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16.家族

朝食の準備を終えると、ちょうどいいタイミングでルーカスさんが大きな欠伸をしながら部屋から出てきた。


「はぁぁぁ…」


「おはようございます」


私が挨拶をするとびっくりした様子で停止した…私がいることを忘れているようだ。


私はそっと視線を逸らして後ろを向く。


ルーカスさんは寝惚けているのか、上半身裸で頭には寝癖をつけたまま出てきたのだ。


「あっ…そうか!リナさんすまない、すぐに着替えてくる」


ルーカスさんは状況を思い出して部屋に戻って行った。


扉の閉まる音に私はほっと緊張していた体の力を抜いた。


びっくりした…ルーカスさん護衛の仕事をしてると言っていたので体もガッチリとしてるからそれなりに筋肉はあると思っていたが…思っていたよりも筋肉質だった。


目のやり場に困り、そっと自然な様子で後ろを向いたつもりだが…きっと変に思っただろうな。


熱くなり赤くなった頬と耳を冷たい手で冷やしていると、アリスちゃんが首を傾げて見上げていた。


屈んでアリスちゃんの顔に近づくと…


「ルーカスさん、すごい体でびっくりしちゃったの…内緒ね」


アリスちゃんにそっと耳打ちする。


アリスちゃんはよくわからないようだったが、内緒というのはわかったようで頷いていた。


「ふふアリスちゃんはいい子だね。ルーカスさんが出てきたら一緒に水場で顔を洗っておいで。それでルーカスさんの髪の毛跳ねてたの直してあげてくれる?」


アリスちゃんはわかったと頷いた。


その後、しっかりと着替えて出てきたルーカスさんを連れてアリスちゃんは外に出ていった。


二人ともスッキリとした顔で戻ってくると…


「ルーカスさん!それどうしたんですか!?」


ルーカスさんは頭をびちょびちょに濡らしていた。


「いや、アリスが寝癖を直してくれたみたいで…」


どうも頭から水をかけられたようだ。私は慌てて布を持ってルーカスさんの頭を拭いた。


「服は…大丈夫そうですね」


服はそんなに濡れてなかった。アリスちゃん水かけるの上手いな。


少し感心していると…


「あ、あの…自分で拭けるから」


ルーカスさんが声をかけてきた…


「あっ!すみませんつい子供達の頭を拭く気持ちで…」


ルーカスさんは私が拭きやすいよう屈んでいてくれた腰を伸ばした。


そして布を受け取るとガシガシと頭を拭く。


なんかそんな姿が色っぽく絵になる人だった。


アリスちゃんは自分のした事に申し訳なさそうに肩を落としていた。


「アリスちゃん、私の言ってくれたこと守ってくれてありがとう。寝癖しっかり直ったね!でも次はもう少し水の量減らそうね」


アリスちゃんはわかったと頷いた。


「いい子、失敗は何度してもいいんだよ。ルーカスさんは優しいからきっと許してくれるしね」


私がルーカスさんを見ると


「あ?ああサッパリしたかったからちょうどよかったぞ。アリスありがとうな」


ルーカスさんに頭を撫でられてアリスちゃんもほっとしていた。


うんうん、良い家族だな。


微笑ましく二人のやり取りを見つめる。


「あっ!二人ともご飯食べてください!ルーカスさんは仕事の時間は大丈夫ですか?」


「あっ!しまった!もう出ないと!リナさんすまない…飯は帰ったら必ず食べる!いやまて、少しだけなら…」


テーブルに並ぶ料理をどうしようかと見つめる。


「だが…時間が…」


ルーカスさんは私の作った料理を食べようかと葛藤しているようだった。


「あの…もしよろしければ職場に料理を届けますよ。お昼に食べればいいのでは?あっ!もちろんお嫌でしたら好きな物買って下さい!」


「いや!助かる!ならここにお昼頃届けてくれ!」


ルーカスさんは紙に走り書きで住所を書くと、荷物を持って慌てて家を飛び出して行った。


「行ってらっしゃい…」


唖然としながらもボソッと送り出すと…


「行ってくる!」


ルーカスさんは戻ってきて私たちに挨拶をしてまた飛び出して行った。


「「ふふ」」


私とアリスちゃんは、その様子に思わず顔を見合せ笑いあった。

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