カーリーの災難?8
投稿いたします。
「ほら、タクミ、カーリーもああやって反省してるんだから、ちゃんとフォローしなさいよ。」
ヴェルデが僕の肩を小突いて、カーリーの方へと押し出してくれる。
「う、うん。」
泣いているカーリーに僕は近づいて震える小さな肩に手を添えた。
一瞬ビクン、と震えたカーリーだったが、ゆっくりと顔を上げて僕の顔を見つめてくれる。
「ゴメンなさい。わたし、わたし!」
震えながら必死に叫ぶカーリーを僕は何も言わず抱きしめた。
「カーリー、本当に無事で良かった。もし君に何かあったら僕の心は正気を保てないと思う。だから本当に良かった。そしてこれからはちゃんと報告してから行動してね? 僕って奥さん達ほど強くないから皆に頼ってしまうけど、それでもやっぱり僕にはちゃんと話してほしい。」
僕の言葉にカーリーは何度も何度も僕の胸の中で頷いてくれる。
「カーリーはわしらの中でも一番若いまだ子供だからな。今回の件で良い勉強になったと思えば良かろう。」
トルエが笑いながら、、カーリーの肩を優しく叩いてくれる。
「でもこれだけ抱きしめて貰えるなら、わたしだってちょっと危ない事してみようかな?」
ヴェルデが怖いこと言ってる。
けどその表情は笑っているし、冗談なのだろう。冗談だよね?
「取り合えずこの事を、カルディナを通してグランディール公爵様に報告しよう。」
「そうね。これでこの国の鬼はほぼいなくなったと考えても良いかもしれないわね。」
「そうだね。そして僕たちの次の目標も見つかった事だし、結果はカーリーに感謝だね。」
三人で頷く。
「それじゃあ帰りましょう。」
そうして僕達は、学生寮へ帰ってようやく休む事が出来たのだった。
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翌朝。
僕は、自分のベットの上で朝を迎えた。
昨日の事は口頭で公爵様に簡単に連絡を終え、改めて今日王城に赴き事の次第を報告することになっていた。
ただ、その前に僕はベットから起き上がれない状況にあった。
「カーリー、カーリー、起きて下さい。ねえカーリー。」
「う?、う~~~~んん、まだ・・・・・ぐう~」
相当疲れたのかな? 起きる気配がないけど、さすがにこのままとはいかないよね?
カーリーはベットの中で僕の首を両手でがっちり掴み、シーツの中では僕の片足をカーリーの両足が絡まるように固定して完全ホールド状態で身動きが取れなくなっていた。
そのうえ、どうもカーリー下着すら着けて無い気がする。
考えようによっては、8才同士の幼なじみが一緒に寝ていると考えれば問題無い気もするけど、精神年齢の高い僕としては完全にアウトの様な気がする。
「気のせいかな?」
「気のせいなんかじゃ無いわよ!!」
び、びっくりしたあ!!
いつのまにかヴェルデが僕たちが寝ているベットの上に跨がるように物凄く怖い形相で立っていた。
「あ!ヴェ、ヴェルデ! こ、これはその!なんと言うか!」
「言い訳は聞きません! 確かに昨日はカーリーが可哀相だったから一緒に寝てあげなさいとは言ったけどこんな格好で寝て良いなんて言ってません!」
「これは不可抗力だ! 僕は何もしてない! ねえカーリー起きてよ! ちゃんとヴェルデに説明して!!」
「ん? んんんん~~~~ん! あ! おはよう! タクミ君! 夕べは凄く格好良かった! 凄く嬉しかった!」
「タクミ~、一体何したの?」
ヴェルデが勘違いしてる。絶対勘違いしてる。
「あ、ヴェルデ姉様おはよう! 夕べのタクミ君スッゴく格好良かったよね。私感動しちゃった。あんなに私の事を考えてくれてたなんて嬉しすぎだよ!」
興奮して喋りまくるカーリーだけど、何故か僕にしがみつくのは止めてくれないみたい。
というよりよけいに引っ付いてくるような。
「そういう事ね。でもカーリーなんで裸なのかな?」
「え?これはお母さんが、タクミ君に助けられたら、これぐらいしてお返ししないといけないって言われてて。」
まあた、ジェナおばさんか! あの人は娘に何吹き込んでるんだ!
読んでいただき、ありがとうございました。