名前は知らない、黄色い花。
こっち見ないで、照れるから。
求められていない動揺なのは知ってるけど、どうにも止まらない。
名前は知らない、独り立ちした黄色い花。
聞きたいことでもあるように、こっちに向けて咲いている。
綺麗な髪飾りは昨日のこと。
聞きたくないことでもあるように、こっちに向けて輝いた。
一昨日まで休んでた、まだらな灰色の蛾は消えている。
落とした返事は見当たらない。
撒き散らした泣き言は見つからない。
こっち見ないで、思い出すから。
求められていない絆なのは分かってるけど、どうにも棄てられない。
名前も言えない、取り残された青白い花。
言いたいことでもあるように、こっちを睨んで恨んでる。
永遠の明日を休んでる、くすんだ灰色の蛾が飛んでいる。
音もたてず、霞んだ断片、希望の灰が舞っている。
どうにもならないこと、分かっているけど深呼吸。
どうにもならないこと、分かっているけど底なしの渇望。
染みだらけの壁で灰色の蛾が休んでる。
解れた記憶を数えて束ねて。
あの頃のざわめきを、線で繋げて数えて束ねて。
こっちは見ないで、知られたくないから。
名前はいらない、青白い花。