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転入生はオトコの娘

初めまして! 狸一郎です。

この作品は皆さんに笑ってもらえるような作品にしたいと思います。

これからよろしくお願いします。

 俺の名前は白瀬あおい。

 背は少し低くて、中性的な顔立ちをしてるが、どこにでもいる高校2年生だ。


 今日は4月7日。

 俺は親の仕事の都合のせいで、私立『虹が原高等学校』に転校することになってしまった。

 別に転校することが嫌なわけではない。むしろ楽しみだ。

 それはなぜかって?

 それは......


 共学だからだっ!!


 俺は中学3年間そして、高校1年をむさ苦しい男子校で過ごしてしまったのだ。

 だから、この学校でこれから俺はモテモテのハーレム生活を送るのだ!!


 俺は力強くこぶしを握り締め、今日から通うことになる学校の校門を潜り抜ける。


 その学内に広がるのは、むさ苦しいとは程遠い女の子が存在するものだった。


 ひらひらと揺れるスカート。

 おしとやかな歩き方。

 何気ない会話の、きれいな声。


 やっと来たぜっ! 俺の花園!!


 俺は軽い足取りで、呼ばれていた職員室に向かった。



 「失礼します。茶竹先生に用があってまいりました」

 「俺はここだぞー」


 ジャージ姿のTHEスポコン先生らしき人が手を挙げ俺を呼ぶ。

 ただ俺が近づくと、疑問の表情を浮かべていく。


 「で、俺に何の用だ?」

 「俺、今日から転入する白瀬あおいです。これからよろしくお願いします」


 その発言に、茶竹は一度俺の姿を見まわす。

 不思議そうな表情を浮かべるが、急に納得したように、うんうんと頷く。


 「よろしくな白瀬。その制服よく似合ってるぞ」

 「あ、ありがとうございます?」


 俺は制服を急に褒められて、違和感を感じる。

 なんか、勘違いされてないか?


 「あの先生、この制服のことですけど勘違いしてませんか?」

 「ん? 俺はお前が似合う服を着ることについては何も思わないけどな」


 この先生は確実に勘違いをしている。だって今の俺は......

 その誤解を解こうとしたが、茶竹が腕時計を見ると焦り始める。


 「オッと、もう朝のホームルームの時間だ。話はまた今度にしよう。教室に向かうぞ」

 「ちょっ、待ってください!」


 俺は誤解の解けないまま、茶竹の後に続き、自分の教室に向かった。



 「おい。お前ら。新学年早々に転入生を紹介する。入ってこい」


 俺は茶竹の合図とともに、教室のドアを開けて入る。

 クラスメイトの目線ではこのように映っていた。

 華奢な体。

 ショートカットの白髪。

 整った顔立ち。

 そして、見るものを魅了するきれいな瞳。


 「おいっ! 転入生めっちゃ可愛くない?」

 「小動物みたい。かっわいいー」


 俺の見た目の評価が話されている。だが、話すならもっとこそこそと話してくれ。俺はその言葉が嫌いなんだよ。

 ただ、窓際の一番後ろの席の金髪の男の子は俺の方を向かず、窓の外を眺めていた。


 「よし白瀬。自己紹介しろ」


 俺は黒板にきれいな字で白瀬あおいと書く。


 「しらせあおいです。皆さんと早く仲良くなりたいので、あおいって呼んでください」


 俺はクラスメイトに向けて一礼する。

 その瞬間クラスの男子が盛り上がった。


 「出身どこなの?」

 「あおいちゃんって目標とかあるの?」

 「あおいさんは元はどの学校なの?」

 「俺の彼女になってください」


 いろいろな質問が飛んでくる。一つだけおかしな質問らしき告白が来たが聞かないふりをしておこう。


 「ちょっと、そんないきなり来られても困るよ。ひとつづつ答えていくね」


 俺は一息ついて、さっきの質問に丁寧に答えていく。


 「元はとなりの〇〇県の灰土高校に通ってて、親の都合でこっちに越してきました。学校での目標はそうだなー、異性と仲良くなることかな?」


 俺は少し照れ、頬を赤らめる。

 その発言に男子はまた熱狂的に盛り上がる。だが一部の女子は機嫌悪そうな顔をする。


 あれ? これは女の子に嫌われちゃったかな?

