない…まぁ扱いは得意そうではないですけどね…」


ちらっとルーカスに目をやると、ルーカスさんが申し訳なさそうに頭を下げた。


「それにある方に聞いたところ、雇った家政婦さんのおかげでアリス嬢の心の傷も回復していたと聞きましたよ。彼女のおかげで彼らは幸せそうだと…」


「そ、そんなのは…なんとでも言えます!実際アリスは喋れなかった!誰ですか王子にそんな嘘を言ったのは!?」


冷静に話していたフェニックス王子の顔があからさまに歪んだ。


「この話を教えてくれたのは私の婚約者のセーラだ…バーンズ侯爵、私のセーラまで侮辱する気ですか…」


「セーラ?」


アリスは王子の口から出てきた名前に顔を見つめた。


王子はアリスの様子に気がつくと…


「ええ、お二人には私のセーラが大変お世話になりました。元気の無かった彼女が最近明るくなり、それもお二人のおかげだと話す彼女の可愛らしいこと…」


王子の怒り顔が急速に惚気の顔になる。


「フェニックス王子…な、何を言ってるんですか…」


すると後ろからセーラ様が顔を赤くして王子を止めた。


「セーラ…様…?」


「リナ!アリスちゃん!」


セーラは二人に気がつくと急いで駆け寄った!


「よかった…二人が無事で…おじい様に聞いた時には血の気が引いたのよ!もう心配ばっかりさせて!二人とも今度ゆっくりとお話聞かせてもらうからね!」


ぷんぷんと目に涙を溜めながら怒っている。


「ふふ、怒るセーラも可愛いな…」


そんな様子をフェニックス王子は微笑ましそうに見つめていた。


「えっと…どういう事でしょうか?」


リナはわけがわからずにセーラ様を見つめると…


「すみません…内緒にしてたんだけど、私はフェニックス王子の婚約者なんです」


「えっ…」


知らないのはリナだけだったのか他の人は驚く様子も見せなかった。


「セーラは王子の婚約者と言うこともあって他の令嬢達に遠巻きにされていてな…その事で落ち込んでいたんだ。セーラが日に日に元気が無くなるので、このままではいけないと婚約者を辞退しようとしていた時にリナとアリスに出会ったんだ」


ブライアン団長がセーラ様の頭を優しく撫でながら教えてくれた。


セーラ様はブライアン団長を見上げて恥ずかしそうに微笑むと肯定するように頷いた。

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