表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/90

カーリーの災難 4

投稿いたします。宜しくお願いします

王都の中でも北に位置する通称、貴族街。

この貴族街の中でもさらに北に位置する、現在はあまり人が住んでいない一角があった。

その昔、一家全員が殺される残酷な事件が起こり、それ以来その周辺の住民も怖がって退去が続き、今では誰もこの一角に寄り付かなくなった場所。

その惨劇があった屋敷の前にカーリーは連れて来られていた。


「随分、薄気味悪い場所ですね。」


カーリーがそう尋ねると、黒ずくめの男が振り返る。


「ええ、その昔一家惨殺される事件が起こりまして、それ以来使われていない屋敷なんですよ。」


「そんな所にお母さんがいるの?」


「いえ、ジェナ様はおられません。私どもは、ジェナ様からこの屋敷に隠されている者を、あなたにお渡しするよう頼まれただけですので。」


「そうですか。」


「それではご案内致しますのでこちらへ。」


黒ずくめの男は屋敷の奥へと手を指し示し、カーリーを先導する。

それに乗り、カーリーは男の後を着いて屋敷の中に入っていった。


正面の玄関から入ったカーリー達は、所々燈された廊下を照らす小さな明かりのランプを頼りに、招かれる方へと歩みを進め、階段を下り右に伸びる廊下へと進む。

途中いくつかの部屋と思われる扉があったがそこは素通りしさらに奥へと進む。

そしてさらに小さめの階段を下りると、少し広い石で積み上げられた部屋へと降り立つ。


「この奥にございます。」


黒ずくめの男が指し示した先に一つの扉が存在した。


「ここですか?」


「はい、この奥にその品物があるそうです。」


カーリーはその男の言葉を聞くと何の疑いもなく扉を開け、中へと入って行く。

そこは5メートル四方の石積みの部屋で窓も何もない部屋だった。

カーリーは部屋の中に入り一通り見渡すが特に何かある訳でも無く、所々に金属製の板やリング状の物が壁に付いている程度だった。


「特に何もないですけど?」


カーリーが尋ねようと振り返るとその男達の顔に先ほどまで無かったマスクが被さっていた。

それは目をゴーグルで覆い口と鼻は何かの革製で完全に覆い口先だけ空気の取り入れる為の網状の穴が二つ程ついている奇妙な仮面だった。

カーリーはそれを見て、いったいそれが何か判らなかったが、次の瞬間フラッと目眩を覚え一瞬体をふらつかせてしまった。

なんとかその場は持ちこたえたが、次第に頭がぼーっとしていくのを感じ異変に気づいた。


「これは、」


「そろそろ効き始めましたか。結構時間がかかりますね。さすがは真竜と対決出来るだけの事はありますね。」


黒ずくめの男の言葉を聞きカーリーは、ぼーっとする頭ではあったがおおよその状況は把握出来た。

この部屋には元々何か毒素のあるもので充満させていて、それをカーリーが吸った為、体に変調が起こっているのだと。


「心配しなくても直ぐに殺したりしませんからね。あなたにはカルディナ姫とタクミという少年でしたか? その子をおびき寄せる餌になってもらいます。ですから安心して眠って下さい。」


マスク越しなので表情は判らなかったが、冷たく笑う顔が想像できた。


『シロあとは、お、ねがい、くろ幕が、でるまでは・・・・・』


『了解致しました。けど、カーリー様の身に重大な危機が迫った場合は行動を起こしますが宜しいか?』


『うん・・・・・』


シロとの念話を最後にカーリーの意識は闇の中へと沈んでいった。

有り難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