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魔王がエリクに手を貸すことを承諾すると、エリクは今までの経緯を話し始めた。既に魔王討伐の為の旅を終えたことや、エリクの村での出来事の事。そして1度殺され時が戻ったこと。

これまでの詳細を伝える間、魔王は一度も口を挟まずただ淡々とエリクの話に耳を傾けていた。


「……大方理解した。貴様の復讐自体に興味は無いが……敗北した身だ手を貸そう。」


エリクの話が終わると、魔王はそう言った。

態度はどうあれ一先ず魔王を味方につけるという目的を果たしエリクは安堵する。

魔王と勇者が手を組めば個人で太刀打ちできる存在など、無きに等しいだろう。

この後のことを思い浮かべ薄ら笑みを浮かべるエリクを他所に魔王は考え込むように顎に手を当て小さく呟く。


「……時が戻るか。」


心当たりがあるのか、とエリクが聞こうとするが、それを遮って魔王が口を開く。


「貴様は、何故”勇者”が魔王を討伐するようになっているか知っているか?」


魔王はじっとエリクを見つめ、問に対する返答を待つ。

エリクはそれに首を傾げる。

勇者が魔王を倒すという構造は昔からあるもので、勇者は魔王を倒すために産まれてくるのだと言われてきた。物語や伝説にもなっている。エリク自身、昔からそう言われその構造を疑ったこともなかった。


「勇者の成長を待つより、軍隊を率いて魔王を討伐する方が余程効率的だとは思わないか?」


魔王の言葉にエリクは考え込む。勇者が育つまでの16年の間世界はずっと危険にさらされている状態なのだ、国から軍隊を派遣し復活直後の魔王討伐に赴くのが最適解と言える。数で制圧出来なくともエリクの仲間として戦える実力者はいる。

あえて勇者の成長を待つ必要があるとすれば、そう考えエリクは思いついた答えを口にする。


「……勇者の力でしか倒せないからか?」


「あぁ、勇者の力でなければ魔王は倒せない。逆もまた然りだ。」


エリクの答えを魔王は肯定する。エリクが一度目で魔王と剣を交えた際には、エリクの仲間も魔王に攻撃を与えられていた為、魔王にダメージを与えることは出来ても完全に息の根を止めるには勇者の力が必要になるのだろうとエリクは考えた。


「おそらく、魔王()以外の者に殺されたことで時が戻った原因だ。」


エリクは自身の手の甲の紋章を眺め、そうか、と小さく呟く。

そして、同時にエリクにはひとつ疑問が浮かんだ。

魔王と勇者がお互い以外の者では殺せないことは理解したが、何故戻ってきた時間が16の旅立ち前なのかという事だ。魔王を倒した直前や魔王を倒す前に戻ったっておかしくないはずなのだ。

エリクがその疑問を魔王に尋ねると魔王は感情の読めない顔で軽く笑う。


「さぁな。今考えても解決しない物は神の所業だと思えばいい。」


予想外の返答にエリクは数秒固まる。魔王が冗談を言うと思わなかったからだ。本当は神など信じていないような薄ら笑いをする魔王にエリクは可笑しくなる。

エリクは、軽く笑いをこぼしたあと、それもそうだと肯定した。


それから、エリクは自身の能力の詳細とこれからの予定を魔王に話し始める。多少の情報秘匿は行いつつもお互いの魔術なんかを共有する。


早速行動に移るかという話を始めた頃、エリクが突然、体を強ばらせ険しい表情をつくった。

エリクの耳にはパリンというガラスが弾けたような音が響き、常時発動しているために常に減っている魔力が減らなくなったためだった。

様子の変わったエリクを不審がり魔王が声をかける。


「おい、どうした?」


魔王の声にエリクは意識を戻し、焦ったように声を荒らげた。


「先に俺の村へ向かう!」


そう言うとエリクは魔王城の外へ向かって走り出した。

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