大学ライフ 女性達は語る2
少し遅れました。
「いつ!ご結婚されたんですか!」
カルディナ会長が身を乗り出す。
その勢いで胸を隠していたタオルがはだけ、一糸まとわぬ姿になっていたが、気にする事なくヴェルデに詰め寄って行く。
「まあ、色々あってね。」
「色々って何ですか?! 相手は誰なんですか? それにフラムさんは私も冒険者の先輩として尊敬してますのに、一体誰とご結婚されたんです? いえ、それよりカーリーさんってまだ7才じゃないですか! 人妻って誰ですそんな畜生野郎は!」
公爵家の淑女にしては下品な言葉を連発するカルディナ会長。
「カルディナ会長、言葉が下品。」
フラムに指摘され、ハッ!とするがそれでも関係ないとばかりにヴェルデの肩を掴んだまま離さなかった。
「そんな事はどうでもいいのです! 誰なんです! 私とそんなに歳も違わない先生が、それもこんなに年齢と掛け離れている体型をされている先生が、私より先に伴侶を見つけられるなんて! おかしいじゃないですか?」
カルディナはヴェルデの肩をブンブン揺さぶりながら問い詰めているので、その形の良い大きな胸も上下に動く。
クッ、私の目の前でこんなに揺れやがって、当てつけか?
それにサラっと体型の事とか失礼な事言ってないかこいつ?
心の中で悪態をつくヴェルデだが、そこは大人の対応に努めるようとする。
「落ち着きなさい。人妻と言うのはちょっと語弊があったわね。一応現時点では、三人共婚約者がいるという状態と考えてね。」
興奮するカルディナ会長に落ち着いた口調で説明すると、少し落ち着いたようだ。
「ちょっと納得出来ないところはありますが、それならまだ許容範囲ですわ。ただ、何故三人が一度に婚約者がいることを話すんです?」
「それは、三人とも同じ人と婚約したからよ。」
あー、なるほどと納得するカルディナ。
「じゃ!ないですわ! 先生とフラム先輩とカーリーさんのお三人が、一人の男性と婚約ですって?! そんな事許されるはずないじゃないですか! 大人の女性のフラム先輩に、年齢の割には超幼児体型のヴェルデ先生に、将来超がつくほど美人になること間違いないカーリーさんの三人を一度に自分の物にする鬼畜な男性って誰なんですか!?」
凄い勢いでまくし立てるカルディナ会長の勢いに押され湯舟に逃げ込むヴェルデ。
それを追いかけて、カルディナ会長も全裸で湯舟に入る。
ヴェルディは考えた。
カルディナ会長は私への扱いがフラムとは大きく違う気がするのは気のせいか?
確かにフラムは、ラングトン大学の前会長で、カルディナ会長の先輩になるから尊敬するのは解るけど、一応私だってここの教師をしているんだぞ?
心の中でまた、ヴェルデが愚痴ってると、フラムが風呂に入って二人に近づいて来た。
「フラム先輩! 一体どういうことですか? 私何も聞いてませんよ?」
ヴェルデを挟んで、二人は相対する。
こいつら、わざと私を挟んでないか?
しかも胸を目の前で強調しやがって。
確かに、二人に挟まれたヴェルデの直ぐ目の前を、湯舟の暖かさで上気してピンクに染まる胸がユラユラ揺れていれば、そんな夢みたいな動きが出来ないヴェルデにとっては怒りの元でしかなかった。
そんなヴェルデに一切気にした様子も無く、二人は話し出す。
「ごめんね、カルディナ。ちゃんと伝えるのが遅くなって。」
「いえ、ご婚約はうれしい事ですし、私も普通なら祝福を捧げたいとは思うんですが、相手が畜生なら力付くで阻止させていただきます!」
拳を握り、使命感に燃えるカルディナ。
「カルディナ、私の旦那様を畜生呼ばわりするなら絶交しますよ。」
笑顔で話すフラムなのだが、今の言葉には可愛い後輩と言えども前言撤回しないと、殺す!と殺気が込められていた。
暖かいお風呂に入っているはずなのに、カルディナの顔が青ざめていた。
「そ、そこまでお好きな方なんですか? い、一体誰なんです?」
恐る恐る聞くカルディナ。
「えっとねー、タクミ君なんだよ。えへ。」
普段からおっとりした喋り方のフラムが、それ以上にゆっくりとタクミの名前を口に出し、身体を縮こませて恥ずかしそうにしていた。
「タクミって、あのタクミ・カーヴェルですか!?」
「うん、そうよ。」
嬉しそうな笑顔で肯定するフラムに対して、信じられない物を見た様な驚きの眼差しをしているカルディナ会長だった。
「な、7歳、ですよ?」
「もうすぐ8才だよ?」
「いえ、大して変わりませんから。それより、どうやったらそんな風になるんですか?」
「そんな風って言われても、昔から?」
「なんですその昔って言うのは?」
「昔は昔だよ?」
「昔に知り会ってなきゃ駄目なんですか?」
「え?別に駄目な訳じゃないんだけどね。」
「それじゃあ今日知り合った私も婚約者になれる可能性はあるんですね?」
「え?! 冗談でしょ?カルディナ。」
「いたって普通に真剣ですよ。私、カルディナ・グランディールはお三人の婚約発表に異議を申立て、私も参加する事を宣言します! タクミ君は超優良物件なのよ。そんな男性を、婚約者がいるからと言って、はいそうですかで諦める訳にはまいりません!」
「「「ええええええーー!!!!」」」
フラムを始め、ここにいる女性陣からは予想外過ぎる話に、驚きの声が上がり、風呂場中に木霊した。
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