カーリーの災難?7
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「な! 化け物?」
鬼へと姿を変えているローエンに化け物と言われた、獣人化したカーリーは頬を膨らませ憤慨する。
「化け物はおじさんでしょ!? タクミ君はこの姿可愛いって抱きしめてくれるもん!」
「ば、馬鹿な! その鎖は神魔鋼鉄だぞ! 我等鬼でもそう簡単に壊せる代物じゃないんだぞ!!」
「そうなの? 結構脆かったわよ?」
わなわな震えるローエンを無視して自分が引きちぎった鎖を眺めるカーリーだった。
「まあ、それは置いといて早くタクミ君に知らせたいからおじさんちょっと眠っててね。」
可愛らしい笑顔をローエンに向けると一瞬だった。
「!!!」
ローエンは何が起こったのか判らなかった。
獣人化した少女が一瞬で目の前から消えたと思った瞬間、自分の腹に何か重い物が減り込んで来たのだ。
どうしたのか全く頭が付いて来ない間に、激痛が体中を巡りそれが頭に届いた瞬間目の前が真っ暗な世界と変わった。
「な?!・・・・・・・」
ローエンはそのまま動かなくなった。
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僕は、カーリーから念話が届き急いでその場所に向かった。
最初は皆で行くはずだったが、カーリーの話を聞いて問題なさそうだったので、僕とヴェルデ、トルエの三人で迎えにいき、残りはカルディナの身辺警護も兼ねてお留守番をしてもらう事になった。
「カーリー、これはどうしたの?」
僕は王都の北の奥にある貴族街でも放棄された一角にある豪邸の地下にいた。
そこには、お城であったローエン長官が体を九の字曲げ突っ伏したまま気絶している姿があった。
その他にも数人の黒ずくめの男が同じように倒れ、ロープでがんじがらめに拘束されているのも目にはいった。
そして一番驚いたのはそのローエン長官の額から二本の角、そう鬼の角が生えていたことだ。
「カーリー、まずは状況を説明してくれないかな?」
「うん、良いよ。」
カーリーは少し得意げに胸を張りながら僕に事の流れを説明してくれた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど。そういう事か。」
僕はカーリーからの説明を聞いて納得する。
このカーリーの情報は重要だし、今後の僕たちの行動も決まりそうだ。
ただ、
「ねえ、カーリー?」
「何? タクミ君。」
「もう、絶対こんな無茶はしなでくれ!」
僕は少し口調を荒げてカーリーに話す。
カーリーは普段タクミに怒られた事が無かったので、びく!と体を奮わせびっくりしているようだった。
「今回は、簡単に出来たかもしれないけど、もしこのローエンの力がクドエルド程あったら、もしこの黒ずくめが鬼に変化出来ていたら、こうなっていたのはカーリーかもしれないんだよ。」
なるべく怒らず丁寧に話すつもりでも感情が高ぶっているせいか、声が奮え目に涙が滲んで来てしまう。
僕のその表情を見たカーリーは自分のした事をもう一度考え直す。
わたし、タクミ君の為になるならなんでもするつもりだった。
だから今回の件を自分で調査してタクミ君に喜んで貰いたかった。
でも、もしあの眠りガスが致死量だったら?
もしあの鬼が考え無しに私に酷いことをしたら?
もしあの鎖がもっと頑丈で私の力で壊せなかったら?
自分の力に過信してしまっていたんだ。
その結果軽率な行動をとって、タクミ君に余計な心配かけたんだ。
タクミ君だけじゃない、ヴェルデ姉様にもトルエ姉様にも皆に心配かけてしまった。
カーリーは自分の行動を振り返って寒気を覚え、皆に心配をかけた事に恥じた。
そう思ったらカーリーの目から涙が溢れ出す。
「ゴ、ゴメンなさい! う、うっ、ぐす、ほ、本当に、ゴメンなさい!!」
カーリーはその場に立ち尽くし、スカートの端をギュッと握り締めながら泣きつづけた。
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