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57.リナの思い

リナはルーカスの家を出て一人目的もなく歩いていた…


自分のせいでアリスちゃんをルーカスさんから取り上げてしまい、しかも自分と婚約する事で彼の迷惑になってしまうと言われた。


違うと頭では思っているのに全てを否定出来ないでいた。


確かに庶民の自分と婚約をする事にルーカスさんにはなんにもメリットは無い。


しかもアリスちゃんを目の前で奪われたのに動けない…自分には何も出来ないのだと言われた気がした。


ふと気がつくと私は修道院にたどり着いていた。


庭では修道院にいる子供達が楽しそうに遊んでいて、いつものベンチにシスターが座ってそれを眺めている。


ひかれるようにシスターに近づくと…


「リナ、座って」


シスターは私に驚くこと無くにっこりと笑って隣を勧めた。


「シスター…私…」


私は座る気になれずにシスターのそばに立ち尽くす。


するとシスターが優しく手を握りしめてくれた。


「そんな捨てられた子供のような顔をしてどうしたの?」


シスターは笑いながら手を引いて隣に座らせる。


「私…もう、どうしていいか…」


「何があったのかわからないけど、私はいつだってあなたの味方よ」


シスターは何も聞かずに私の手を掴むと、いつもと同じように微笑んだ。


「シスター…私、ルーカスさんやアリスちゃんに何もしてあげられませんでした。私がした事は全て間違っていたのかも…」


バラバラになってしまった…いや、してしまった。


シスターは少し驚いた顔をした後すぐにいつもの笑顔に戻る。


「リナ、あなたはあなたの思うようにすればいいの。それとちゃんと自分が幸せになる事を考えている?」


「幸せに…」


「あなたの本当の気持ちは?」


「アリスちゃんと…ルーカスさんと今までみたいに幸せになりたい…でもそれが彼らを不幸にするなら…」


「私が見たところアリスちゃんもルーカスさんもあなたが大好きに見えたわ。その二人があなたと居たくない、いると不幸になると言ったの?」


違う…


私は首を振った。


「なら大丈夫ね、それよりも黙っていなくなる方がきっと彼らは心配するんじゃないかしら」


二人の心配そうに伺う顔が浮かんできた…いつも自分の事よりも私を心配してくれる二人…やっぱり何より二人と居たい…


アリスちゃんが私の隣で料理を手伝い、それをルーカスさんが幸せそうに見つめて美味しそうに食べてくれる。


そんなたあいも無い時間が何よりも幸せだった。


「シスター!話を聞いてくださってありがとうございます!」



あの時間が私一人幸せだったとは思えない!それならこんなにも悲しくなっていない。


もう一度アリスちゃんとルーカスさんの気持ちを聞こう!


私は立ち上がり、シスターを見つめた。


「私は何もしてないわ、今までリナが頑張ってきた結果がこうして実を結んでいるのよ。三人で作った絆を信じなさい」


「はい!」


私はシスターに抱きつくと、ありがとうとお礼を言ってルーカスさんの元に走った!

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