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123.ラスト

ある晴れた気持ちのいい日のこと…


今日は朝からみんながソワソワと落ち着きのない様子だった…


そんななか、リナだけは一人ゆっくりと目をつぶってこれまでの事を思い出していた。


トントン…


「リナさん…用意はいいかな?」


扉の向こう側からのノックの音と共に呼びかけるブライアン様に返事を返すと、私はゆっくりと目を開いた…


鏡の前には、ウエディングドレスを身にまとった自分の姿がある。


私はこれからルーカスさんと式をあげるのだ。



「はい…」


扉が開かれると、タキシードを着たブライアン様と、落ち着いたドレス姿で微笑むフレア様が…


「リナさん、凄く素敵よ」


「ああ、本当に…」


二人とも私の姿を見つめて嬉しそうに笑いあっていた。


「ルーカスに渡すのがもったいないな」


「本当ね!」


「お二人共…本当に今日までありがとうございました。こうしてこの日を迎えられたのは、私を娘に迎えてくれたブライアンお父様とフレアお母様のおかげです」


「やだ…なんかエーデルの時の事を思い出しちゃう…」


「やっぱり嫁にやるのはもう少し先にしようか?」


フレア様は目に涙を浮かべ、ブライアン様も真剣な顔で悩んでいた。


そんな二人に近づいて行くとギュッと抱きしめられる。


「ルーカスが嫌になったら何時でも帰ってきていいからな」


「ええ、お嫁に行ってもリナさんはずっと私達の娘よ」


「ありがとうございます」


三人で抱きしめ合っていると…


「すみません、準備の方はよろしいですか?」


ターニャが済まなそうに声をかけてきた。


「あら、ごめんなさい。呼びに来たつもりが話が長くなっちゃったわ。じゃあ私は会場に行ってますね」


「ああ、リナ行こうか?」


ブライアン様に手を差し伸べられると、私はたくましいその腕に手を絡めた。


「リナさん…凄く綺麗です」


ターニャがベールを持ちながらそっと話しかけてきた。


ターニャも修道院の仕事を手伝うようになってから落ち着いてきて、今では先生としてしっかりと働いていた。


「ありがとうターニャ。次はターニャの番かもね」


「私なんて貰ってくれる人…いませんから」


ターニャが苦笑する。


「貰ってくれる人はたくさんいるけど、もらって欲しい人は一人だけって事でしょ?」


ニコッと笑うと頬を赤くする。


「まずはデートから誘ってみたらどうかな?」


コソッとアドバイスすると、


「今度また相談にのって下さいね、でも今日はこっちに集中してください」


ターニャが笑って扉を開くと、そこには可愛いドレスを着たアリスちゃんが待っていた。


「リナ!!かわいい!」


アリスちゃんは目をまん丸にして私の姿を見ると喜んでくれた。


「アリスちゃんも可愛い!お揃いのドレスだね!」


真っ白ドレスに白いリボンの髪飾りを付けたアリスちゃんは天使のようだった。


「では、ここから入って下さいね。アリスちゃん練習通りに頑張ってね」


ターニャはアリスちゃんに持っていたベールを渡した。


ターニャは私達を見ると、行きますよと目で合図をして、目の前の大きな扉を開いた。


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