大学ライフ 女性達は語る6
宜しくお願いします。
場所は変わって、ヴェルデ達の今。
「きゃあー!タクミがお礼だって! 何にしようかなあ。あ!やっぱり一晩独占権かなあ。」
「す、す、す、好きって言われた・・・」
カーリーはタクミの口からストレートに好きと言う言葉を聞いてむちゃくちゃ恥ずかしくて、嬉しくてどうしたらいいか解らず、石の壁にストレートの拳を叩きつけていた。
ヴェルデも、ご褒美という文字に妄想が飛びまくり、時々石の壁を叩いていた。
普通の女の子なら、岩の表面を手の平でぺしぺしと叩くぐらいなのだろうが、この二人に関してはそれが当てはまらず、叩く度に石に亀裂が入って大きくなっていた。
「おーいヴェルデ、何してるのよ。早くカーリー呼んでお風呂あがろうよ。」
フラムがあまりにも帰って来ない二人を心配し露天風呂へとやってきた。
他のみんなもタオルを身体に巻きフラムについて来た。
「あれ?ヴェルデたちは?」
フラムが岩風呂の方を見ても誰もいなかったので周囲を見渡すと、左奥の石壁の上で二人が何やら石を叩いて壊しているのが見えた。
「ちょ、ちょっと!あんた達何やってるの?」
フラムの声に二人は反応せず、石を叩き続けている。
あまりにも様子がおかしいので、フラムとカルディナそしてクロちゃんは二人の所へ身体強化を使って飛び降りる。
「どうしたの?二人共!!」
フラムは、カーリーを、カルディナはヴェルデの肩を掴みぶんぶん揺さぶる。
「はっ!な、何どうしたの?」
「あれ?私何して?」
「「あ!タクミ君!」」
ヴェルデとカーリーは正気に戻ると、直ぐにタクミがいた方を見る。
二人の視線はタクミを捕らえ、当然タクミも二人を視界に捕らえる。
「何してるんだ?二人共って、ヴェルデ真っ裸じゃないか!」
「え?タクミ。」
「タクミ君!」
「タクミ君なの?!」
「タクミさん!」
「タクミ君!?」
五人が一斉にタクミの名を叫ぶが一人だけ反応が明らかに違う人がいた。
「きゃあーーーーーーーーー!!!! こんな格好ではダメーーーー!」
ヴェルデはこの中で一人タオルも巻かずに裸のままで、しかも石積みの上に乗っているので下からタクミに覗き込まれた形になり、さすがのヴェルデもこれは耐えられなかったみたいだ。
「どうしたの?!」
ルゼもその騒ぎで石積みの塀下まで駆けつける。
「!!!!!!!」
「グォゴゴゴゴッゴゴゴ!」
瞬間、地面が大きく揺れ地響きが唸り始めた。
石積み辺りの地面が少し盛り上がったかと思った瞬間地中から木の根が無数に飛び出して来た。
それらは生き物の様に動き回り、次々とカーリー達を絡め取り始めた。
「いやあー何これ!ヴェルデ! 落ち着きなさい!!」
フラムも木の根に足を取られ手を塞がれ身動きが取れない状態になりながら、事の元凶のヴェルデに大声で叫ぶが暴走したヴェルデにそれが届かなかった。
「タ、タクミ君!み、見ないで、いえ見ても良いけど、この格好は嫌!やっぱり見ないで!」
さすがのカーリーも手足を木の根で拘束されてはどうしようもなく、身体に巻付けていたタオルは何処かへ飛んで行き素っ裸にされている。
「おーこれは、羞恥プレイとか言うやつかな? なかなか、面白いではないか!」
クロちゃんは裸で拘束されていてもそれを楽しんでいるので取り合えずほっといても大丈夫そうだ。
「タ!タクミ君!いえ、タクミ様! 見てます!見えてますよね! これはちょっと恥ずかしいですが、既成事実が作れて好都合です! これでタクミ様に責任取って貰えますわ!」
グランディール会長は、一人ではしゃいでおられる。
「グランディール会長?既成事実ってなんです?」
「いやです、カルディナとお呼び下さい! タクミ様!」
ああ、これはあまり関わらない方が良い気がしてきた、タクミだった。
「とにかくヴェルデをなんとかしないと。と、言ってもこれじゃ目のやり場に困ってまともに見れないぞ。」
ヴェルデ木属性の魔術による拘束結界にカーリー達があられもない姿で捕まりそれを盾のようにして前を塞ぐものだからタクミがまともに前を見ることが出来ないでいた。
『エル!僕が目をつぶったまま前に進むから誘導してくれ!』
『解りました! では、感応同調致します! どうぞ!』
『じゃあ、行くよ!』
その掛け声と共にタクミはヴェルデに向かってダッシュする。
身体強化を使い、襲って来る木の根を交わし、拘束されたままのフラム達がタクミめがけて来るのを交わして前に進んでいく。
「あん!」
「きゃ!」
時々タクミの手に柔らかい物に触れた感触があり、その度に変な声が聞こえるがそれは無視して前へと進んでようやくヴェルデの直ぐ前まで到達した。
「ヴェルデ!正気に戻って!」
タクミは肩を揺すったり、顔を叩いたりしたが、完全に意識が飛んで暴走してしまっているヴェルデには効果が無かった。
「えーい!こうなったらお姫様の覚醒の定番をやるしかない!」
叫んで意を決したタクミは、自分の口をヴェルデの唇につけて、自分の魔力を注いだ。
すると一瞬で、暴走していた木の根の動きが止まり、塵の様に消えていった。
「きゃあー、 いた! ドン!、え?もう終わり。」
周囲で色々な声がするけどそれは今ま良いだろうと思いタクミはヴェルデの方を注視する。
タクミに抱き抱えられ、うっとりとした顔のヴェルデがそこにはいた。
「タクミ、もっとして。」
タクミは抱えていた手を離す。
「ガン!! 痛ああああい!」
支えを失ったヴェルデの身体は地面にたたき付けられ後頭部を思いっきりぶつけ悲鳴をあげるヴェルデ。
「な、何するのよタクミ!」
「それは、こっちの台詞だ! この状況を見な!」
タクミの言葉に改めて周囲を見るヴェルデ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・てへ!」
タクミの拳がヴェルデの頭を捕らえる。
「!!!」
「そういえばルゼは何処だ?」
タクミはルゼの姿だけが見当たらない事に気づく。
「そう言えば・・」
「・・・・き・・きゃ・きゃああああああああ」
悲鳴が空から聞こえ、タクミが上を向くと、ルゼが空から降って来るのが見えた。
先の騒動で空へ飛ばされてしまったらしい。
タクミは身体強化を最大にし飛び上がり途中で魔力で制動を掛け空中で待ち構える。
そこへルゼが飛び込んで来るのを優しく抱き抱え、そのまま地面へ着地する。
「ふー、ルゼ大丈夫?」
自分の腕の中にいるルゼに怪我が無いか確認する。
「は、はい大丈夫です。あ、ありがとうござ・い・・!! きゃああああああ!」
タクミに抱えられたルゼは他の女の子と変わらず素っ裸だった。
「バチーンンン!」
条件反射でルゼの平手打ちが、タクミの顔にヒット!
「なんでこうなるの?」
タクミは何故かやるせなさを感じずにはいられなかった。
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