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昇級試験 6

投稿致しました。

よろしくお願いします。

この後、二人は思う存分楽しまれた。

そりゃもう、練習場の形が変わるくらいに楽しまれました。

地面はえぐれ、中には10メートルくらいの大穴が開いたり、逆に10メートルくらいの小山が出来ていた。


「はあ、はあ、はあ、、ってお母さん! いい加減負けを認めてよ!」


「はあ、はあ、はあ、はあ、って娘に簡単に負ける訳にはいかないじゃない。」


似たもの同士、親子です。

でも若干カーリーの方が押してるのかな?

神獣、白狼との相性なのか、白狼王と、最近神獣になった白狼の差が出たのだろうか。

しかし、このままという訳にもいかないので、僕は提案することにした。


「あのう、ジェナおばさん? もうかれこれ20分くらい戦ってますし、まだ僕達も残ってるのでそろそろ判定してもらえませんか? カーリーも良いよね?」


僕の訴えに、ジェナおばさんは警戒を解いて考え出す。


「私は、負けを認めてくれたら別に問題無いよ。」


カーリーはあくまでもジェナおばさんに負けを認めてもらいたいようだけど、それが出来ないから長引いているんだけど、ジェナさんどうするかな?」


「判ったは、今回は負けを認めます。ただし今度は負けないから覚悟しておくのね!」


ビシッ! とカーリーを指差すジェナおばさん。負けず嫌いも親子です。でもカーリーの成長が嬉しいのか顔はにこやかだけどね。

これで、カーリーのAクラス昇級が決まった。


「おおおおお!! あの鬼姫が負けたぞ!」

「すげえー! あの娘めちゃくちゃ強ええ!」

「カーリーちゃん! お姉さんの妹になって!!」


観客席にいる冒険者から、歓喜の声が大勢上がった。

これでカーリーも一躍有名人になったかもね。


さあ、次は僕だ。


「それじゃあ、次は僕が行きますので、よろしくお願いします。」


「あ!ごめん。もう試験無しね。」


「「えええええ!??」」


ジェナおばさんの試験無し宣言に、ヴェルデ達も声を上げた。


「どういうことですか!! ジェナ試験官!」


フラムが代表してジェナさんに講義の声をあげた。


「ああ、ごめんね。はっきり言ってもう体力的にこれ以上は無理。こうして見てるだけでも、君達の魔素量や魔素の錬成規模が桁違いに感じられるもの。このままやったら私が大怪我してしまうから試験はここまで。」


あっさりと試験の注視を宣言するジェナおばさんにみんなは納得がいかないようだ。


「そうすると、僕達の試験は明日以降ということですか?」


僕が質問を投げかけると、ジェナおばさんは首を横に振って否定した。


「試験は今日で終わり。多分この中でカーリーが一番弱いと思うのよね。それでこれだもの。いちいち君達の能力確認なんてしなくても、私と同クラスかそれ以上は確実なんだから、試験無しで合格と云う事で認めてあげるわ。」


ウインクしてそれで良いでしょ? って顔してるけど、それで良いのか?

はっきり言って、カーリーが劣るのは魔術式の構築や魔術の発動が劣っているだけで、魔素量や錬成度は僕達の中でもトップだと思うんだけ。

それに格闘戦に関しては、フラムと同等かそれ以上なので決して一番弱いとは思えないけど。。

僕がそれを指摘しようとしたのだけれど、ジェナおばさん口元に人差し指を当てて、シー、のポーズを向けてきた。

なるほど、判っててこれ以上戦闘するのが本当は辛かったんだろうな。

それだけカーリーが強かったってことだろう。


「えー! 私、ジェナ試験官と戦ってみたかった!」


フラムが、ブーブー言ってるけどこちらとしても簡単に終わってくれた方が助かる。

まあ、僕も戦ってみたかったから後日にでも模擬戦でも頼んでみようかな?


「おい!どうなってるんだ!」

「試合は終わったのか!?」

「どっちが勝ったんだ! 賭けの方はどうなんだよ?」


それより観客席の冒険者から荒げる声がし始めているけど、いいのか?


「実行委員のギルド本部から申し上げます。ただいまの試合、カーリー・マリガン選手の判定勝ちとなります!」


「うおおおおお!!」

「やったぜ! 大穴だ!」

「しまったあ! 無難で失敗した!」


観客席からは悲喜こもごもの言葉が交わされている。

まあ、僕等は何もしてあげれません。お気の毒さまです。


「なお、ジェナ試験官から、残りの選手との試合は、カーリー選手との比較検討した結果、引き分けとし全員合格とする発表がありました。」


司会進行役のルイルさんの言葉に、観客席が一瞬静まりかえった。


「よって、単勝でのカーリー選手の勝ちに賭けた方以外は親の総取りとなりましたのでご報告致します!」


「「「・・・・・・・・・・・・はあああ??」」」


観客席が今日一番の歓声、いや罵声が上がった。


「なんだそりゃあ! 聞いてないぞ!」

「サギだあ!!」


「馬鹿なこと言わないで下さい! 単勝以外でカーリー選手以外を引き分けとした予想をした人がおりませんでした。全員引き分けの人が3名程おられましたが、それもカーリー選手が勝利しましたのでハズレております。よって掛金は元締めでるギルド本部の総取りとなりました! もんくがある人は直接ギルドマスターにお願いしいます! ただしもんくを言って来た人にはそれなりのペナルティーがあると覚悟してください! 以上で試合終了致します!」


ルイルさんの一方的な試合終了宣言で、その後のギルド本部の練習場は騒然とし事態の収集に半日ほど時間がかかったそうです。

とにかく皆さんお疲れ様でした。



「手筈通りで頼む。」


「やはり、あのカーリー・マリガンって子供で良いんだな?」


「ああ、今の試合もジェナは冒険者に復帰したばかりで本調子じゃ無かったと聞くし、試合の中でもあの子が一番弱いと言ってたからな。」


「了解だ。それなりには強いんだろうが、AAクラスの俺の敵じゃないか。」


「それでは今夜決行と云うことで頼む。」


「報酬の方はキッチリと頼むぜ。」


「ああ、ちゃんと仕事してくれれば、雇い主報酬ははずむと言ってたから大丈夫だ。」


「それなら良い。それじゃあ俺はこれで、また時間に指定の場所で。」


「ああ。」


そう言って一人の男が闇に消えた。


「これでローエン様も喜ばれるだろう。」


そして、もう一人の男もギルド本部の地下練習場から姿を消した。

読んでいただきありがとうございます。

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