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118/124

118.失敗

具合が悪くない事がわかったターニャと私はみんなのところに一度戻ることにした。


「そうか~ターニャはシモンさんがね…うん!彼はすごく優しくて素敵な人だよ!ルーカスさんの親友で、ルーカスさんの事をいつも助けてくれるって言ってたよ。それにルーカスさんが…」


「もう!ルーカスさん、ルーカスさんってうるさい!リナさんがルーカスさん大好きなのはわかったから!それに私はシモンさんの事なんて別になんとも思ってないから!」


シモンさんの良さをアピールしようとしたけどなんか失敗してしまった。


「あれ?私…そんなにルーカスさんの事を話してた?」


「ほぼルーカスさんのことだよね?シモンさんの話なんてほとんどなかったけど…まぁ別に本当に気にしてないからいいけどね」


話しながら廊下の角を曲がると…


「私がなにかな?」


すると廊下で立っていたシモンさんにバッタリと出くわした。


「「シ、シモンさん!」」


まさに話していた本人の登場に私達は立ち止まってしまった。


「ターニャ、大丈夫?まだ少し頬が赤いみたいだね…リナ、問題なかったの?」


シモンさんが心配そうにターニャの顔を見つめると…ターニャはプルプルと小刻みに首を横に振ってこちらを凝視している。


「えーっと…うん。大丈夫、ほらパン焼く時に熱くなるし…ターニャは顔が赤くなりやすい体質みたいだよ…」


「そうなんだ…まぁ無理しないようにね。何かあったらすぐに言ってね」


シモンさんは頼れるお姉さんの様にウインクする。


こうしてみれば本当に女性にしか見えなかった。


「わ、わかった…あのさ…リナさんから聞いたんだけど…」


え?ターニャ、もしかして今言うつもり?


「ん?何かな?」


シモンさんは笑顔でターニャに向き合った。


「あなたのそれ…女装なんだって?別に趣味…とかじゃないんだよね…」


「え!?リナちゃんなんでバラしてるのさ!」


「す、すみません…成り行きで…」


「嘘だろ!?いつから知ってたの…恥ずかし…穴があったら入りたい…」


シモンさんは両手で顔をおおった、そしてふっとある事に気がついた。


「あれ?でもターニャ…男の人は大丈夫なのか?」


「あ、あなたは女にしか見えないから平気だっただけだから!」


「あっ…そうなんだ…」


シモンさんがあからさまに落ち込んだ。


「じゃあもう女装はしなくてもいいかな?ラキも…多分あれバレてるよな」


シモンさんが外で遊ぶラキさんを指さした。


「え?小さい子達には言ってないんですけど…」


私は外を眺めると、そこには子供達と楽しそうに遊ぶラキさんが…


その姿はカツラは取れて化粧は汗で流れ、服は乱れていた。


「あれは、さすがに誰でも気がつくよ」


「ラキに女装は無理だったな」


「可愛かったのに…」


少し残念に思いながら楽しそうに遊ぶラキさん達を眺めて苦笑した。

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