カーリーの災難?6
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ローエンは、何かに取り付かれたように話だし、クドエルドを崇拝する言葉を続けた。
「何で私なの!勝手に自分たちだけで復活なり何なりすれば良いじゃない! 人を巻き込むな!」
「私達は神に負けたのですよ? その神を崇める人族を苦しめる事が神に対しての宣戦布告にもなるのです! それにどうせ贄にするなら力ある者の方がより強い鬼を蘇らせる事が出来るのです。そういう意味ではあなた方はうってつけなんですよ!」
「私達? カルディナ姉様やヴェルデ姉様も対象だっていうの?」
「そうです。まず一番弱そうなあなたを捕らえ、それを盾にしてあなた達真竜を倒した者全てを鬼の贄とさせていただくつもりなんですよ!」
どんどん、雰囲気が妖しくなるローエンを睨むカーリー。
その目が気に食わないのか、ローエンが身動きの取れないカーリーに近づきカーリーの顎に指を掛けるとクイッと上に顔を向かせた。
「気にくわないですね、その顔は。すこしは怯えたらどうです? あなたは私の手のうちにあるのですよ? 少し虐めてあげた方が良いですかね?」
カーリーの顔の間近で舌なめずりするローエンだが、それにもたじろぐ事無く真っ直ぐに睨みつける。
「あなた、この国にはあとどれくらい鬼が残ってるの? まさかあなた一人なんて事はないわよね?」
「それが何か? こんな国私一人で十分ですよ。 早くあなた達を鬼にして戦力を増強してこの国を滅ぼす事が出来ればクドエルド様にまた私を認めてもらえるんです! 良いですねその怒りの表情も、そうですもっと怒りを私にぶつけなさい!それが私の力となるのです!」
「ほんと気持ち悪いわね、おじさん。もしかしてそのクドエルドって人、おじさんの事気持ち悪くなって見放したんじゃないの?」
「はあ? な、何を言ってるんです? この小娘は! この私がクドエルド様に見限られたとでも言うのですか!」
「たぶんそうよ。私だったら絶対嫌だもの。」
「そんな事はありえません! 今でも北のドワルダール山脈の麓にあるクドエルド様の拠点で私の所業を見守って下さっておられるはず! いい加減な事をぬかすな! 小娘!」
ローエンは感情が高ぶり、鬼の気を隠そうとせずにカーリーを威嚇する。
すでに額からは鬼の角が生え出してきていて、その正体を表していた。
「やっぱりおじさん見放されたんだわ、そんな重要な事私みたいなのにポンポン教えてしまうんだからね。」
カーリーは鬼に変質していくローエンにたじろぐ事も無く、微笑みすら浮かべて鬼を見下す。
「ほざけ! 小娘! そんな状態でお前に何が出来る! ここから逃げ出さないとその情報とやらも意味をなさないのが判らんのか?」
嘲笑うローエンに、カーリーも笑みで返す。
「じゃあ、お言葉に甘えて逃げ出す努力してみるから見てなさい。」
そう言ってローエンを睨みつけると、目を閉じ集中するカーリー。
「『おいで! 白狼王!』」
その言葉に直ぐに反応が現れ獣人化が進む。
その光景に言葉も無く見るローエン。
「な、な? なんだそれは!! 協力な魔術干渉結界が張ってあるんだぞ! 人間が聖獣を召喚する事なんか出来るわけがない! しかも獣人化だと!」
カーリーの獣人化に、驚き冷静さを失うローエンに重ねての仕打ちが待っていた。
獣人化の終わったカーリーは両手、両足が繋がれている鎖を怖そうと足を踏ん張り、右手を腰の後ろへと抱え込むように引っ張り、ためを作り動作が一瞬止まって見えた。
その瞬間、右手がパンチを繰り出していた。
一瞬だった、カーリーが拘束されていた鎖が粉々に壊れしてしまった。
「な! その鎖は神鉄なんだぞ!! 我等鬼にとって忌ま忌ましい代物だが、だからこそ凡人が壊せるものではないはずだ!!」
「あ、そんなに強いのこの鎖?」
無残に壊れた鎖を見ながら、不思議そうな顔をするカーリーだった。
有り難うございました。