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転生先で最強の元奥さん達?が待っている。~これはハーレムと言って良いのだろうか?~  作者: ユウヒ シンジ
第5章 ラングトン大学 始動編
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婚約者達の一日 その1

ある奥様の出来事、ヴェルデ編です。

これからもたまに各奥様の出来事を入れて行く予定です。(不定期です)

院生寮の大浴場崩壊事件から一週間がすぎた。

ちなみに、この世界も暦とか時間の概念はタクミ達の元居た世界とほぼ同じだったが、時間軸の周期の違いか

前世での1日はこちらでは1.5日くらいの経過スピードが違うらしいが、この世界で暮らせばその辺りはタクミ達にとってあまり違いは感じ無いようだ。


「それだは院生の諸君、来週からは第4位階の魔術理論に入るから予習しとけよ!」


ヴェルデが教壇の上から、講義に集まった院生達に向かって話すと、「はあい!」と返事が幾つか返ってくる。

院生達はヴェルデの講義を午前中に受け、その後は各課題の実施となる。

殆どは、冒険者として森へ魔獣の討伐や、国家騎士団への研修等が主な課題でそれらを自分の将来を考えながら習得していた。

中には、薬草の研究機関への研修や、魔法学の研究何かもあった。

それらを受ける院生は、早く昼ご飯を食べ、各場所へおもむくのだったが、中には課題を実施する施設や機関が休みの場合、学校でのんびり過ごす者も何人かは必ずいた。

そういった者はたいてい、暇を持て余し、何か面白い事があれば、直ぐに食いつくものなのかもしれない。


「ヴェルデ先生!」


そんな内の一人である女子生徒の集団が、教本を片付け、職員室へ戻ろうとするヴェルデを呼び止めた。


「なあに、セルタさん。」


セルタと呼ばれた少女は、集団の輪の中より一歩前に出て代表で聞いてくる。


「先生、ご婚約されたって本当ですか?」


「え?あ、まあね。」


「きゃあー本当だったんですね! いったい何時されたんです? どんな人なんです? 国家騎士の方とかですか?」


矢継ぎ早に質問をしてくる生徒に鬱陶しくも、ついうれしくも照れたりするヴェルデだった。


「いずれ紹介するからね。」


「いいなあ、先生でもいい人見付かるんだから私でもいい人見つからないかしら。」


セルタ嬢が、羨ましそうに言うがその言葉に少しトゲがある気がした。


「私でも?ってちょっと聞き捨てならないわね。」


「え?あ!ご、ゴメンなさい! 深い意味はないんですよ! ただ、年齢のわりには幼児体型の先生に惚れる人がいるんだと思ったものですから。」


「悪かったわね!幼児体型で! その人は外見なんかちっとも気にしないって言ってくれるから良いのよ!」


「いやあー先生!のろけてますねえ。」


「の!のろけてなんかないもん!」


「ないもん、って先生、そんなんだから年齢の割に幼児なんて言われるんですよ。」


年下の生徒に、突っ込まれてどちらが年上か外見だけでも解りにくいのに、精神的にも解りにくいのだから幼児と言われても仕方ないのかもしれませんね。


「でも、本当に良かったって思ってるんですよ、私達。先生ほどの可愛らしい女性が結婚出来ないのは、やっぱり胸のせいじゃないかって、みんなで話してたんですよ。ほら、やっぱり男ってなんだかんだ言っても女性の何処に注目するかって言ったら、胸でしょ? それが先生の様な可愛らしい胸でも、結婚出来たって事は私達だったらもっといい男見つけられるかもしれないって、希望がもてたんです! ありがとうございます!先生!」


「お、おまえらなあ!」


女生徒達の、嫌味なのか、激励なのか、憧れなのか、感謝なのか、さっぱり解らない話を聞いて、瞳になみだを浮かべて睨むヴェルデだった。


「ふん、どうとでも言ってればいいわよ。結局、相手がいる者が勝ち組なのよ!」


「う!」


それでも婚約者がいるヴェルデの方が圧倒的に有利?なのは変わらないのだろう。


「悔しかったら貴女達も、いい男探してみなさい、フフ。」


余裕の笑みを見せるヴェルデ。


「へ、へーんだ!今私たちは、ある男性を、いえ少年をターゲットにしてますのよ!」


だんだん子供の喧嘩の様相を呈した気がするが、女性の異性トークはこんな感じになるのだろうか?


「ほ、ほー。」誰ですかね。その方は?」


「聞いて驚かないでくださいね。今期トップの成績でこのラングトン魔法大学院生に受かった、タクミ・カーヴェル様です!」


「ほっ、ほーーー。」


「あの方は必ず、出世し貴族になる方ですわ! それに、あの男特有の無骨さがない可憐といってもいい、可愛らしい顔に、あの身体能力からは想像もつかない華奢な身体。あの方を天使と言わずして誰を天使と言うのでしょう?!」


かなり芝居じみた動作を加え語るセルタ嬢。


「私たちはタクミ様を見守り、何時しか夢を叶える夢を見る少女達なのです。」


自分で言ってて恥ずかしく無いのだろうか?と、不思議ちゃんを見る目のヴェルデだった。


「あなた達も必死なのね。その願いが叶うよう、陰ながら応援してるね。」


ヴェルデは彼女達に手を指し述べて力強く握ってあげた。

その表情は、自信に満ち勝ち誇っていた。


「あーいたいた!おーい、ヴェルデ!今度の真竜対策を検討するから、一緒に帰ろう!」


「駄目だよ、タクミ君。いくら奥さんでも、学校では先生て言わないといけないよ?」


タクミがヴェルデを誘いに来て、先生を付けなかった事をカーリーに怒られている姿が教室の入口に見えた。


「あ、()()()()()()! 今、行くからちょっと待っててね!」


「ゴメン、そういう事だから先帰るね。貴女達も、いい男見つけるのよ。」


そう言い残し、スキップでタクミ達の所に向かうヴェルデ。


「なんだよ、マイダーリンって?」


「何でもなーい、行こうタクミ。」


ヴェルデが教室を出るとき、一瞬セルタ嬢達に向けた顔は勝ち誇った笑みだった。


「な、な、なんなんです!あれはーーーー!」


絶望の叫びをあげながら、足から崩れるセルタ嬢達であった。

読んでいただいてありがとうございます。

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