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昇級試験 5

投稿いたします。

「シロ! おいで!」


カーリーの足元召還の魔方陣が、輝くと一気にカーリーの人狼化が進む。

人の耳部分が無くなり、頭部上の左右に狼の耳が現れ、スカートの中からはフサフサとした長い尻尾が生え出してきた。両手も少し獣の毛が現れ鋭い爪が剥き出しになる。

あれ?前より少し全体的に白い部分が多くなってないか?

良く見ると、カーリーの特徴的な髪の色である赤色で獣耳や尻尾が以前は生えていたが、今回は殆どが白色で少し赤が混じる程度になっていた。

そして頭髪自体も大半は赤髪ではあるけど、獣耳が生えている周辺は髪が白くなっていた。


『エル、カーリーの頭の髪が一部白くなっているけど大丈夫なの?』


僕は心配になったのでエルに尋ねた。


『はい、大丈夫ですよ。あれは神獣化した白狼王との絆が強まっている証拠で、髪の毛まで完全に白くなり白銀に輝くと完全同調の証明になります。』


『つまり危険はないんだね?』


『はい、むしろ完全同調すると、私より神核が上位になるんじゃないですか。』


『そうなの?』


『タクミ様は今でも私より神核は上ですよ? ただタクミ様もカーリー様や他の奥様方も完全に神域に達する為には経験値が足りませんので、まだ普通に人間として活動しても問題ないですよ。』


『ありがとう。』


とりあえず問題は無いみたいだけど、やっぱり僕たち神様になるのか? 

未だに現実味を感じれない。


「カーリー! あんたそれどうしたの!?」


僕がエルと話を終えた頃、完全に人狼化が完成されていた。

ジェナさんがカーリーのその変身に驚いている。当たり前か。自分の娘がいきなり獣人みたいになってるんだから。


「母さん、これが今の私の最大の力だよ。全力でいくから覚悟してよ!」


『ちょ! ちょっと! カーリー大丈夫なの? 人狼化した力で全力ってジェナさん死んじゃうよ!』


『大丈夫! 母さんならこれぐらいなら死にはしないよ!』


そう言ったと思ったら、カーリーが予備動作無しにジェナさん目掛けて突撃していった。

これにはヴェルデや他の皆も心配になり、万が一の事を考えてそれぞれが準備し出した。


ドッガ!!!

ズザザザアザザアザザザ!!!!


瞬間、鈍い音が響いたと思った瞬間、カーリーが突撃していった進行方向から次々と土煙が上がっていく。

それが20メートルくらいだろうか続き、ようやく収まった。

観客席は、ここまでの一連の動作が殆ど一瞬で行われたせいもあって、何が起きたか着いていけず、無言のまま見つめるしかなかった。


本当に大丈夫なのか?


「ヴェルデ、クロちゃん、もしもの時は僕が神聖術で回復魔術をかけるから、周囲への視覚疎外をお願い。」


「わかったわ!」


「まかしておけ!」


僕は二人にもしもの時の事を頼んでおいて、改めてカーリー達の方に向き直る。

観客席からも徐々にざわめき声が出はじめる。


「おい、おい、あの土煙なんだよ。」

「極大魔術でも使ったのか?」


そんなざわめきが大きくなる中、土煙が薄くなり、その中に人影が確認できはじめてきた。

二人は?

目を凝らして良く見ると、土煙の中に人影が二つしっかりと立っているのを確認できた。

はあ、取り合えずジェナさん跡形もなくとかにはなってないようだ。

二つの影を確認して、ホッとしていたが、土煙が無くなり二人の姿をはっきりと見た瞬間、驚きのあまり顎が外れるかと思った。

まず、ジェナさんがカーリーの一撃を両手をクロスさせ完全に防御してしまっていた事。

そして、一番驚いたのはあれが生えていたからだ。


「なんで?」


そう最初の言葉はそれだった。

ジェナさんの頭から狼の耳とスカートの中からはフサフサの尻尾が生えだし、人狼化していたんだから驚くよ。


「ど?どうして母さんが!??」


カーリーも目の前の母親の姿が信じられないようだ。


「どうして?って、人狼化したからに決まってるじゃない。」


「ちがーーーーう!! そうじゃなくて、なんで母さんが人狼化出来てるのかって事よ!!」


「ああ、そこね。」


ジェナさんは防御の体制を崩しながら話し出す。


「これね、数ヶ月前、あんた達が大学に入るために王都に向かった2、3日後に、トネ村周辺に白狼の群れが現れたのよ。そこで私が討伐に出たんだけど、そこで私の頭の中に直接白狼が話しかけてきて、カーリー達とのいきさつを話してくれてね、そのまま村の守護獣として居座ることになったのよ。で、ただ守護するだけなのは暇そうだったので私が思いっきり遊んであげたわけ。」


ジェナさんの思いっきりの遊びは洒落になりません。


「そしたら、聖獣だった白狼の一体が神獣に変化してね、そのお礼にって私の使役獣になってくれたのよ。」


たった数ヶ月で聖獣が神獣に? 


『エル、そんな事あるの?』


『たまたま、あの聖獣だった白狼の中で神獣に近くまで育っていた固体があったのでしょう。』


はっきり言って信じられないけど、ジェナおばさんが嘘つくはずもないから本当なんだろう。


「それで私の白狼から聞いて、カーリーが人狼化出来る事は判っていたんだけど、雰囲気が全然私のと違うからびっくりしたのよ。私よりずっと同調率が高そうだから力の出し方がずっとスムーズなんだもの。同じ冒険者としては悔しいわ。」


そう言うジェナおばさんの顔は凄く嬉しそうだ。

でも、さすがジェナおばさん。まさか人狼化してしまうなんて。


ん? 待てよ? 人狼化ってまさかおばさんも・・・・


『はい、聖人核を持っておられますね。しかもかなり格が高いので近い将来、神核へ進化する可能性がありますね。』


「やっぱり。」


僕の周りって神候補がいっぱいいるけど、そんなに普通にあちこちにいるものなのか?


『いるわけないじゃないですか。神核は数百年に一度あるかないかの話なんですから、これは異常ですね。もしかすると、タクミ様の身内になると神核化が促進されるのかもしれませんね。』


エルが、さらっと怖いこと言ってらっしゃる。

もう少し自重しようと決める僕でした。

ありがとうございます。

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