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「それにしても、派手に暴れたな」
俺は部屋の中をぐるりと見渡して、そう言いながら、磔にされた国王の元に近づいていく。
魔王が「私の最高傑作だ!良いだろう?」と聞くが「はいはい。」と流して終わらせた。全く悪趣味だ。
俺の返答に魔王はため息を吐いて、話を本題に移した。
「何故、お前じゃなく女の兵士が聖剣を持っていた?それと、そこのローブを着た人間はなんだ。」
そう言って、部屋の中をうろちょろする人間に指を指す。
そういえば説明せずに連れてきたままだったことを思い出す。
「俺が見つけた聖剣は偽物だったんだよ。本物はずっと兵士が持ってたんじゃないか?それと、あの人は探し物をしているみたいで、危険もなさそうだから連れてきた。」
俺が偽聖剣を手に入れて魔王の元へ戻っていた時に、彼?彼女?と出会った。俺達が暴れたせいで城の中は混乱し、あたりに死体も転がってたと言うのに、この人は気にもせず平然と何かを探していた。
俺に気づいても、自分が探している物について聞いてきただけで、知らないと答えると気を落としてまた捜索を始めた。
そのおかしな言動にちょっとだけ興味が湧いて、魔王の元へ引っ張ってきた。結局ここにも探し物は無さそうだが。
「…………。」
黙ったまま呆れた表情の魔王がじとっとこちらを見てくる。
なんだか良くないことをした気分だ。あのローブの人から話題をそらそう。 俺は軽く咳払いをした。
「そんなことより、魔王が刺された事の方が驚いたな。そんなに玩具に夢中だったのか?」
はりつけにされている国王の方を見ながら魔王と会話をする。
国王が他の奴のように吊るされてないという事は俺の為に取っておいてくれたという事だろうか。しっかりと手足を使えなくしているのは気遣いだろうか。
「む……油断していたとはいえ、その女は私が気づけないような認識阻害の魔術がかけられた道具を持っていた。貴様も気をつけた方がいい。」
少し怒りを含めたような言い方で魔王が答えた。
魔王にも気づかれない認識阻害魔術か……。そんなものを使える者は限られてくる。前の俺とは接点がない人物の中にそんな大物がいたのか……?
頭の隅に置いておこうと考えて、国王に回復かけて止血しながら足を膝の関節から切り落とす。叫び声が出ないように国王の口にその辺にあった布を詰め込んでいる。呼吸も難しいようで、足の痛みも合わさってとっても苦しそうだ。
やっぱりやり返しはこうじゃなきゃな。死なないようにゆっくり進めていこう。
「あの、その道具、どこ?」
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