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少しの間魔王と会話をする。お互いに使える魔術だとか何が出来るのかとか、これから役に立ちそうなことを共有する。
俺の復讐が達成する間は裏切ることはないだろうが、後のこと分からない為、流石に全て教えることはできない。強力すぎる魔術だったりは共有してない。きっと魔王もそうだろう。
粗方、共有も終わり、そろそろ王都へ向かうか、そう思った時だった。
パリンと何かが弾けたような音が微かに聞こえた。
魔王城の中を見渡すが何かが壊れたような後はない。
魔王の方に目を向けるが魔王は何も聞こえてない用で急に振り返った俺を不思議そうに見ていた。
ふと魔力の減少が止まっている事に気がつく。魔術を使用している間、魔力は減り続ける。それが今、止まった。
凄く嫌な予感がする。
「どうした?」
急に黙り込んだ俺に魔王がそう言葉をかけてくる。
「王都は後だ。今すぐ俺の村へ向かう!」
焦って少し声を荒らげてそう魔王に伝える。
どうする?ここまで2、3日かかる距離だ、急いで向かったとしても間に合うか?
いや、関係ない。できるだけ早く村へ帰るんだ。
「村がある方角は?」
城の外に出て、馬を呼ぼうとしている俺に魔王が後ろから声をかけてきた。突然の質問に対して疑問に思いながら、王都から東の方だと答える。
俺の答えに魔王は頷く。俺は頭に疑問符を浮かべたまま立っている。ふと、浮遊感を覚える。
担がれている。小脇に抱える形で。
「馬で向かうよりこちらの方が速いだろう。」
魔王はそう言うと、大きな音を立てて空へ急上昇する。上昇する際の強い風圧が止み、ゆっくりと目を開ける。
「は…?!」
思わず声が出てしまう。俺は今、さっきまでいた魔王城が小さく見える程高い位置にいる。
チラッと魔王を見る。こいつは空も飛べたのか。
城の中だったから飛べなかっただけで、魔王城の外で戦っていたら俺に勝ち目はなかったのではないか。
魔王が俺に協力してくれて良かったなと密かに思う。
魔王が俺を抱えて村の方向へ進む。小脇に抱えられてる俺は今生で1番と言っていいほどださいはずだ。はぁ、と心の中で溜息をついた。
「それで、貴様の村に何が起こった?」
そんな声が頭上から聞こえてくる。魔王の言葉を聞いて、何も理由を伝えていなかった事を今思い出す。
「村を出る前に守護の魔術を村にかけたんだ。その魔術で減り続けていた魔力が、先程、一切減らなくなった。魔術が破られたのかもしれない。」
勇者の紋章を使用した魔術が破られたなど考えたくもないが、勇者の紋章も万能ではないのだろう。
複数の魔術師が攻撃したか、殺意のない獣や村の人が気づかず魔法陣を消したか。後者であれば嬉しいのだが。
「何も起こっていなければいいが。」
そう言うと魔王が、はぁ、と溜息を吐いて、飛行速度を上げる。
突然上がった速度と風圧にギュッとめをすぼめる。薄らと映る視界の先に俺の村が見える。
「魔王!あれだ!そこに見えるのが俺の村だ。」
俺がそう叫ぶような声で魔王に伝える。すると、速度は変わらぬまま、地面に近づくような飛び方に変える。
村に近づいてくると、村の入口付近に大勢人がいるのが見えた。腰の剣に手を置いて、ギュッと握りしめる。
目を凝らすと、鎧を着ているのがわかる。王国騎士だ。