 この女の子への性欲丸出しな発言に後悔をおぼえたのも束の間、俺が無視した発言が再び迫ってきてしまった。


 「ねー! 俺、あおいに一目惚れしたんだ! 付き合ってくれ」


 この声の持ち主は席から立ちあがった。見た目は赤茶色の髪でさわやか、身長も高くて、THEイケメンであった。

 イケメンの告白だ。女の子であったらうれしいものだろう。(ただこんな急なのはおかしいけど)

 だが俺は......


 「あのー、君、何か勘違いしてない? 俺は男なんだけど」

 「「「お、お、お、お、おとこーーーっ!!??」」」


 この発言で、あんなに騒がしかったクラスが一瞬で凍り付いた。

 女子は直ぐに思考を持ち直すことができたが、それは俺が女ということで、希望が膨らんでいなかったからだろう。

 ただ男子はそうはいかなかった。

 その中でも俺に告白した男は、この言葉を信じてすらいなかった。


 「いや、男? ありえないありえない。だってそんなかわいいんだよ?」

 「俺はただ中性的な顔のだけだよっ!」

 「で、でも、だって、お、お前っ! 女子ものの制服着てんじゃん! まさかお前、そっち系の趣味の男なのか?」

 「こ、これは違う! 送られてきた制服が間違って女子用だっただけだよ。別にそういう趣味とかあるわけじゃない!!」


 俺の発言により、俺に告白してきた男子は、撃沈してしまった。

 また、そんな彼と同時に驚きを隠せていない人がいた。


 「白瀬。お前、趣味でそんな恰好してるんじゃなかったのか?」

 「先生まで何言ってるんですかっ!? 俺は女装趣味の変態野郎じゃありませんっ!」


 あの違和感はこういうことだったのか。変な誤解をされたあげく、気遣いもされてしまっていたことを知り、俺はこの制服がもっと嫌になる。


 「白瀬。あとで生徒指導室にこい」

 「わ、わかりました」


 この茶竹の発言を曲解しているものがいた。

 そいつはまた赤茶髪のイケメンだった。


 「なんで生徒指導室なんて人気のない部屋に。ま、まさか。せんせーがオトコの娘を好きだったとは」

 「赤城! お前変なこと言うな!」


 茶竹は赤茶髪のイケメン、赤城のところまで行き頭を日誌でたたく。

 そしてその日誌を机に置く。


 「白瀬を男子用の制服に着替えさせるだけだよ。お前は、先生を馬鹿にした罪で、今日の日直だ。忘れずに仕事しろよ」

 「そりゃないよせんせー」


 彼は本日、二度目の撃沈を果たしたのであった。


 俺のバラ色学園生活は、こんな感じで誤解に誤解を重ねた感じでスタートしてしまったのである。


~~~~~


 生徒指導室でのこと


 俺は茶竹に男子用の制服を渡される。


 「ありがとうございます」

 「いや別に構わないさ。だが、なんでお前、間違ったものが届いたって連絡してこなかったんだ? やっぱりそういう趣味が......」


 俺のことを横目見てくる。

 その姿に憤りを感じる。


 「違いますって! 届いた制服の中に手紙が入ってたんですよ」


 俺はその手紙の内容を伝える。


 白瀬あおいちゃんへ

 君が入学するにあたり、お知らせすることがあります。君は筆記試験では合格ラインには達していませんでした。しかし、君みたいなかわいい子を落としたとしたら私は男じゃありません。なので、一つ条件を課します。これさえ守れば合格にします。それは、女性用の制服で初日は登校してください。以上っ!!

 校長より♡



 「みんなに入学できた理由が女装すること、なんていえませんよ。だから、あんな風に言ったんですよ!」

 「そりゃ言えないが、これに関しては勉強ができないお前が悪いからな」

 「そ、それはそうですけど......」


 俺は何も言い返せない。馬鹿なことは確かだった。近場で通える学校が全部頭がいいか、男子校だったことにより、この決断を余儀なくされてしまったのだ。

 俺は、自分の無能さを恥じながら着替えようとする。

 まずはスカートから......


 そんなとき、茶竹は生徒の着替え姿をまじまじと見つめていたのである。


 「お前、女性ものの制服着るんだからちゃんと下着もそろえろよ」

 「なっ! 何言ってるんですか。この変態教師っ!」


 俺はこの時、赤城が言う通り、この先生はオトコの娘趣味を持つ変態だと確信したのである。

読んでいただき、ありがとうございます。

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