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王都に着くまで前途多難 Ⅲ

いつもありがとうございます。


白狼は正面に3頭、左右から1頭づつの構成で突き進んで来た。正面の3頭が若干突出する形で突っ込んで来る。これは中央の3頭が力押しで突っ込んで、それに応戦する間に左右から攻撃するって事かな?


「皆!今から支援魔法を展開します! 完了しだいエルは前方の3頭のうち2頭を足止め!残り1頭を僕とカーリーで足止めします! その間にジュードとラモナは左右を迎撃してください!」


僕が大まかに指示を出し終え、元素魔法の光属性を発動展開させる。


「光属性発動!魔術式展開! 防御耐性上昇、魔力耐性上昇、魔力能力上昇、反射能力上昇、視覚能力上昇、身体能力上昇!!」


「な?なんだこれは!」


ジュードが大声で驚いていた。ラモナも同じで、自分の身体に起きた現象にびっくりしている。


「支援効力を6つも重ね掛けなんて聞いた事ないぞ!?」


あ、そうなの? エルに教えてもらって、元素魔法の事や術式の練習してたら10個は重ね掛け出来たし、まだもう少し出来そうだったけどまずかったかな? ちなみにカーリーも僕がエルに聞いて教えてたら案外簡単に魔法の発動や操作が出来てたしそんなに難しいものではないと思ってたんだけどな。

今後は自重しよう。


とにかく術式を展開し終える。これで、メンバーの皆の能力が上昇したはずだ。いまだにジュードは、スゲー、スゲーと唸っていたが、取り合えず前に集中する。


迫り来る白狼は、中央に大型の固体とその両側を2頭が少し遅れて挟む様にようにして突っ込んで来る。


「エル!中央の3頭の両側を頼む!!」


僕の言葉と共にエルが自分を中心に術式を展開! 大きく広がる魔方陣が眩しい位に光輝き出した。

突然、中央に居た白狼の内両側の2頭が顔から地面に突っ込んだ! 勢いが付いてたので前方へ20メートルくらい飛ばされるように転がって行く。ようやく止まったと思ったところに目に見えない力がその白狼にのしかかり、全く身動きが取れなくなってしまう。


「さすがエル!腐っても神様だな。」


『何か微妙な言い回しですね。』


『気にするな、誉めてるんだ。』


エルのおかげで2頭が突然離脱したため、真ん中の大きな白狼と左右に展開していた2頭が一瞬気を取られ勢いが無くなった。


「ドウリャア!!」


「はあー!!」


そこへ大型の両刃の剣を両手で握り締め左側の白狼目掛けて横一閃で切り付けるジュード。そしてもう片方の白狼には、ラモナさんが右手の拳に火属性の術式を重ね真っ赤に燃える炎と共に、殴りかかるラモナさんって武闘系だったんだ。姉妹弟子だけあってカーリーと同じだけど、そのパワーと正確性が段違いに違う。二人の攻撃は2頭の白狼を完全に止め、深手を負わすことは出来なかったが相手の意識を刈り取る事に成功した。後は一際大きい白狼が1頭のみ。ここまでは作戦通り、あとはエルに聞いた魔獣に相性の良い光属性の魔術でリーダー格と思える大型の白狼を倒せば行ける!


数分前。


「それで作戦ってのはどんな感じだ。」


ジュードが何の疑問も無く聞いて来た。こんな子供の作戦を聞くなんてと自分で言っといてなんだけど大人としてそれで良いのか?とも思ったがここは時間が無いのでそれは置いて説明に入った。


「まず僕は光属性の元素魔法が扱えます。」


その一言でジュードとラモナの表情が一気に変わった。やはり光属性持ちは珍しいのだろう。


「ですので、ジュードとラモナさん、カーリーに能力向上術式をかけます。その上で、お二人には一番外側の2頭をそれぞれ相手してもらいます。そうすると、さっきエルカシアが2頭、ジュード達が2頭で残りを僕とカーリーで迎えます。」


