グランディール家の晩餐会 4
宜しくお願いします。
「それじゃあ、そういう事だから先に失礼いたしますわ!」
「カルディナ、あなたも頑張りなさいよ! タクミ君最初は優しくしてあげてね。」
「後は宜しくお願いします、セスティナお姉様!」
一気にまくし立てて、レイティア母様は、グランディール公を半ば強引に引っ張って部屋を出て行かれてしまった。
レイティア母様、僕まだ未成年なので、まだ色々制約があって出来ませんからね。
「カルディナ、そんなに引っ付いて顔を赤くしないの。こら、カーリーやヴェルデ達もそんな赤い顔して近づかない!」
「ああ、若いって良いわねえ。」
しみじみと語るセスティナ姉様。十分お若いと思いますが。
「私の相手があの王だからねえ、昔は優しくて良い男だったのよ。今でも顔はそんなに悪くないけどね。」
確かに体型はともかく、昔は良い男だったんだろうなとは判る。
「セスティナ姉様、性格が悪くなったのは、鬼によって操られていた可能性が大きいですし、多分、今はその呪いも解けていると思いますから元の王様に戻るんじゃないかと思いますよ。」
僕がそう説明する。
「え?そうなの? それが本当なら私も頑張ってみようかしら?」
何を頑張るんでしょうか?
「これは、体鍛えさせて若い頃の体型に戻させる必要があるわね。そうすれば夜も楽しくなりそうだわ。」
セスティナ姉様、なんか企んでる顔してる。
「そうと決まったら、一刻も早く実行せねば! と言う事なので、今日の晩餐会は終わりとしましょう!」
「「「「ええー!!?」」」
皆からの不満の声も聞こえないのか、何かやる気になっていらっしゃるセスティナ姉様には関係ないようだ。
「タクミ君、それじゃあ私、急用思いついたから王宮に帰るわね。あなた達は、旅に出る準備が整うまで、この屋敷に泊まるといいわ。必要な物があればここの執事に言いなさい。」
「ありがとうございます。」
「後は、カルディナ、若い人達に任せるから、お願いね! それじゃあ!」
そう言い残し、颯爽と部屋を飛び出していったセスティナ姉様だった。
この国の女性は逞しい。
「カルディナ! この料理はなんと言うのかの? 無茶苦茶美味しいではないか!」
トルエは、一人、食べつづけていたようだ。
「仕方ない、僕たちだけになったし、エルやシロも呼んでゆっくり食事をしようか。」
「「「「さんせ~い!!」」」
「カルディナ良い?」
「もちろんです、タクミ様。」
「ところで、タクミ。」
「どうしたの? ヴェルデ?」
「いつまでそうやって抱き合ってるつもりなの?」
あ、カルディナが抱きしめてきたそのままの体制でずっといたようだ。
う~ん不思議と気持ち良かったからそのままでいてしまったようだ。
「これは謎だね?」
「何が謎よ、まあ良いわ、今晩私たちにもちゃんとしてくれたら、許すからね。」
そんな事、顔赤くして言わないで下さい。
「まだ未成年の僕は何も出来ないからね?」
「ばあか! 分かってるわよそんなの! ただ一緒に抱き合って寝るだけよ!」
面と向かって言われるとそれはそれで恥ずかしいぞ。
「「「「それも、さんせ~~い!!」」」」
まあ、良いか。どうせ僕入れて7人が一緒に寝れるベットなんてないだろうし、そうなれば誰が一緒に寝るかで揉める事になって結局は、一人づつで寝ることになると思うからね。
僕は安易にそう考えて、グランディール家が用意してくれた、豪華な食事を楽しんだのだった。
翌朝、僕はグランディール家の寝室にあるベットの上で目を覚ました。
「何故だ?」
僕のベットの上には僕と6人の奥さん達が一緒に寝ている。
一人は僕の右側に一人は僕の左側に、一人は僕のお腹の上に乗っていて、一人は僕の右足に引っ付いて、もう一人は左足に引っ付いている。
そして、カーリーは僕の頭を足で挟んで肩車のような状態で寝ていた。
「完全に身動き出来ない・・・・」
『エル、シロ、どこにいるの?』
『おはようございます。タクミ様。』
『おはようございます。私共はベットの直ぐ横におりますが?』
『この状況なんとかならない?』
『なりません!』
考える間も無く即答で返ってきた。
『そんな事しましたら、奥様方に半殺しの目に会いますので辞退いたします。』
『えーそんな事言わないでね、ね?』
『無理なものは無理です。あきらめて下さい。』
『それと、私たちは朝の散歩を兼ねた、周辺の巡回をしてまいりますので失礼いたします。』
そう言った直後に、エルとシロの気配がこの部屋から消えていった。薄情者。
仕方ない。このまま起きるのまつとしよう。
そう思っていたが、よく見ると彼女達全員、目のやり場に困る姿をされてるではないですか!
これは嬉しいけど、困ってしまう!
こういうのを針のむしろと言うのだろうか。
誰でも良いから、助けて下さい!
そんな願いを聞いてくれる人なんかいるはずがなく、皆が起きてからもしばらくこの体制のままにさせられてしまいました。グスン。
その後、皆で朝食を頂く事になりましたが、そこでレイティア母様とグランディール公と一緒になり、グランディール公のあまりのやつれ具合と、レイティア母様の肌が輝いている光景を目の当たりにした。
僕と、グランディール公はそれぞれを見て、何か納得しあう事が出来、その後意気投合したことは、奥様型には内緒にすることに二人で決めました。
僕が成人の13才になったら一緒に酒を酌み交わそうと約束も出来ました。
いやあ、解り会える人がいるって、どれだけ心強いか身に染みました。
評価感想等お待ちしてます。有り難うございましす。