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勇者として生まれた者は、左手に勇者の印が浮かび上がる。何百年も前から言い伝えられ、童話や詩にも登場する。この世界で暮らす人ならば誰もが知っている話だ。


そして、勇者が生まれたということは魔王が復活したという証明になる事も、また誰もが知っている話だ。


丘に寝転んだまま、青年——エリクは空に左手を翳す。エリクの左手の甲には勇者の印と言われるアザが浮かび上がっていた。

じっと手を睨んだ後、エリクは手の甲を目の上に乗せて陽の光を遮って、大きくため息をついた。


エリクは山に囲まれた村に生まれた青年だ。もうすぐ16歳を迎える彼は至って平凡な人生を送るはずだった。しかし先程、両親からエリクは勇者なのだと伝えられた。

村に住む人達と同じように、家の手伝いをして、友達と遊んで、家族とご飯を食べ、眠るという毎日を過ごして行くのだと疑わなかったエリクには、すぐには受け入れられないほど衝撃だった。


エリクは自分に勇者の使命がある事への不安と同時に、両親はどんな気持ちで自分を育てたのだろうかと思った。何せ両親はエリクが生まれた瞬間に勇者の誕生と魔王の復活を知ることになったのだから。


しかし両親はエリクを普通の子としてここまで育てた。そのおかげでエリクはこれまでのうのうと村の一員として暮らしていけたのだ。それは正しく両親からの愛情と言えた。


「エリクー!」


遠くからエリクの名前を呼ぶ声が聞こえた。

起き上がって声の方を見ると、幼馴染であるリラが手を大きく振りながらエリクの元へ走ってきていた。


「エリク!聞いたよ!……その、勇者のこと。」


リラがエリクの側に座り手を取って、眉を少し下げてそう言った。


「もうすぐ、村を出なきゃいけないんでしょ……」


心配そうな顔をしてそういうリラにエリクは頷いた。

勇者は16歳になると魔王を討伐するために旅に出る。そしてエリクはもうすぐで16となる。つまり、エリクも数日後には魔王討伐の為旅に出なければならないのだ。両親もその時期を見込んで今日伝えたのだろう。

静かに頷いたエリクを見てリラは顔色を暗くさせ俯いた。


「……私、エリクが村からいなくなるなんて思ってもみなかった。……ねぇ、エリク。絶対、絶対無事で帰ってきてね。」


ぎゅっと強く握られた手からリラが震えている事が伝わってきた。

エリクは震えを抑えるようにリラの手を強く握り直してニッコリと笑う。


「うん。絶対帰ってくるよ。待ってて。」


×


数日後、エリクは16の誕生日を迎え、予定通り魔王討伐の為の旅に出た。

村から比較的近くに位置するシノネア王国を目指す。以前から手紙を飛ばし魔王討伐をするための援助を頼んでいたらしく両親から王国へ行き報告するようにと言われたのだ。


魔王を倒すには、聖遺物と呼ばれる武器が必要になる。聖遺物は6つ存在しているが、それぞれ大国や教皇などの権力者が所有しているため、いずれかに赴いて譲り受けなければならない。


目的地であるシノネア王国は聖遺物である聖剣を所有し、長らく争い事を行っていないらしく平和で暮らしやすく各地から人が集まる国だ。


1番近い国とはいえ、馬で1週間ほどかかる。その上旅に慣れておらず、エリクは予定していた日数よりさらに1週間ほど遅れて王国に到着した。


王国の警備兵に話かけると勇者の印の確認後、王国を見る間のなくすぐにシノネア城へと連れていかれ、国王へ謁見するようにと部屋に通される。エリクの困惑は気付かれることなく、国王との話は進み、準備が整い次第旅に出るようにと仰せつかった。

数日の間に、装備品の新調や剣技の訓練などを行い、一緒に旅をし魔王を討伐する仲間を紹介された。そして一通りの準備が整うと、国王からの聖剣の譲渡式が行われ、旅立ちを祝われながら、本格的な魔王討伐の旅へと出発した。


紹介された仲間は3人。王国の魔術師と騎士、それから聖地ルミネの神官だ。

彼らは優秀でそれぞれ正義感に溢れ、そして優しく理想の大人を体現したような人達だ。魔物討伐ですら不慣れなエリクに戦い方を教えくれ、攻撃や回復よ魔術なんかも教えてくれる。辛いものだと予想していた旅も、3人のお陰で何とか過ごしていけている。そして魔物の討伐や人助けをしつつ色んな国や地方を旅し魔王城へ向かっていく。


人助けや魔物討伐はやりがいはある、旅も楽しいと言えたが、エリクは、たまにふと故郷の村の事を思い出し、じっと勇者の印を見つめた。勇者でなければ今も、リラや父さんや母さんと一緒に村にいたのだろうかと考えてしまう。早く帰りたいという願いを閉じ込めるように眠りについた。


勇者として、1人の人として、困っている人々を見捨てることは出来ない。魔物の討伐や人助けの過程で数日、数週間かかることは珍しくない。魔王の討伐だけでは解決しない問題を解決しておく必要もあり、旅はエリクが予想していたより長く続いた。


そしてあっという間に5年の月日が過ぎ、ついにエリクは魔王の討伐を成し遂げた。

書き直しです。大まかな内容は同じです。

以前投稿した内容まで書き直しが終わった後に、以前の投稿したものを削除します。

しばらくお付き合い下さい。

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