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 久しぶりに村の皆と会って、他愛もない会話をした。夜に母さんが、明日は旅立ちだからと張り切って作ってくれたご飯を食べた。

 いつも無愛想な父さんが今日は良く話してくれてた。きっと寂しいのだろう。


 前みたいに長くこの村を離れる訳には行かない。まずは俺が離れた後でも襲撃されないよう魔術をかけよう。


 魔術は以前、仲間の魔術士に教わったことがある。教わった時、俺には難しかったが今ならできるはずだ。

 かけるのは守護の魔術。何人たりともこの村の人たちを傷つけることが出来ないように。


 外に出て家の裏手に行く。地面に魔法陣を描く。普通の魔術では村を囲むほどの威力は出さないだろうが俺の勇者の紋章を使えば可能なはずだ。

 魔法陣の上に手を置いて魔力を流す。


 魔力を流し終えると魔法陣は淡く光る。成功だ。

 魔術は失敗すると小さな爆発を起こして壊れる。成功したかしてないかが分かるのは魔術のいい所だと思う。


 後は、どうやって奴らに復讐するかだが、ただ殺すだけじゃ生ぬるいよな。俺がやられたように全てを壊してやらないと。

 それから、腕を切り落とし目の前でそいつの家族を殺してやろう。許してと泣き叫ぼうが、俺が食らった以上の絶望の底へ叩き落としてやる。


 そうだ、魔王は…


「エリク。」


 後から声が聞こえて思考は切断された。

 振り返ると母さんがいた。魔法陣がバレないように少し前に出て母さんに向き合う。


「眠れなかったのかしら?こっちへいらっしゃい。外は寒いでしょう。」


 そう言って母さんは家の中に入っていった。この魔法陣はあまりバレない方がいい。簡易的な隠蔽魔術をかけておこう。

 魔術をかけて魔法陣を隠した後、家の中に入る。


「これから大変なんだから、しっかり休まなきゃダメよ?」


 そう言う母さんの表情が少し寂しそうに見えるのは俺の気のせいだろうか。


 母さんが目の前にカップを置く。ホットミルクだろうか。甘くていい匂いがする。


「それを飲んでゆっくり寝るのよ。」


「ありがとう。母さん」


 そっとカップに口をつける。それは甘くて温かくて優しい味がした。


 母さんはこれから俺が実行する事を知っても、俺に優しくしてくれるだろうか。俺を我が子だと言ってくれるだろうか。


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