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47.同じ気持ち

「おはよう!」


ルーカスさんの声に私とアリスちゃんはピクっと肩を動かした。


二人で目を合わせて不思議そうな顔をする。


「え?ルーカスさんもう来たのかな?」


まだここに来るには早い時間のように感じたからだ。


「先生、おはようございます!アリスとリナはどうですか?」


隣の診察室で二人の会話が聞こえる。


「おはようルーカスさん…早いね。大丈夫、二人は今用意をしてるからそのうちに来るよ、少し落ち着いて待ってなさい」


先生と話す声にアリスちゃんは部屋を飛び出して行った。


バンッ!


アリスちゃんが勢いよく扉を開きルーカスさんに駆け寄る。


「アリス!おはよう」


ルーカスさんの嬉しそうな笑顔が見えた。


駆け寄るアリスちゃんを軽々と受け止めて上に高く持ち上げた。


「いい子にしていたか?」


「ん!」


アリスちゃんが頷くと、いい子だと高い高いと遊んでいる。


「だ、大丈夫ですか?」


あまりに高くて力強い感じに少しハラハラながら見守っていると…


「リナ…おはよう」


ルーカスさんは遊びをやめてアリスちゃんを片手で抱っこすると、もう一つの空いた手で私の頬を優しく触った。


愛おしそうに触れる箇所が熱くなる…そしてそのままサイドの髪を長い指で触って耳にかけられた。


「今日は早いですね、何か用がありましたか?」


少し恥ずかしくなって顔を背けて話しかけた。


「いや、二人がいないとあの家は寂しくてな…早く顔を見たくなって…」


恥ずかしそうに頭をかきながらそう言うルーカスさんに私は驚き呟いた。


「同じです…」


「ん?何がだ?」


「私も…ルーカスさんが居なくて少し…いえ、すごく寂しかったです。ね、アリスちゃん」


コクコク!


アリスちゃんも頷くとルーカスさんの首にギュッと抱きついた。


「二人とも…」


ルーカスさんはアリスちゃんに嬉しそうに頭を近づけると、愛おしそうに二人で頭を突き合わせた。そして私を見下ろすと…そっと手が頭の後ろに伸びてきた。


「君達…僕がいるの知ってる?」


先生の声にルーカスさんは顔をしかめると、手を止めた。


「もちろんです。先生腰はどうですか?もう治りました?」


「一日で治ったら苦労はしないよ」


「そうですか…」


ガックリとする優しいルーカスさんに私はその手を掴む。


「ルーカスさんは先生が心配なんですね…本当に優しいです」


私がルーカスさんを見つめると…


「ん?そ、そうだ、先生が心配でな。それにアリスやリナ達も心配だった。傷は大丈夫か?」


「はい、この後に先生に薬を塗ってもらいます」


するとルーカスさんが顔を輝かせた。


「先生は大変だから俺が代わりに薬を塗ろう」


「「え?」」


先生と私が同時に声を出した。


「ルーカスさんはこれから鍛錬ですよね?ご自分のことを優先なさって下さい」


「いや、薬を塗るぐらいの時間はある…それに…」


ルーカスさんが腰を支えてグッと私を引き寄せると耳元で呟いた。


「他の男に君の肌を触らせたくないんだ…」


「だって…先生ですよ?」


「それでもだ…」


ルーカスさんの必死な顔に私が戸惑っていると…


「じゃあルーカスさんにお願いしようか?」


先生が苦笑しながら薬と包帯をルーカスさんに渡してしまった。


「お任せ下さい!」


ルーカスさんはそれを恭しく受け取る。


「じゃあリナ…向こうの部屋で塗ろうか」


ルーカスさんに優しく手を引かれて、抵抗出来ずに連れていかれた。

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