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公爵令嬢争奪真竜対決 10

少し遅くなりました。

真竜との直接対決です。

咆哮の後、真竜はいきなり口から火炎の柱を吹き出す!


『エル!周辺を防御結界!』


「カーリー!」


タクミの言葉よりも早く、エルの防御結界とカーリーの土属性防御壁が火炎の進行方向に表れ、行く手を阻む。

しかしその威力は凄まじく、カーリーの作り出した見上げるほど高く人が寝そべって5人くらいはある厚みの壁をみるみるうちに溶かし出し穴をあけ、その後ろに展開されていたエルの光属性の防御壁にヒビを入れてやっと消えたのだ。


「あんなの直撃したら一瞬で蒸発してしまうぞ。」


タクミの言葉にみんなが再度緊張を高める。


『カーリー様、コロシアムにいた観客の殆どは退去完了したようです。後は王宮騎士や魔導士が残っておるようです。』


シロからカーリーに、観衆の退去の完了報告が入る。

騎士や魔導士はさすがに逃げる訳にもいかないのだろう。

そこまではタクミにも面倒は見れないし、それなりには力もあるだろうから自分の身は自分で守ってくれと願うだけにした。


『シロ!そっちはもう大丈夫なら私のところに来て! 融合するよ!』


『はい!主!』


カーリーの呼びかけと同時にシロの転移魔方陣が表れ、シロがカーリーの下に現れる。

と、同時にシロがカーリーの中に吸い込まれるように消え、一気に獣神化する。


「私も負けてられないわね。」


ヴェルデが呟く。

うっすらと足元が光出し、陣を描く。


「神聖樹、エグラシル、その一片の源を我が身に宿せ!」


ヴェルデの言葉に反応し魔方陣が輝きを増し、その中心からいくつもの樹木が湧き出して来る。

その木がヴェルデを中心に囲い始め、その全てを飲み込んでしまった。

しかしそれは一瞬の事で、その大樹は光となり地に帰り、その後に一人の女性が魔方陣の中心に佇んでいた。

それは間違いなくヴェルデだったが、わずかに身長が伸び、髪も鮮やかなエメラルドグリーンの長い髪になっており、着る服も白を貴重に緑と水色のラインが美しいドレスへと変貌していた。


「これが私の神化、樹神エグラシルよ!」


「カーリーもヴェルデもそう来るなら私もだね。」


二人の神化にフラムも続く。

ヴェルデと同じように足元に魔方陣が輝きその力が中心に集まって行く。


「炎の魔神、イフリムよ! 我の求めに応え我が身の下に降臨せよ!」


フラムの呼びかけに応えたのか、魔方陣より業火が吹き出しフラムを飲み込む。

その炎は、真竜よりも高く立ち上り火の柱となる。

それが、風が巻き起こりかき消えるように無くなると、その中からフラムが現れたが、その姿形は異常だった。

服は焼け金属のビキニアーマーだけが残っているような姿だが、そのアーマーも赤く焼け所々からは火が吹き出していた。

そのうえ髪の毛が炎の様にうごめき燃え盛る業火の様に見える。

そして、手には髪の業火以上に燃え盛る大剣を手に持ち真竜に相対していた。


「へ、へ、これが暴炎神化のイフリムだよ!」


「僕の奥さん達ってめちゃくちゃ格好良くて、強そうだね。」


タクミはその変貌した奥さん達を見て、その迫力に圧倒されているようだ。


『エル?』


『はい?』


『僕もあんな事出来るのかな?』


『出来ません。まだ神の眷属たる者と契約されていませんから無理ですね。』


『エルは違うの?』


『一応これでも神本人ですから、タクミ様に仕えてはいますが、神獣とは少し違いますので申し訳ありません。』



『そうなんだ。でも?カーリーは解るんだけど、ヴェルデ達もなの?』


『はい、たぶん始めの転生で5属性の眷属をそれぞれ従えていたんじゃないですか?』


そうなんだ。

すると僕は援護役に徹した方が良いかな?


