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 「お待たせ致しました!」


 どうぞお入りくださいと、先程と打って変わって態度が反転した門番が言った。こころなしか顔色も悪くなっているような気がした。

 門番に通されて中に入る。魔王は「お連れ様はこちらです」と使用人に案内されて、別の部屋に通されていた。

 城の中は相変わらず無駄に豪華な装飾品が沢山ついている。長い廊下を歩いたあと、玉座の間へと案内された。使用人が大きな扉を開ける。扉から真っ直ぐに続くレッドカーペットの先に国王がいる。

 あぁ、早く殺してやりたい。俺の村を焼き払ったようにこの国も焼き払ってやりたい。お前の歪む顔がみたい。

 部屋の中央まで歩いていくと、ここで止まれと言わんばかりに近衛兵に止められる。しばらくして国王がゆっくり口を開いた。


 「……そなたが勇者か。報告を受けてから中々来ないものだから心配しておったのだ。迎えの者を向かわせたのだが会っておらぬか……。なにはともあれ、会えて嬉しいぞ。」


 国王はわかりやすい嘘を並べてにっこり笑う。

 迎えの者……あの騎士たちのことだろうな。俺とすれ違わなかったから村を焼こうとしたのか……。

 今すぐにでも剣を抜きたい気持ちを頑張って押し込めて表情を保つ。

 殺るなら相手が最大限に油断している時だ。まだ耐えろ。


 「そなたが本物の勇者なら手の甲に紋章があるはずだ。それこそが勇者の証!ワシにも見せておくれ。」


 「もちろんです」と国王に返事をして右手を差し出す。国王は紋章を見て「おぉ」と感嘆の声をあげた。

 騎士が、国王の隣にそっと近づいて耳打ちする。なにかの報告だろか、なんだか違和感があった。前もこの動作はあっただろうか。昔の事で思い出せない。

 たしか、前の通り行けばこのまま仲間を紹介されるはず……。


 「ふむ、確かに勇者のようだな……。みなのもの!その者を捕らえよ!」

 「ッ……!」


 国王が声を張り上げてそう命令する。周りにいた近衛兵達が一斉に俺に件を向け始める。剣を構えて牽制する。

 どういうことだ……?どうして違う?時が戻っても同じように進まないのか?なんであれ、今ここで全員殺すしかない。

 

 「そやつに向かわせた騎士は皆殺しにされた!そやつは、勇者でありながら悪魔に魂をうった裏切り者だ!絶対に逃がすな!」

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