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 草木は燃え、建物は倒壊し、何かが焼けたような酷い匂いと無数に転がる死体。以前のような穏やかな村は見る影もなくそこには地獄が広がっていた。


 いつも挨拶をしてくれていたおばさんは子供を庇うように転がっていて、皆に親しまれていた犬も同じように殺されている。


 それを目の当たりにした俺は衝動的に走り出していた。俺の家へと。家族が待っているはずの我が家へ。


 家の前につき乱れたままの呼吸も整えないまま俺の家へと顔を上げる。


 もしかするとと思ったが俺の家も他の家と同じように壊されていた。


 俺の家があった場所には三体の死体が転がっている。腕が無くなっていたり、顔が焼けてしまってはいるが、それは俺の両親と幼馴染のものだ。


 その場に立っていられず膝から崩れ落ちた。俺は幼馴染だったものを抱き締める。


 何故こんなことになったのか。俺は皆に笑顔でいて欲しくて、いつものように皆とすごして行くはずだったのに。だから、魔王討伐の為の旅を続けてこれたのに。


 この村は魔物に襲われた訳では無いだろう。この村には魔物が侵入した痕跡がなかったように思う。この村を襲ったのは人間だ。俺の故郷にこんな酷いことをした。どんな理由があろうと許すことは出来ない。許さない。


 腕に抱えた彼女を締める力がつよくなる。瞬間、俺の胸に刃物が突き刺さる。


「ァガッ…」


 そんな声が俺の口から出てくる。バタッと倒れた拍子に俺を刺した者の顔が映る。王国騎士。


 彼らは何でもないような顔で俺を見下し、そっと口を開く。


「悪く思うな勇者、お前が生きている事で魔王が復活すると困るからな。これもこの世界の平和のためだ。」


 意識が朦朧として言葉の意味をうまく理解できない。俺が生きていることで魔王が復活する?違う。そんなはずは無い。今まで語られてきた話では、勇者が生きている間は魔王が再び復活することは無かったはずだ。


 おかしい。それにこいつの話からすると始末したかったのは俺だけだったように聞こえる。何故俺の故郷が襲われているのか。


「忌々しい勇者もこれで終わりだ。国王陛下に報告にいくぞ。」


 国王陛下。その言葉が聞こえた後俺は意識を手放した。

 目を閉じるその瞬間右手の紋章が淡く光っていたことに俺は気づくことが出来なかった。

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