『いえ、彼女達ではあの真竜は殺す事は出来ても、救う事は出来ませんよ。あの悪鬼が組んだ呪縛紋は、光属性でもタクミ様くらいの神核を持つ神の光でなければ、解呪出来ません。それも直接触れて、神の光を流し込まないと解呪は無理ですけど。』


「と言うことは、あの真竜の懐に飛び込んでいかなきゃいけないって訳だ。」


「任せて!タクミ君! 私達が、攻撃を防いでみせるから、タクミ君はその隙に呪縛紋の解呪をお願い!」


「ヒュン!! ドゥグアアン!!!」


タクミ達が大勢を整えようとしていた時、黒い大きな物体が目の前までやって来ていることに気付かなかったが、人の形をした黒い影が、タクミ達の前に現れその大きな物体を防いでくれていた。


「タクミさん!気を抜きすぎじゃ! 相手は真竜じゃぞ!」


「クロちゃん!?」


それは紛れもなくメイド服姿のクロちゃんだったが、全身に黒い入れ墨模様が浮かんでいたので一瞬誰だか解らなかった。

そのクロちゃんが両腕を目の前で交差し受け止めていたのは真竜の尻尾だった。


「ごめん!クロちゃん。助かったよ!」


「わしも、これ以上力を上げると、この姿で居られなくなるからの。そんな姿、タクミさんには見られとうないぞ。」


そんな事をクロちゃんが言うから、三人がクロちゃんの事睨んでいる。


「とにかく、今は目の前の真竜だ! みんな援護頼むよお!」


「「「「はい!」」」」


みんなの返事と共に、タクミは身体強化の術を幾重にも重ね掛けし真竜へと突進して行く!


「ブウンーーン!!! ドゥガア!!!」


それに気づいた真竜が、もう一度大きな尻尾をタクミ目掛けて振り回して来たが、それをカーリーがまともに受け止める。


「クゥワア!!」


その横を物凄い勢いで駆け抜けるタクミに今度は、口から業火を吐き出す。


「させないわよ!!」


タクミ目掛けて来る業火の炎にフラムが同じように燃え盛る剣を振り下ろしその炎を真っ二つに斬ってしまった。


「グアガガガガガガ!!!」


二つに別れた炎は地面をえぐり、大爆発を起こす。

何とか二つの攻撃を防ぎタクミはあと少しのところまで来たが、真竜はそのタクミを真正面に見、その瞳の先に膨大な魔素を取り込んだ魔方陣を一瞬で作りだした。


「!?なんか嫌な感じだ!」


タクミはその異様な雰囲気に自分の感覚が何か危険なシグナルを警鐘しているように思った。

それは一瞬だった。

タクミはその警鐘を信じ、突進に急ブレーキをかけた。

そしてほんの1mくらい先に光の亀裂が打ち込まれ、地面を大きくえぐっていた。


「あっぶなあ! あれは雷撃みたいだったけど?! あのまま突っ込んでいたら直撃だったぞ!」


タクミは真竜の攻撃に驚いていたが、それだけでは終わらなかった。

その雷撃の魔術方陣を今度は自分の回りに幾つも作り出し、一斉に発動させたのだ。

真竜に近づき過ぎているタクミはこの範囲系雷撃の魔術から逃れる事が出来ない。


「くっ!」


タクミは防御を固め、ありったけの身体強化をかける。


「ガガガガガガガアガ!!!」


物凄い雷鳴が無数に広がりタクミを飲み込もうとした時、地中から無数の樹木のがせせり出しタクミを覆った。

雷撃はその樹木に阻まれ周囲に拡散させられた。


「タクミ!大丈夫!?」


「ありがとう!ヴェルデ!」


タクミはヴェルデの樹結界から飛び出すと一気に真竜の首元に飛び込む!

しかし真竜もそれを阻もうと、体の割には小さい右腕をタクミ目掛けて振り下ろす!


「ドン!!」


しかしそれは獣神化したカーリーが飛び上がり、まともに受け止め完全に封じる。

それでも真竜は残った左腕の先にある大きな黒い爪でタクミに襲いかかるが、今度は炎を纏ったフラムの剣がそおの爪を切り落とし攻撃を防いだ。


「よし!届いた!」


みんなに攻撃を防いでもらいようやく真竜の首元にある呪縛紋にたどり着いたタクミ。

すぐさま、光属性を発動し解呪の魔術を組み上げる。

その組み上がった魔術紋に自らの腕を押し当てそのまま呪縛紋へも押し当てた。


「グワアアアア!!ウォオオオオオ!!」


タクミから解呪の光を流し込まれ始めた真竜が、その苦痛からか周囲を震わす程の咆哮をあげ暴れ始めた。

読んでいただきありがとうございます。

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