12.ご馳走
私達は早速街に繰り出すと食品を売っている市場へと向かった。
アリスちゃんはあまり来たことがないのか興味深そうに見つめてキョロキョロとしている。
「何か気になるものがあったら教えてね」
とりあえず基本的な野菜や小麦粉などを買いながらアリスちゃんが興味を引いたものも買っていく。
「それにしてもアリスちゃんの服やっぱり気になるなぁ…」
せっかく可愛いのにもったいない！
「アリスちゃん、ちょっと付き合ってくれる？」
私は荷物を顔なじみのお店に置かせてもらい、アリスちゃんを連れて服屋へと向かった。
「アリスちゃんなにか気に入った服があったら教えて」
服屋に着くとアリスちゃんに好きに見ていいと手を離した。
ここは私の御用達で、庶民的なお値段で可愛い服を取り揃えている。
するとアリスちゃんが一つの服を触ってじっと見ていた。
「ん？なにかいいのあったかな？」
私はアリスちゃんが見ていた服を出すと…
「あれ？私の服に似てる？」
それは私が着ている服の色違いの子供サイズの物だった。
「アリスちゃん…これがいいの？」
確認するとうんと頷いている。
「そっか、私とお揃いだね！なんか姉妹に見えちゃうかな！？」
私が笑うとアリスちゃんが恥ずかしそうに頬を染めた。
可愛いなぁ～
私はアリスちゃんにこの服を買ってあげることにした。
お店の人に頼んで着替えさせてもらい、この服で出かける事にした。
「あら、本当に姉妹みたいね！可愛いよ」
お店の人がアリスちゃんに可愛いと褒めるとアリスちゃんは嬉しそうに何度も鏡前で姿を確認していた。
アリスちゃんが着てた服を袋に入れてもらい、私達は買った食材を引き取って家へと戻った。
「じゃあこれからご飯を作るからアリスちゃんは部屋で好きに遊んでていいよ」
そう言うとアリスちゃんは首を振ってその場から動こうとしない。
「あっ、もしかしてお手伝いしたいのかな？」
こくこく！
アリスちゃんが勢いよく頷く。
「ふふ、じゃあお願いしようかな。でも私の仕事なのにアリスちゃんに手伝ってもらったら…私もアリスちゃんになにか給金をあげないとなぁ～」
私が悩むとアリスちゃんが慌てている。
「よし！ならアリスちゃんにはこのエプロンをプレゼントしよう！」
私はアリスちゃんが着替えてるすきにお店でピッタリのエプロンを見つけて買っていた。
「せっかく買った服が汚れない様にエプロンしようね」
私が着せてあげると嬉しそうにエプロンの端を掴んだ。
「どうかな？」
アリスちゃんは嬉しそうに何度も何度もエプロンを見ていた。
「じゃあお給金分、きっちりとアリスちゃん手伝ってね！」
はい！
アリスちゃんはビシッと手を上げた。
「じゃあ今日はお肉と野菜たっぷりのシチューにしようと思います！アリスちゃんはお野菜を洗ってくれますか？」
コクっ！
アリスちゃんが頷くと、私達は野菜を持って洗い場へと向かった。
水を汲んで、桶の中に水を入れて野菜を入れる。
アリスちゃんにたわしを持って野菜を一つ洗って見せる。
「こうやって泥を落としてね」
たわしを渡すとアリスちゃんが真剣な顔で野菜を洗い出した。
私はそれを見て微笑むと、アリスちゃんが洗った野菜の皮むきを慣れた手付きで黙々とこなした。
そういえばルーカスさんってかなりお金を貰ってるみたいだけど…護衛てそんなにお金がいいのね。
私は男の人の仕事事情があまりよくわからなかった。
