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31.夜這い

「ん~ムニュムニュ…」


すると膝にいたアリスちゃんが寝返りをうち、頭を動かして何か呟いた。


「ハッ!す、すまない…」


ルーカスさんはアリスちゃんが動いた事で慌てて私から手を離すと後ろに下がった。


「い、いえ…ダイジョウブデス…」


私は片言で熱くなった頬を隠すように下を向いた。


そこには幸せそうに笑って寝ているアリスちゃんの顔が見えた。


「ふふ…楽しそうな夢を見てるのかな?」


アリスちゃんのぷにぷにの頬っぺに思わず指を埋めた。


「アリスが…」


「えっ?」


ルーカスさんがアリスちゃんを優しく見つめながら呟いた。


「アリスがリナさんが来てからずっと笑ってくれてる…本当に感謝しているのは俺達の方だ。だからずっといて欲しい…」


ルーカスさんはそのまま私を見つめて真剣な顔を向けてくる。


そんなにも求めてくれていることに嬉しくなる。


「はい、精一杯…家政婦として頑張りますね…」


ルーカスさんは私の言葉に少し寂しそうに笑った。


ルーカスさんはおやすみ…とアリスちゃんに近づいてその髪にキスを落とした。


すると…そのまま私に顔を向ける。


私は先程の事もあり体が固まると…


「すまない…そんなに警戒しないで欲しいな…」


苦笑いする。


「あっ、いえ嫌とかでは無くて…何だか慣れてなくて…」


私がしどろもどろに答えるとルーカスさんが驚いた顔をした。


「そんな事を…今は言わないで欲しい…」


そしてまた熱い眼差しで見つめると、手を伸ばして私の髪をひと房優しく握りしめた。


そしてそっと近づいてアリスちゃんと同じようにキスをした。


「今は…これぐらいは許して欲しい…おやすみ」


「え?あ、はい…」


何を許すのかわからなくて私は思わず頷いた。


そして名残惜しそうに私の髪を離すと、すっと立ち上がり部屋を出て行った…


私は唖然としてしばらくそのまま閉まった扉を見つめて固まっていた。




ようやく落ち着き寝ようとゆっくりベッドに横に倒れ込むが…


寝れるわけない!


さっきのは何?ルーカスさんどうしちゃったの?


なんだが雇用主の様子がおかしくなってしまった。


許して欲しいって何を?


分からないことだらけで頭がパンクしそうだった。


寝返りをうちたいのに怪我が痛くて動けないし!


悶々として長い時間が経過する…もう周りも寝静まっている時間になってしまった。


ギィィ…


すると音がなり、静かに扉が開いた。


え?まさかルーカスさん?


部屋から漏れる月明かりにルーカスさんのシルエットが浮かび上がる。


ルーカスさんはそのままベッドに近づいてきた。


え?アリスちゃんの様子を見に来たの?


隣でぐっすりと眠るアリスちゃんを見るが、顔は手前に寝ている私の方を向いているように見える。


しかし逆光で表情までは確認出来なかった。


ルーカスさんはベッドまで来ると私達がかけていた布団をめくった…


アリスちゃんは落ちないようにと奥に寝かせている。ルーカスさんはそのまま私の隣に体を横たえた。


私は息を飲みグッと固まると…


「グゥ…」


「はい?」


寝息が聞こえる。


はっ?もしかして寝ぼけて自分のベッドに戻ってきたの?


すると狭いベッドの上でルーカスさんが寝返りをうった…そして顔が私の目の前に来る。


もう鼻先が触れそうな程に…


私は動くことも出来ずに息を殺した。





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