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10/124

10.金額

「えっと…入っても?」


私が聞いてみると何かを思い出したように顔色を悪くした。


「あっ!ちょ!ちょっとだけ待ってくれ!」


ルーカスさんは慌てて部屋に入ると中からバッタンドッタンと物がひっくり返るような音がする。


私とアリスちゃんはすごい音に顔を見合せた。


中々出てこないルーカスさんはほっといて、私は早速洗濯した方が良さそうだった服を洗う事にした。


外の裏手に共同で使う水場がありそこで桶を使って水を貯める。


洗濯物を放り込んでスカートを捲し上げると水の中で足で踏み出した。


アリスちゃんがその様子をキラキラした目で見つめてくる。


子供って水遊びが好きだよね…


クスッと笑うとアリスちゃんに声をかけた。


「アリスちゃんも手伝ってくれる?」


アリスちゃんは嬉しそうに何度も頷いた。


一緒に手を繋いで声をかけながら踏みつける。


「イッチニ!イッチ二!」


水が濁って来ると捨てて新しい水を入れてを繰り返す。


そうして水の汚れが無くなると洗濯物を二人で持ってねじって水気を絞った。


ん…まだ絞れそうだけど私とアリスちゃんの力ならこんなものかな。


少し水気の含んだ洗濯物を今度は家のそばにある干場に吊るした。


そうしているとルーカスさんが家の中から飛び出してきた。


「よ、よかった…出て行ったのかと」


私とアリスちゃんをみてほっとしていた。


「お時間がかかるようなので洗濯物を洗ってました。お部屋も私が掃除しますよ、それがお仕事ですよね?」


「そうなんだが…まぁ色々と片付けがあって……」


なんだか語尾が小さくなる。


まぁ見られたくない物でもあったのだろう。


「それでもう部屋に入っても?」


「ああ」


ルーカスさんが扉を開いて部屋へと入ってくれと手招きした。


私達は再度家に入ると…


「じゃあこの部屋を使ってもらって…」


急いで片付け部屋は…まぁどうにか足の踏み場はあるが掃除をしないとちょっと寝る気にはならなかった。


敷きっぱなしの布団がベッドの上に乱れたままある。


「えっと…この部屋を使わせて貰うとルーカスさんは何処で?」


「俺は仕事場で寝るから安心して欲しい。ここにはアリスと二人で寝てくれ。朝になったら戻ってくる」


「そんなの駄目です!私が向こうで床に布団を敷いて寝ますからルーカスさんとアリスちゃんは今まで通り寝てください!」


「だが…女性をそんなところに」


ルーカスさんは顔を顰めた。


「私は元々雑魚寝ですから大丈夫です。修道院から自分の荷物を持ってきますので…」


私が必死に頼み込んだ。

雇い主を差し置いてベッドで寝るなんて出来そうになかった。


「わかった」


ルーカスさんが渋々頷くと、アリスちゃんが私の服を引っ張っる。


「どうしたの?」


アリスちゃんに目線を合わせて屈むと、床を指さした。


「もしかして…私と寝たいのかな?」


こくこく!


「アリスがそれを望むならそうしてくれ」


雇い主からの命令なら従うまでだ!


「アリスちゃん今日は一緒に寝ようね!」


アリスちゃんは嬉しそうに目を輝かせた。


その後ちょっとアリスちゃんに待っててもらってルーカスさんとこれからの仕事の決まり事について話し合うことにした。


「まずは基本的な家事、料理と掃除、洗濯と買い物、アリスちゃんの面倒をみるって事で大丈夫でしょうか?」


まぁ家政婦みたいなものかな?でも子供のお世話を出来るのは嬉しかった。


「それで頼む、食事の金はその度に請求してくれて構わない」


「わかりました」


「あとは…俺が仕事を休む日は君が仕事を休むって事でどうだろうか?」


「はい、構いません」


お休みまで貰えるなんてラッキー!


私は頷く。


「それで…給金だがこれくらいでどうだろうか?」


ルーカスさんは数字が書かれた紙をそっと差し出してきた。


私はその金額をみて固まりルーカスさんを見つめた…


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