旅立ち 1
投稿いたします。
節目の回になります。
今日は、カルディナの家に皆が集まっていた。
それにしてもあの後大変だったんだ。
カーリーばかりずるい!とヴェルデが叫んで服脱ぎ出すし、その騒ぎを聞き付けたカルディナが乱入して怒鳴り散らすし、大変な目にあいました。
「いやあ、ゴメンゴメン。まさか本気にするなんて思わなくて。」
ジェナさんに文句を言いに行ったら軽くあしらわれ、
「でも、どうだった? カーリーは? 母親の私が言うのもなんだけど可愛かったでしょ?」
全く反省してないおばさんに何言っても駄目だと諦めました。
その後は、ローエンの件をグランディール公、カルディナのお父さんに報告したり、そのカルディナとの婚約を正式に国中に発表して、多くの男性から呪いの魔術を施した、わら人形や剃刀が大量に贈られたりして大変な毎日を一月ほど過ごしてようやく、色々な準備が整ったと報告を今日受け、グランディール家にいると云うわけです。
「皆、今日集まってもらったのは、今後の事について話しておこうと思ってなんだけど、良いかな?」
僕は集まった皆を眺めて、特に意見がなかったので話を続ける事にした。
「まず、この国の鬼についてだけど、これはカルディナの公爵家が中心となって調査いた結果、これ以上の鬼はいないと解りました。そこで他の国の状況も確認する必要があるし、後はクドエルドが向かったとされる北方山脈の麓周辺を探索する必要があるため、僕はその調査をするためにこの国を出ようと思うんだ。」
一通り喋ったので一度皆の顔を眺めたが誰も文句を言ってくる子はいなかった。
「それで、僕と一緒に探索に同行してもらう人を決めようと思うんだけど、誰かいるかな?」
「バッ!!!!!」
うお!っとびっくりした。
僕の呼びかけの声を聞いた途端、皆が一斉に挙手して参加を表明した。
「いや、全員というのもどうかと思うんだけど?」
「なぜ? 私はタクミの奥さんだよ! 一緒に行くに決まってるでしょ!」
「だってヴェルデは学校の教員としての仕事が、」
「あ、あれ辞めてきたから。」
「え?ちょっと、それ本当!!」
「嘘いってもしょうがないじゃない。」
それはそうだけど、まさか他の皆も同じような事してないだろうな。
「フラムは?」
「私? 私はギルドに当分王都での仕事は受けない事を伝えてきたよ? たぶん国外での冒険依頼を受けるとも言ってあるから、冒険者資格の剥奪とかはないからね。」
用意周到な事だな。
「クロちゃんは?」
「え? 私ですか? 私はウエイトレスの仕事は何日か前に辞めていますので問題ありませんよ?」
そうなんだ。
あとトルエは、一緒に行くしかないか。
「わらわは、一緒に絶対に行くからな! そうしないとこの都を壊しかねんからの! わはは!」
絶対に一人には出来ません。
後は、カルディナとルゼリアだけど、
「あのータクミさん、私はやっぱり王都に残ります。修道僧としての修業中の身でもありますし、あまり戦力としては活躍出来ないと思いますから。」
ルゼリアは残ると言ってくれた。
これは僕もその方が良いとは思っていたけど、少し可哀相な気もする。
「本当に良いの?」
「はい、もう少し修業して聖魔術を完全に会得したら、タクミさんのところに駆けつけますから。」
きっぱりと言いきったルゼリアの表情は笑顔だったので僕も納得して留守を頼む事にした。
読んでいただき有り難うございます。