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35.はちみつ

口をパクパクとして固まるリナをそのままにして食事の続きを用意しようと笑って立ち上がる。


「アリスまたせたな、ご飯にしよう」


そう言って笑いかけるとナイフとフォークを取りに隣の部屋に向かう。


そして付いてきたアリスにそっと耳打ちした。


「アリス、どうも俺はリナが好きになったんだ。俺とリナが結婚したらアリスとずっと暮らせるんだがどう思う?」


アリスはハッ!とすると顔を輝かせた!


「アリスもいい考えだと思うだろ?」


こくこく!


「なら、俺とリナの事協力してくれないか?」


アリスはわかったとグッと親指を立てた。


こうして俺は最強の味方を手に入れたのだ。





フォークを取って戻って来ると…


「あれ?アリスちゃんなんか嬉しそうだね?いい事あったのかな?」


アリスはニコニコと笑ってリナの隣に座った。


そして俺を手招きすると反対側のリナの隣に座れと言う。


早速いい仕事をしてくれる。


「アリスちゃん?こんなにみんなで近くに座るの?」


コクリ!


アリスが勢いよく頷くとリナはわかったと頷く。


やはりアリスの言うことにリナは弱いようだ。


「じゃあリナには二人で交互に食べさせてやろう。最初はアリスからだな」


アリスは頷くとパンケーキを小さく切ってリナの口元に運んだ。


「ありがとう、あーん…ん!美味しい!」


リナの顔が輝いた…自分が作った不出来なものをあんなに美味しそうに食べてくれる。


リナの全てが愛おしく感じた。


「アリスちゃんも食べてみて!」


リナに促されてアリスもパクッと自分のパンケーキを食べると…頬に手を当ててその顔は美味しいと言っていた。


可愛い奴らだ…


愛しい二人が楽しそうに食べる姿を俺は永遠に見ていられる気がした。


そうしてニコニコとしていると…


「ルーカスさんは料理も上手なんですね。これならちゃんと覚えれば私は必要なくなりそうです」


リナはパンケーキをみて笑ってそう言う。


「リナのお手本があって、アリスが細かく教えてくれたからだ…二人がいなければこんなに美味しくできなかったよ。それに俺はリナが作るパンケーキの方が好きだな」


そう言ってバクっ!とパンケーキを半分ほど頬張った。


「そ、それは…ありがとうございます。でもルーカスさんのパンケーキ、私は好きです」


「パンケーキだけ?」


リナを見つめると恥ずかしそうに顔をそらされてしまった。


でも本気で嫌がっているわけでは無さそうだ。


「じゃあ次は俺が食べさせるな…」


リナの分のパンケーキを小さく切る。


「はい、口開けて」


アーンと口元に近づける。


「ルーカスさん…自分で…」


リナは恥ずかしさからか顔を真っ赤にしてアリスをチラチラとみて気にしていた。


「アリスだってリナが食べるところ見たいよな?」


こくり!


アリスのナイスアシストもあり、リナは小さくその口を開いた。


「いい子だ」


俺は優しくその口にパンケーキを入れる。


リナは目を瞑りながら慌てて噛んでゴクリと飲み込んでいた。


慌てたおかげで口の端にパンケーキにかけたはちみつが付いている。


俺はそっとリナの顔に手を近づけるとリナが驚き固まった。


俺はそのままリナの柔らかい唇に触れながら、端についた汚れを指の腹で拭き取った。


そしてそのままその指をゆっくりと舐める。


「甘いな」


そのはちみつはいつもより甘く感じた。

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