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名前は知らない、黄色い花。

作者: 海野音

こっち見ないで、照れるから。

求められていない動揺なのは知ってるけど、どうにも止まらない。

名前は知らない、独り立ちした黄色い花。

聞きたいことでもあるように、こっちに向けて咲いている。

綺麗な髪飾りは昨日のこと。

聞きたくないことでもあるように、こっちに向けて輝いた。

一昨日まで休んでた、まだらな灰色の蛾は消えている。

落とした返事は見当たらない。

撒き散らした泣き言は見つからない。

こっち見ないで、思い出すから。

求められていない絆なのは分かってるけど、どうにも棄てられない。

名前も言えない、取り残された青白い花。

言いたいことでもあるように、こっちを睨んで恨んでる。

永遠の明日を休んでる、くすんだ灰色の蛾が飛んでいる。

音もたてず、霞んだ断片、希望の灰が舞っている。

どうにもならないこと、分かっているけど深呼吸。

どうにもならないこと、分かっているけど底なしの渇望。

染みだらけの壁で灰色の蛾が休んでる。

解れた記憶を数えて束ねて。

あの頃のざわめきを、線で繋げて数えて束ねて。

こっちは見ないで、知られたくないから。

名前はいらない、青白い花。


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― 新着の感想 ―
[一言] 心象の情景への重ね方が好きです
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