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113.仕事

セドナ様達と馬車に乗り込み修道院へと向かうことになったが…馬車の中では異様な光景が広がっている。


「なんでおにいちゃんたちまたおねえさんの格好してるの?」


アリスちゃんが再び女装したシモンさんとラキさんの様子を興味深げにジロジロと見つめている。


「ぶっ!!」


すると隣に座っていたセドナ様が豪快に吹き出した。


「ア、アリスちゃん…」


私は慌ててアリスちゃんの口を塞いだ。


「リナちゃん…いいよ。俺達だってこの格好に慣れないといけないしな…」


「それって…どういう事でしょうか?」


もうやけくそ気味のシモンさんが説明してくれた。


「俺達しばらくはリナちゃんや修道院の子達の護衛につくことになったんだ。男の格好で怯えさせるなら女装した俺達がって事になって」


「はぁ、こんな格好で街に行ったら…女の子達になんて言われるか…」


ラキさんがガックリと肩を落としてため息をついた。


「だ、大丈夫ですよ…お二人共可愛いです!女性にしか見ません」


「リナ、それ褒め言葉じゃないからね」


セドナ様が私達の会話に笑いを噛み殺ししている。


「え?あっ!すみません…変ではないと言いたくて…」


急いで謝るが二人の表情は晴れない。


「仕事なんだからシャンとしろ、一応仲間のあいつらには黙っててやるから」


「頼みますよ…」


二人の女装する意味はわかったので今度は仕事の話をする。


「じゃあリナにはこれから犯罪被害に合った子供達のケアを頼みたい。修道院のシスターにも話はつけている。今後、修道院の横を増築して施設を広げて行く予定だ」


「はい」


よかった…人が増えるのに修道院だけでは部屋が足りなくなりそうだった。


「リナはそこでシスター達と子供達の世話の管理を任せることになるが大丈夫か?」


「は、はい!それについて少しお願いがあるのですが…」


「なんだ?」


セドナ様が顔をじっと見つめる。


「アリスちゃんのことなんですが、出来るならしばらくは一緒に修道院に連れていきたいのですが…」


「しばらくとは?」


「アリスちゃんが嫌と言うまででしょうか…今はなるべく一緒に居てあげたくて…」


「こちらとしては構わないが…そうなると護衛の強化もしないとかな」


「す、すみません…お手数お掛けします…」


「いや、アリスちゃんがいる事で子供達の表情も柔らかくなったと聞いてるよ。こちらとしてもそれは助かる。まぁあとはシモン達に頑張って貰うしかないな」


にやりと笑って二人を見た。


「はい!はい!こうなったらとことん頑張りますよ!ほら、ラキもシャンとしろ!」


シモンさんにバチンッ!と背中を叩かれてラキさんが背筋を伸ばした。


「一生懸命に仕事をされる男の人は素敵だと思います。たとえどんな格好であろうと…」


私はその代表のセドナ様をチラっとみる。


シモンさんもその視線に気がつくと…


「た 確かにな…女の子は見た目と中身をちゃんと見てくれるって事だな」


「もちろんです」


「なるほどスっ!」


大きく頷くとラキさんの顔が少し明るくなった。

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