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33.ハプニング

「リナさん…先程の件はまた後ほど…」


俺がリナに声をかけるとこくこくと慌てながら可愛く頷いた。


なんだか全ての行動が可愛らしく見えてしまう


「さ、さぁアリス、今日からはリナさんがお仕事おやすみだから俺達は自分の事は自分でしないとな!」


俺はアリスを抱き上げると部屋を出て行きながらチラッとリナを見た。


「リナさんはもう少し寝ててくれ、料理が出来たら声をかけるから…」


「は、はい」


リナは裏返った声で返事を返した。


やってしまった…


俺は部屋を出るなり扉を閉めてアリスを下ろすと頭を抱えてうずくまった。


寝るとどうも色々と忘れてしまう癖がこんな形で…


リナの事ばかり考えていたからかそれとも無意識に自分の部屋に戻ったのかわからないが…


しかも夢心地のなか…彼女にキスまで!


どうせならしっかりと起きてる時にすればよかった…って違う!そうじゃない!


うーん…と頭を抱えたまま動かないでいると


よしよし…


頭を撫でられる感覚に顔を上げた、するとアリスが心配そうに顔を覗き込み俺の頭を撫でていた。


頭を抱えていたから痛がっているとでも思ったのかもしれない…


「アリス…」


その優しさに俺はアリスを抱きしめた。


「ありがとう、アリスのおかげで頭が痛いのが良くなったよ」


そう言うとアリスはパァーっと顔を輝かせた。


そうだ、まずはアリスを幸せにしないとな。その為には先にご飯だな。


「よし、着替えたら顔を洗って飯にしよう!アリス手伝ってくれるか?」


パンッ!


任せてと言うようにアリスは胸を叩いた。





どうにか…というよりアリスがいなければ料理が完成しなかったかもしれないほどお世話になってしまった。


アリスの指示に従ってどうにか歪な形のパンケーキが完成する。


「リナさんはこれを毎日やっているのか…」


剣を振るっている方が何倍も楽だった。


「じゃあアリスはリナさんに声をかけてくれるか?俺は料理を運ぶから」


アリスは頷くと部屋の扉を叩いて中に飛び込んだ!


俺もパンケーキを皿に乗せて両手で持つと少し遅れて後から部屋に入る。


「え!?ルーカスさん?」


するとそこには服を脱ぎ包帯姿のリナがベッドの上に座っていた。


どうもアリスに消毒を頼もうとしていたようで服を半分ほど脱いで背中を向けていた。


「リ、リナ!」


顔を隠そうにも両手が塞がり身動きが取れない!


いや、目を瞑れば良かったんだろうがその姿をみてなかなか目を逸らせなかった。


リナは着ていた服を掴んで慌てて上に引き上げた。


「すみません…お見苦しい姿を…」


「いや、ごちそう…じゃなくて問題ない…こちらこそすまない」


俺は皿をテーブルに置くとようやく目を逸らした。


「消毒なら俺がしよう、怪我の治療は慣れている」


「で、ですが…」


「さすがにそれはアリスには無理だろう、それに自分では背中は出来ないだろ?」


「はい…」


「大丈夫、決して他のところは見ないから…それに責任は取るつもりだ」


「責任?」


リナが首を傾げると


「そ、それはまた…嫌なら軽く目をつぶってやるから…」


「い、いえ!大丈夫です、よろしくお願いします」


リナはそう言うと前を隠して俺に背中を向けた。


前で服を掴む体は緊張からか固めている。


「すまない、包帯を取るぞ」


こくっ…


リナが頷くと、俺はそっと包帯を外していく。


前の方はリナさんに取ってもらい極力何も見ないように背中に集中した。


そして包帯を取り終えると…そこには痛々しい傷があった。

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