昇級試験 2
投稿いたします。
「申し訳ありません!!」
僕たちは今、ギルド本部の奥に通され、ギルドマスター兼王都本部長のラスターさんの執務室兼応接室に通され、そのラスターさんに、土下座されていた。
「あのう、もう良いですから、頭を上げて下さい。」
「いえ!カルディナ姫様とその夫となられるタクミ様とそのご家族の方々を、まさか立たせて待たせているとは! 誠に申し訳ありません! ほら!お前ももっと頭下げろ!」
「ひっ! こ、これ以上頭、下げられません!」
「根性で下げろ! 床に減り込ませろ!」
「む、無茶ですう!」
「もう、本当に良いですから、ねえみんな!」
「ご家族って、私たちカルディナと同じタクミの奥さんだからね! そこんとこ気をつけてね!」
ヴェルデが変なとこで切れてる。
「りょ!了解であります!」
ラスターギルド長が直立不動で敬礼してきた。
ここは、このスタイルが挨拶なんだろうか?
それから暫く、ギルドマスターと受付のお姉さんの謝罪攻撃が続いたが、なんとか辞めさせてようやく本題に入れた。
「そうしますと、これが皆様のBクラスライセンスの証明になります。」
そうラスターさんが言って、差し出して来たのは、銀色に輝く2本の指程度の大きさのプレートだ。
それぞれに、名前とクラス表示が刻印され、魔術でコーティング処理を施されていた。
「これに皆様の魔力を流し込んでいただき、自身の魔力を登録していただきます。これで、このプレートを他の者が使用しても登録されている魔力が一致しないと魔力の反発が起こり、燃え上がります。」
「つまり、このプレートが燃えてるということは、不正使用があったと考えられるんですね。」
「そうです、タクミ様。」
どういう仕組みなんだろう? 金属が燃える?
相当な熱量だよね。不正しようとした人はちょっとした火傷ではすまないかもしれないな。
取り敢えず僕達は一人づつ冒険者プレートを受け取った。
但し、ルゼリアだけはCクラスのプレートを受け取っている。
実際、ルゼリアは今回の真竜対決には直接関わって無かったのだが、僕の奥さん候補と云うだけで冒険者Cクラスとなったようだ。
まあ、エルかシア教の大神官になる事はほぼ決定だし聖魔術の実力は確かだからCクラスも別に納得ではあるんだけどね。
それでもルゼリアは恐縮しまくってたけど、その辺の奥ゆかしさは残して欲しいもんです。
「それでは、冒険者証明の受領も滞りなく終わりましたので、これよりAクラスの昇級試験を行いたいと思いますので、隣接の地下練習場へ移動をお願い致します。」
ギルドマスターの言葉を聞いた僕たちは、受付のお姉さんの案内でその練習場へと向かう事になった。
「そういえば、お姉さんのお名前聞いてませんでしたね。」
「え? 私ですか? 私は、ルイル、と申します。」
「じゃあ、ルイルさん案内よろしくお願いしますね。」
「そ、そんな!さん付けなんて恐れ多いですよ! ルイルと呼び捨てで構いません!」
「そんな事、失礼ですよ。ちゃんと目上の人にはさん付けしないと。」
「そ!そんな! 目上なのはタクミ様ですよ!?」
え?いつ僕が目上の立場になったんだ?
だいたい肩書なんか何も持ってないのに変だよ?
「タクミ様。」
カルディナが僕の横にやって来て耳打ちしてくれる。
「一応、私と婚約した時点で、王位継承権も発生しますし、充分目上の立場になってますから。」
ああ!?そうか! 王位継承権ねえ。そう云う事になるのか。
まあ、全然なるつもりは全く無いけどね。どうせセスティナ様が王様と子作りに励んでいるだろうからその変もいずれは問題なくなると思う。たぶんね。
ただ、彼女達はどう思ってるのかな?
「そんなの関係ないわよ。私はタクミが旦那様というだけで幸せなんだから。」
「そうそう、タッ君と一緒ならそれだけでいいもん。」
「私もそうだよ。」
「そうじゃのみんなそれは同じじゃ、ターちゃん。」
聞いてみたら、みんながそうだと言ってくれる。それはクロちゃんもカルディナも一緒だと頷いてくれる。
とても嬉しいよ、みんな。
でも、僕っていたって普通の男だと思うけどどうしてみんなは着いて来てくれるのだろう?
「そんな判りきった事今更だけど、タクミはこの世界に転生する時、私達がこんな姿になっていると思って来た訳じゃないでしょ?」
「そうよ、だって本当なら私達、40とか50才くらいのおばさんになってるはずなのに、ター君はそれでも転生して私達を探してくれたんだよ。」
「それがどれだけ嬉しいかったと思ってるのよ!」
「まあ、わらわは、50才以上だけどな! 真竜としてはまだまだ子供だからな! わっは!は!は!」
「私と、クロさん、ルゼリアさんは、元奥さんじゃないですけど、優しくて格好良くて可愛くてとても
素敵な人だと云うのは解ってますから。」
「私は、小さいときからずっと!タクミ君のお嫁さんになるって思ってたから。」
「解ったみんな。ありがとう。」
物凄く!激しく!恥ずかしいぞう!! 絶対顔赤いだろうな。
あ、みんなも赤くなってるし、ルイルさんまで赤くなってる。
凄く幸せな空間だけど、いたたまれない、なんともこそばゆい感覚に一同沈黙したままだ。
「す、すみません。そろそろ現実に戻ってもらえませんか?」
ルイルが恐る恐るといった感じで僕に声をかけて来た。
「ああ、す、すみません。もう着きます?」
ナイス!ルイルさん!
「はい、もうすぐです。」
ギルドの建物を出て、直ぐ隣の建物に入ると、ギルド内部のホールより二周りくらい狭いホールにがあった。
その一番奥にぽっかりと口を開けたその場所に近づくと下へと続く階段があり、僕たちはそこをひたすら下りている最中だった。
それからまた暫く降りると少し広めのホールとなっていて、魔法光の明かりが幾つか点っていた。
かなり下りてきたから相当地下深いところにあるのだろう。
「この先がギルド本部の地下練習場になっています。
ここに試験官がまっておりますので、その試験官と戦っていただき合格をもらえばAクラスへ昇格となります。」
ルイルの説明で、試験内容は解った。単純だけど判りやすい。ただ、
「ルイルさん、まさか試験は建前で、とにかく試験官と戦えば合格とかじゃないですよね?」
「え? ああ、それは無いと思います。最初はそういうお話もありましたが、王妃様やレイティア様から。そんなの面白くないわ。とか言われて手加減無しの試験となっていますよ。」
はは。まあその方がありがたいけどね。
「それじゃあ、みんな行こう!」
僕の掛け声で、練習場の中へとみんなで入って行く。
読んでいただき有り難うございます。




