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昇級試験 4

投稿致しました。宜しくお願いします。

「やっほー! カーリー元気して・たあ!!!」


ドッガッンン!!


ジェナさんが、カーリーの姿を確認すると、大きく手を振り始めているところに、カーリーが物凄い勢いで真っ正面から突っ込んで蹴りを入れた!

しかし、その蹴りが来ることが判っていたかのように体制を整え、同じ蹴りで対抗する。

その蹴りが衝突した瞬間、人と人の足がぶつかり合った音とは思えない程の大音量が練習場内に響き渡った。

あまりの音に観客席にいた冒険者達も声が出ず、練習場の中心にいる二人をただ凝視するだけだった。


「カーリー、なかなかやるようになったじゃない! 村を出てまだ数ヶ月しか経ってないのに、この急成長は流石にびっくりだよ!」


驚いている割には余裕の表情で笑みを浮かべるジェナさん。

二人は蹴り合った状態のまま微動だにせず、同じ格好で軸足一本で立ち会っている。

服装もジェナさんとカーリーが同じ様なデザインでしかも髪の色も深紅に燃える綺麗な赤髪で背の違いだけで遠目でみたら同じ人物かと思う程二人は似ていた。

そりゃあ親子だもんね。


「すっげー! さすが深紅の鬼姫だ!」

「でも、あの娘、物凄くお姉様に似てない?」

「そうだな、戦闘スタイルも、服装もだな。」

「ただのファンにしては出来すぎだろ? まさか鬼姫の子供なのか?」


会場中がカーリーの姿がジェナさんに似ているのでざわめき始めた。

しかしジェナおばさん、鬼姫って言われてるのか。何か納得してしまう。


「母さん、なんでこの試験の事宣伝しまくってるのよ! おかげでタクミ君が見世物みたいになって困ってるじゃない!」


「なあに? もうタクミ君の奥さん気取り? 聞いたわよちゃんと婚約者として認めて貰えたんだってねえ。私がカーリーにあげた戦闘下着の効果のおかげかな?」


ボッ! 


何話してるんだろう? 急にカーリーの顔が赤くなった様な気がするんだけど、こっからだと良く見えないや。


「タ、タクミ君は! そんな事で理性を失うような人じゃなかったの! そんな事しなくてもちゃんと私のことを大切に思ってるって言ってくれたの! だから母さんがくれた物で無理矢理になんかしなくて良かったの!」


「と、云う事は、しっかり一度はあれ着て迫った訳ね。 うん感心、感心、それでこそ我が娘よ!」


ボッ! ボッ!


あ?カーリー大丈夫か?今度は体中が赤くなって湯気でも出てそうだ。


「それより、カーリー良いの? タクミ君、あんた以外にもたくさんの女の子と婚約したそうだけど?」


「それは良いの。ちゃんと私も理解してるし、それにお姉様達に優しくしてくれるタクミ君だから好きなの!もし、お姉様達を見捨てるタクミ君なら、こんなに好きにならなかったと思うもん!」


二人は、蹴りの体制から直り、今は直立して向かい合い話し合っていた。

そしてカーリーのちゃんと考えた上での現状に満足している事が判って、ジェナは安心していた。


「そう、判ったわ。ちゃんと考えて出した答なら私はこれ以上何も言わないわ。それじゃあ、試験を再開しようじゃない!」


「それでは! Aクラス昇級試験について簡単に私、ギルド受付嬢みんなのアイドル! ルイルがご説明いたします!」


あれ?カーリー達の前にいるのルイルさんだよね? なんで魔道具の拡声器を持ってあんなところいるんだ?

説明? 普通それって僕達にすんじゃないの? なんで観客に対してなんだ?

・・・・・・・・やっぱり賭け対象なんだ。


「まず!試験官の紹介からいっちゃいましょうかあ!?」


うおおおおおおおおおおおお!!


「深紅の鬼姫! 国落としの怪女! 竜虐めの女帝! 色々な逸話が残る我等、冒険者の憧れ! ジェナ!・マ~、リ~、ガン!!」


プロレスのコールみたいなルイルの紹介に、練習場に来ている冒険者から一斉の雄叫びがした。


「対するは!この王都を皇帝真竜の恐怖から救った英雄の一人! 白狼の妖精こと! カーリー・マ~リ~ガン!!」


お! カーリーに、二つ名が出来ていた。


「おい! あの娘の名前、マリガンって、じゃあ。」


「そうです! 皆さんのご想像通り! 彼女こそ、ジェナ・マリガンの愛娘、カーリー嬢なのです!」


「うおおおおお! どうりで良く似ていると思ったぞ!」

「カーリーちゃん! 私の妹になって!」

「こっち向いてええ!」


いきなり冒険者のアイドルみたいになったカーリーだけど、あまり表情は変わらないな。


「人気者だねえ。母さん嬉しいよ。」


「別に関係ないわよ。私はタクミ君の言葉が一番なんだから、他の人の言葉なんてどうでもいいの。」


「言うようになったわね。」


二人は直立で相対していたが、観客の声援のの中、腰を落とし双方が身構えはじめた。


「それでは、試験の内容を確認します。挑戦者は試験官に対し、一撃をいれるか負けを認めさせる、もしくは試験官がAクラスに足ると判定した者を合格といたします。」


ルイルの間ににも二人は気を為、魔素を練り上げて行く。

そして僕にはカーリーが出し惜しみしないで最初っから全力で行く事が判った。


「この試験には力の制限はありません! この練習場も多重結界で保護していますのでたいていの魔法や物理攻撃にも耐えれますので思う存分戦って下さい。ただし殺意ある攻撃は禁止です。それを確認した場合即失格になりますので注意してください。」


「では!試験の開始、お願いします!」


ルイルの掛け声と共に試験は開始された。




読んでいただき有り難うございます。

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