「でもさっきも言ったが本当に大丈夫なのか? 何か策でもあるのか?」


ジュードの疑問ももっともだと思う。前世で言えば小学1年、2年生が魔物退治するなんて考えられないもの。それは今世であっても変わらないのだ。


「大丈夫だよ。さっきも言ったけど光属性が操れる僕は、魔獣とは相性が良いんだ。光属性の術を魔獣に叩き込めれば魔素の固まりの魔獣は体組織を維持出来なくなるらしい。もし、それでも動けるようだったらそこにカーリーの一撃を入れてもらうつもりなんだ。」


一通り説明すると、一瞬考えるジュードだったが直ぐにこの作戦を承諾した。なんと言っても今は時間が無いのだ。そして4人で迎え撃った。



「セイクレッド・ウォール!」


僕が叫ぶと、白狼の全面直ぐに光の壁がおもむろに出現した。カーリーの話だと、この光の壁に魔獣がぶち当たると、体内にある魔素を総て浄化してしまうので形態を維持出来なくなるはずだった。勢いに乗っていた白狼は止まる事が出来ず、前方の薄く透き通って輝く壁に思いっきりぶち当たった。


「これで、おわり・・・・!?」


なんと、白狼は何のダメージも無いかのように光の壁を通り抜けてしまった! どういう事だ!


『エル!話が違うぞ!!』


僕は慌てて、カーリーに向かって突進する白狼を止めようと術式を展開しようとするが間に合わない!

ジュードもラモナもまだ相対していて援護は無理だ! どうする!もう!間に合わない!!と思った瞬間、カーリーの体が一瞬にして消えた!? いや違う!消えたんじゃ無く能力向上で上がったステイタスをフルに使って白狼の喉元の下まで瞬間に移動したのだ。そして、首と胸倉を手で掴み、白狼の勢いを利用して柔道の肩車に似た技をかけ後方へ吹き飛ばす。


「ズ!ドーン!!」


吹き飛ばされた白狼は背中から地面に叩き付けられ、一瞬呼吸が出来なくなる。その隙をついて、カーリーが後方に大きくジャンプし、その勢いで白狼に一撃の正拳突きを仰向けになったお腹にぶち込める。悶絶する白狼。


『くっ、くそ!人間如きが!! エ、エルカシア様! い、今お助けいたし・・』


「ドガ!!」


今、魔獣が喋った様な気がしたが、情け容赦無いカーリーの正拳が白狼の眉間に炸裂すると、さすがの魔獣も泡を吹いて気絶してしまった。カーリーの一撃の威力は僕が能力向上しているとはいえ、あの可愛らし顔からは想像出来ないぐらいえげつない破壊力だった。もう、カーリーを怒らすのは止めようと、心に誓った瞬間だった。


『しかしエル、今この魔獣お前の事呼んでなかったか? しかも助けるとか何とか?』


『・・・・・・・・・・』


『オーイ、エルさんやーい。』


『・・・・・・・・・・』


『白狼共!鎮まれ!!』


エルが突然大声で白狼達を制止させる。その声に反応した他の白狼達は、一瞬で動きを止めその場に平伏してしまう。どういうことだ?あ、反応したの、白狼だけでなくカーリーも反応した。もしかしてエルの言葉が聞こえたんだろうか?


暫く静寂が流れた。ジュードやラモナさんも急に地面に突っ伏し動かなくなった白狼に戸惑っている。

すると、カーリーに気絶させられた白狼が目を覚まし、ゆっくりと身体を起こし始めた。


『く、忌ま忌ましい人間共。エルカシア様、今お助けしますぞ。』


『黙れ!白狼王。ここにおる人間は総て私の仲間です。手出ししたらただでは済みませんよ?』


うわーなんかエルが偉そうに見える。5頭の白狼に傅かれるとどこかの神の使徒みたいだなって、元神様か。


『エル?この白狼達はエルの知り合いか?』


『な!そこの人間!エルカシア様に向かって何と言う物言いだ!』


お!なんかもの凄く怒られてしまった。


『白狼王!私はこの方の眷属であって、ご主人様であるのだぞ!!』


『へ?』


白狼王と呼ばれた狼は変な声を出してその場に固まってしまったようだ。



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