110.おじいちゃんと孫
どうにか恥ずかしい思いをしながら朝食をすませる。
せっかくの豪勢な朝食も…全く味がわからなかった。
「さて、じゃあ仕事に向かおうか。リナもこれからの事を話したいから一緒に来てくれるか?」
ブライアン様が声をかけてきた。
「はい!あの…アリスちゃんですが、一緒に連れて行っても大丈夫ですか?」
「アリスもいく!きのうのおともだちとあそぶの!」
アリスちゃん達の方が子供達と打ち解けていた…アリスちゃんにとってもいい事になるかもしれないと思っていた。
ブライアン様の方を見ると頷いてくれる。
「じゃあアリスちゃんも私と一緒にお仕事手伝ってくれる?」
「うん!」
アリスちゃんは一緒に行けることを喜んでくれた。
「じゃあアリスちゃんはルーカスとおじいちゃんとどっちと行くかな?」
ブライアン様が笑いながらアリスちゃんに聞いてきた。
アリスちゃんは二人を交互に見ると…
「おじいちゃん…」
恥ずかしそうにブライアン様の服をそっと掴んだ。
「よしよし!じゃあおじいちゃんと馬車に乗ろうな。リナも馬だとまた悪い虫に刺されるかもしれんから馬車に乗りなさい」
「は、はい…」
私は虫と聞いて頬を染めて頷いた。
「ブライアン団長…俺は?」
「ルーカスは一人で先に騎士団に向かって準備してこい」
「え!?お、俺も…たまには馬車で行こうかなぁ…」
「残念だ、うちの馬車は定員四名までなんだ。従者が乗るからちょうど四人になるからルーカスはやっぱり馬で行きなさい」
ブライアン団長にピシャリと言われてルーカスは仕方なさそうに肩を落とした。
「じゃあ先に行く…二人とも気をつけて」
ルーカスさんは私とアリスちゃんに軽くキスをした。
「ルーカスさんも…元気出してください。お仕事頑張って」
寂しそうなルーカスさんを送り出すと…
「もうあなたったら、ルーカスさんにそんなに意地悪しなくてもいいのに」
フレア様が苦笑している。
「駄目だ!ちゃんとけじめをつけさせないとな」
「ふふ、あなただって…若い時は虫になってた…」
フレア様が何か言おうとするとブライアン様が慌ててフレア様にキスして口を塞いだ。
「行ってくる…」
「もう…」
フレア様は仕方なさそうに返事をしながらも嬉しそうにニコニコと笑って送り出してくれた。
アリスちゃんはそんなブライアン様を馬車の中でじっと見つめている。
「ん?アリスちゃん何かな?」
優しい声で話しかけると
「ブライアンおじいちゃん、フレアさまとなかよし?」
首を傾げて聞いている。
「ああ、凄い仲良しだよ。アリスちゃんとも仲良しに早くなりたいな」
アリスちゃんは少し考えると…
「おじいちゃんはなかよしだもんね!」
ブライアン様の頬にチュッと同じようにキスをした。
「へへ、なかよし!」
「アリス…ちゃん」
ブライアン様は、キスされた頬を驚きながら押さえると破顔する。
「ありがとう、これでおじいちゃんとアリスちゃんはなかよしだ!」
ブライアン様はアリスちゃんを抱き上げてチュッとお返しとばかりに頬にキスをした。